9月27日
木曜日の朝にノースカロライナを立ったのですが、デトロイト経由で羽田に帰ってきたら金曜日の夕方です。一日損をした気分ですが、新幹線で名古屋まで帰りました。
今日は土曜日ですが、朝から打ち合わせがあり、昼からは、情報学研究科、吉田久美名誉教授の日本学士院賞受賞記念祝賀会に出席してきました。
吉田先生は、農学部の後藤俊夫先生の研究室ご出身で、修士まで取られたあと製薬会社に務められ、椙山女学園大学に移られた後、名古屋大学の化学測定機器センターに出入り許可を受けて研究を行い、アントシアニンをテーマ「精密構造認識に基づくアントシアニンの分子会合」という博士論文をまとめられたそうです。この論文の内容がなんとネーチャーの表紙を飾ったとのこと、その後も、植物の花の色を条件次第で青色にするアントシアニンの不思議な働きの研究に邁進されてこられた方です。一昨年、本学の大学院情報学研究科を定年された後、現在は愛知淑徳大学に勤められ、引き続き研究に打ち込まれているそうです。
吉田先生のこれら研究業績に対して本年、第115回日本学士院賞が授与されました。日本学士院賞は日本の学術賞として最も権威があり、その受賞はまさに学者としての誉です。名古屋大学としては、一昨年度の篠崎一雄先生、昨年の上田龍三先生に引き続き三年連続での関係者の受賞、総長として非常に喜ばしく思っています。
吉田先生の恩師である後藤先生は、本学理学部の平田義正先生の門下生になります。理学部の助手、助教授を経て農学部に移り、平田研の天然化合物研究の伝統を受け継がれた先生で、現役の教員として61歳で逝去されたことは惜しまれます。平田先生は、ノーベル化学賞の下村脩先生をはじめ数多のお弟子さんを育てた名伯楽として有名で、理学部の坂田平田ホールに名前を残させていただいていますが、吉田先生はまさに平田研の系譜に連なる研究者です。
祝賀会には、農学部(生命農学研究科)の関係者や吉田先生のお弟子さん、研究仲間など多数の方が駆けつけられていました。吉田先生は青いお召し物で、また会場には青い花も飾られていて、まさにアントシアニンから青色を作り出す吉田先生ならではの華やいだ雰囲気の素敵な祝賀会でした。会の最初には吉田先生のご講演があり、ご自身の研究をわかりやすく解説いただきました。
吉田先生、日本学士院賞受賞、本当におめでとうございます。
9月24日③
キャンパスツアーの最後は、101年の歴史を誇る学内のホテルです。ここで、スティーヴンソン副学長主催のランチを兼ねたビジネスミーティングを行いました。
旧知のスティーヴンソン副学長(元外交官)、本当に鋭く切り込んできます。ミーティングには、研究担当のペニー・ゴードン-ラーセン副学長、さらに医学系からはサマンサ・メルツァー-ブロディ医学部長(エクゼクティブ・ディーンのタイトルですので、医学系を取りまとめる部長・研究科長です)、ジャン・バスビー-ホワイトヘッド所長(エイジング・ヘルスセンター)といった有力者を集めてくださいました。ワードさん、ノーサップさんも同席です。なんと全員女性!その活力に本当に圧倒されました。名大側は、私と水谷副総長、粕谷医学系副研究科長、神山所長、そして小野次長、神原事務系専門職という陣容だったのですが、女性は神原さんだけ、ダイバーシティ、全然ダメですね…
ゴードン-ラーセン副学長は栄養学、特に肥満の研究者だとのことですが、副学長としてホワイトハウスの委員も務め対外的に大活躍されているそうです。彼女から、チャペルヒル校の研究費などについての説明をいただきました。そこでは、工学部はないものの工学系の研究者が学内にたくさんいて、ノースカロライナ州立大学との連携でバイオメディカル・エンジニアリングという学科も設置しており、これらを梃子に工学系の学部を新設したい旨のお話もありました。とにかく大学としては医学の強い大学で、研究費の半分弱は医学系が稼いできているそうです。工学を新たに立ち上げるにしても医学との連携領域が軸になるのではないでしょうか。なお、現在、連邦政府のグラントの間接経費の割合が私立大学と公立大学で違うことを問題にしているようで、日本の事情をきかれました。
名古屋大学とも医学系研究科、医学部を通じた学生交流、研究交流が近年非常に進んできていて、このあたり、粕谷副研究科長から丁寧に説明いただきました。
今後の連携も医学系を軸に広げていくことになりそうです。また大変うまく行っているサイバーセキュリティの学生交流、これまでは在日本米国大使館がスポンサーくださっていたのですが、今後続けていくために他の財源を探しているところです。
スティーヴンソン副学長には、場所・食事を含めて素晴らしい会をアレンジいただき感謝です。
9月24日②
ロバーツ学長らとのミーティンの後は、学内を少し案内いただき、創立以来残っている建物や重厚な図書館などに圧倒されました。学生会館には、他の大学に負けず、Tシャツやパーカー、キャップなど大学グッズが大量に置いてありました。服の色はスクールカラーである水色(空の色であるノースカロライナ・ブルーというそうです)で統一されていました。それにしてもキャップが40ドル、50ドルとか、信じられない値段だったのには驚かされましたが、売れるのでしょうね。経営は有名な書店チェーンのバーンズ・アンド・ノーベルに任せているが、収益は学生のスカラーシップに使われている、とのことでした。
また、学内にある有名な井戸にも連れて行っていただきました。この井戸の水を学期の始めに飲むとAが取れる、という伝説あるそうなので、私もAが取れるようにしっかりと飲んできました。
9月24日①
本日は、ノースカロライナ大学チャペルヒル校を訪問しました。全米最古の公立大学の一つで236年もの歴史があります。現在に至るまで、全米でトップランクの研究大学に名を連ねている大学です。ちなみに、ややこしいのですが、ノースカロライナ大学チャペルヒル校、ノースカロライナ州立大学、どちらも州立大学で、同じノースカロライナ州立大学機構の傘下になります。
訪問の最初は、お茶やお菓子をいただきながらのネットワーキング、その後はリー・ロバーツ学長、ジム・ディーン代理プロボスト、バーバラ・スティーヴンソン副学長ら、大学のトップとのミーティングです。国際担当のヘザー・ワードさん(プロボスト補佐)、国際連携の責任者であるクリスタ・ノーサップさんなどにも同席いただきました。
45分という予定だったのですが、話が非常に弾んで1時間以上の充実したミーティングとなりました。医学を中心としたこれまでの連携や、すでに2回行なってこれから3回目を実施する予定のサイバー・セキュリティ研修プログラムなどの話を最初にしたのですが、その後、ロバーツ学長から米国の大学をめぐる状況や、チャペルヒル校に関するつっこんだ説明を受け、非常に興味深く拝聴しました。
トランプ政権による連邦政府の予算削減などについては、議会の反対もあり、現状はだいぶ落ち着いた状況のようです。ノースカロライナ州立大学の方では留学生が減っているとのことでしたが、チャペルヒル校ではむしろ増えているということで、今年前半に報道されていた状況に比べて相当安心できるようになっている印象を受けました。
一方で州立大学なので、州からの予算が大きな割合を占めていて、今年は大学への予算が予定よりも遅れていてまだ決まっていない、ということを少し心配していらっしゃいました。これについては、ノースカロライナ州立大学でも同様のことを学長がおっしゃっていました。
州立大であることから州内からの学生の授業料は安く設定され、また学部について留学生を含む州外の学生の割合が18%を超えてはいけないのだそうです。ですので、留学生や全米からの学生は大学院の方に集中しているとのことでした。
私の方からはノースカロライナ大学機構とその傘下にある大学の関係についてお聞きました。機構が全体のポリシーを決めていき、教育研究の実際はそれぞれの大学が自立して行なっているそうですが、予算などの最終的な決定は州議会が行うので、そことの交渉が機構長、さらには各学長の重要な仕事となっているようです。
リー・ロバーツ学長、きちっとしたビジネスマンのような風貌でしたが、投資会社を創設し共同経営者として活躍、また州政府の予算局長やノースカロライナ大学機構の財務委員会の委員長を務めるなど、まさに財務のエクスパートという方です。大変真摯に質問に答えていただきました。スティーヴンソン副学長からライバルであるデューク大学の卒業生であることをからかわれて、小さくなっていたのが微笑ましかったです。
9月23日②
お昼をジャパンセンターでいただいた後は、新しいキャンパスであるセンテニアル・キャンパスまで移動です。図書館の前の建物の中にある本学のグローバル・キャンパスにて、留学アカデミーで訪れている14名の本学学生との交流会を持ちました。去年4月に当時の岸田首相をお迎えした場所になります。
自己紹介をしてもらった後、私への質問やこちらからの質問など、非常に充実した時間を過ごすことができました。司会のお二人の学生さん、ありがとうございます。
そのうちの一部だけを披露したいと思います。例えば質問には、留学の意義、大学として留学をもっと増やしていきたいと考えているか、それはなぜか、などがありました。またノースカロライナの学生はみんな授業に対してすごくモチベーションを持って取り組んでいるのに、名大生、そして日本の大学生は単位を取ることを目的にしていてそのようなモチベーションがない、というような鋭い指摘もありました。また面白かったのが、いくつかの授業に出させてもらったが、授業のレベルは名大の方がはるかに高いと感じた、という工学部の学生の感想です。大学入試もあり、名大に限らず日本の学生は入学時の学力は世界的に見ても相当高いと思います。学部でしっかりと専門を教えていくので大学院の1年生のレベルも名大の方が専門性が高い授業をすることができます。一方で、専門以外の授業を取る機会が限られているのが弱みかもしれません。それについては、数名の学生が、ノースカロライナ州立大学のように主専攻(メジャー)だけでなく副専攻(マイナー)を持ってそちらの授業を取れるようにして欲しいと言っていたのは、重要な提言だと思っています。
私への個人的な質問も含め、当初予定した時間を大幅に超過、司会の方には本当に心配をかけました。次の予定にはきちんと間に合ったと思いますので、ご容赦ください。
終了後は集合写真、そして、学生全員とツーショットの写真を撮りました。要望で、女子学生とはノースカロライナ州立大学の狼ポーズを、男子生徒とは肩を組んでの撮影でした。
9月23日①
本日の午前中は、昨日お会いしたノースカロライナ州立大学のハウエル学長はじめ、エミイ・コンガー副学長、ノースカロライナ・ジャパンセンターのスティーヴン・サムナー所長、コンガー副学長の元で働いているアリソン・ハスキンスさんとのトップマネジメント・ミーティングです。こちらは、水谷副総長、佐宗副総長、神山NUTech所長と小野次長ら事務方が出席しました。場所は大学の中にあるノースカロライナ・ジャパンセンターです。以前の本ブログに、この由緒ある建物について少し触れていますので参照ください(2023年1月28日)。
これまでの連携をもとに、今後の発展についてかなり突っ込んで話させてもらいました。例えば、先方からの本学への留学の希望が多いので、これまでの年間5名まで授業料を免除していた枠を増やしていきたいとの要望をいただいたり、先方で実施させていただいている留学アカデミーをさらに発展していったり、両大学の学生がペアーとなって互いの大学を訪問するプログラムを考えていくこと、今回は3件採択したシードファンドの有用性について確認をし継続していくこと、産学連携での連携など、本当に多岐に渡って議論することができた充実した1時間でした。
その後、ジャパンセンターの前庭で、ノースカロライナ州立大学との交流40周年記念式典として、桜の植樹プレートの除幕式を行いました。本学で2月にノースカロライナ州の花であるハナミズキを植樹したのに対応して、3本の桜を植えてくださったとのことです。
地元の人たちによる木遣歌、太鼓の演奏で幕を開け、サムナー所長の挨拶、そしてハウエル学長の「この3本の桜はそれぞれ過去・現在・未来を表している」という解説と両大学の信頼と連携についての素晴らしい挨拶がありました。私からも簡単に挨拶をさせてもらってから、桜の前に設置されているプレートにかかっている幕を二人で持ち上げて、プレゼントを交換して式典は終了です。プレゼントには大学の学生が作ったオーク材のボウルをいただいたのですが、地元の有名な産地からの木材を使っているとのこと、思い出深いお土産となりました。
9月22日③
本日最後の行事は、ハウエル学長の公邸での夕食会です。学内の池に面した素晴らしいロケーション、以前お邪魔した学生会館の近くなのですが、庭からは眺望を楽しめ、室内には暖炉があり、グランドピアノも置かれ、広い厨房があるなど、その贅沢な作りに圧倒されます。学長ご自身は2階に住んでおられるとのこと。15年間住んだ前学長は、ラーレイの街中に引越しされたそうです。
ディナーでは、両大学の今後の連携、特に朝の記念シンポジウムを受けて学生の交流をもっと促進していきましょう、というような話をさせていただきました。ディナーを通じて、両大学の絆が強くなったと信じています。ちなみに、ハウエル学長との写真で指で作っているポーズは、ノースカロライナ州立大学の象徴である狼を表すものだそうです。
ディナーがきっちり1時間半で終わる辺りはとてもアメリカ的です。ヨーロッパだと、遅くなるのを気にせず延々と続いていきます。この辺り、お国柄が出ますね。
9月22日②
記念シンポジウムの後は、出席者の方々とランチをご一緒した後、二手に分かれて、この地域(リサーチトライアングル)に最近建設中のトヨタバッテリーと、富士フィルムのバイオ医薬品の大規模工場を見学してきました。私はトヨタバッテリーに行ったのですが、ノースカロライナ州立大学からもハウエル学長をはじめ、産学連携関係の副学長クラスらが参加、トヨタバッテリーへの期待の高さがうかがえました。
1時間半ほどの道中、ハウエル学長の隣に座ってじっくりと話すことができてよかったです。とはいえ、ハウエル学長、ひっきりなしに携帯で州議会の議員相手にチャットをしていたり電話を受けたり、ありえないぐらい忙しいことがよくわかりました。後ろの席では、小橋工学研究科長と、先方のジム・フェントナー工学部長が盛り上がっていて、車内でのネットワーキング、大成功です。
トヨタバッテリーですが、見渡す限りの広大な敷地、圧倒させられました。プロジェクトがスタートしてから3年も経っていないのですが、すでに3つのラインでハイブリッド用の電池の生産がスタートしているとのこと、そのスピード感にびっくりです。
見学には、先方のトップ(プレジデント)、ドン・ステュワートさんを筆頭に3名の幹部の方に対応いただきました。スチュワートプレジデント、英語が早口で、またたくさん話されるのでついていくのが大変でした。名大の紹介を差し上げたのですが、トヨタとの関係で本学同窓生の内山田相談役の名前を出したら、すぐに「プリウスの生みの親ですね」と喜んでいらっしゃったのが印象に残っています。セミナールームでトヨタバッテリーについての紹介をいただいた後には、現場のハイブリッド用電池セルの生産ラインも見せてもらいました。
見学にはノースカロライナ州立大学からはマーク・シュミット副学長補佐という大学での企業の窓口を一手に引き受けている部署のトップがこられていて、今後の両者の連携を仕切っていくことになりそうです。
トヨタバッテリー、ここではあくまで製品の製造を行うということで、ハイブリッド用から今後はEV用の電池なども生産して行くとのこと。一方、製品開発は、日本にあるパナソニックとの合弁会社としてスタートしたプライムアースEVエナジー(PEVE)などと連携して行なっているそうで、本学の出番はこのあたりにあるかもしれません。トヨタバッテリーでの学生のインターンシップなども両大学に可能性がありそうです。
9月22日①
昨日から、米国ノースカロライナ州に来ています。羽田からアトランタ経由のフライトでしたが、順調でした。
今回は、ノースカロライナ州立大学との交流40 周年を記念して、名古屋大学から連携に関係する副総長や研究科長の方々などを伴っての訪問になります。今年2月に、当時のランディ・ウッドソン学長らが本学を訪問いただいたその返礼にもなります。
本日の午前中は、交流40周年の記念シンポジウムを大学のウィザースプーン学生センターで行いました。ノースカロライナ州立大学はこの間、学長が新しくケヴィン・ハウエルさんに交代しています。2年前に本学が当地に設置しているNU Techが15周年を迎えた時、私が訪問したのですが、その際にノースカロライナ州立大学執行部の一員としてお会いしたことがあります。法律家で、ずっとノースカロライナ州立大にいらっしゃる方ですが、この数年間だけノースカロライナ大学チャペルヒル校に移っていて、帰ってこられました。
シンポジウムは在アトランタ総領事館の前田総領事にもご隣席いただき、これまで連携を支えてこられた先輩たちを含め多くの方が参集され、明るく和やかな雰囲気で執り行われました。前田総領事、来週には離任で日本へご帰国という中、ありがとうございます。
シンポジウムでの最初のハウエル学長のご挨拶は、素晴らしい40年だったが、これから何をしていくのか、未来が大切だ、という内容で大変共感できるものでした。その後の私のスピーチでは、未来について何ができるか、半分ジョークでAIに聞いてみたことなどをご紹介し、今後の学生交流を中心とした教育、研究、そして産学連携の発展についての期待を述べさせていただきました。ノースカロライナ州立大学は、全米で初期のランドグラント大学の一つで、連邦政府から州政府への土地貸与によって、農学や工学など実学を中心に地域の発展に寄与する大学として設立されました。今でも、産学連携や実用といったところに重きを置く大学として全米に名前が知られています。
我々の挨拶の後は、歴史の振り返りや産学連携についてのパネルディスカッション(ファイヤーサイドチャット)がありましたが、なんと言っても両大学の学生が、それぞれの大学への留学経験を話したセッションが最も印象に残りました。
ちょうどノースカロライナ州立大学には、留学アカデミーとして本学の学部学生が5週間のプログラムで滞在中で、今週末には帰国するとのこと、14名の学生がシンポジウムに出席してくれました。その中から2人、経済学部の女子学生と医学部の男子学生、見事なスピーチを行いました。内容も英語も素晴らしいもので、私を含め出席者のみなさん感動していました。ノースカロライナ州立大からも3名の学生が、2人はNUPACEなど中期の留学、1人は夏に実施している自動車関係のサマースクールへの参加の経験をそれぞれ熱く語ってくれました。文化や食事を楽しむとともに、研究にも友人を作ることにも本当に積極的に取り組んだ様子が見えて、後でハウエル学長も「友人のことを強調していたのがすごく印象に残った、こういう交流をもっとやりたい」とおっしゃっていました。
両大学の思いが一つになった大変良い式典だったと思います。
9月19日
今週は、一般向けの講演が続きました。昨日は、SSH関係で、高校生にオンラインレクチャーで、2時間ほど宇宙の話と一部は名大の宣伝もさせてもらいました。
本日は土曜日ですが、医師会でお医者さん相手に宇宙の講演です。皆さん大変熱心に聞いてくださって、レベルの高い質問もいただきました。昔、天文学会の理事を一緒にやった同僚の高校時代の同級生、という方もいらっしゃって懐かしい名前に久しぶりに接しました。
帰ってから明日からのノースカロライナ出張の準備です。思ったより時間がかかり、寝るのが遅くなってしまいました。
9月17日
本日も打ち合わせが多かったのですが、午後には鶴舞公園にあるStation Aiに行って、「知の拠点あいち重点研究プロジェクトⅤ期」キックオフセミナーでご挨拶差し上げました。
そもそも知の拠点あいちは、愛知県による研究開発の拠点で、長久手のリニモ陶磁資料館南駅のすぐ前に整備されている「あいち産業科学技術総合センター」、「あいちシンクロトロン光センター」、「実証研究エリア」の3つの施設から構成されています。
知の拠点あいちでは、施設以外にも、大学等の研究シーズを活用したオープンイノベーションによって県内主要産業の課題を解決し、新技術の開発・実用化や新たなサービスの提供を目指す産学行政連携の研究開発プロジェクト、「知の拠点あいち重点研究プロジェクト」を実施しています。こちら、2011年度からスタートで、数年の期限を切っての社会実装を目指すということで、今年からそのV期がスタート、今日はそのキックオフ、ということです。
今回は、研究テーマを3つの枠に分けて募集した結果、26件が採択され、そのうち本学が代表となっているものが8件、分担が5件と今期も多く採用していただきました。今期の特徴は、国際枠があること、海外の橋渡し機関として有名なフラウンホーファーと台湾工業技術研究院によるハンズオン支援を受ける、という点などがこれまでにない試みになります。
2028年までの間に大きな成果が出ることを期待しています。
ちなみに、来賓としてご挨拶させていただいたのですが、私の前にあった主催者挨拶、最初が大村県知事、その次が濵口道成元総長(あいちシンクロトロン光センターや本研究プロジェクトを運営している公益財団法人科学技術交流財団理事長)でした。濵口先生、お久しぶりにお会いしましたが、変わらずパッションの人で、スピーチはトランプ大統領まで広がっていく壮大なもの、元気をもらいました。
9月16日
連休明けの今日は朝から打ち合わせ続き、午後には教育研究評議会もあり、忙しい1日でした。
夕方からは、名大発スタートアップのSonoligoと名古屋市がフィーチャーする「次世代に向けた文化体験提供プロジェクト」の一環で、SDGs×文化芸術発表会「名古屋大学杉山総長が語る、たった30人のための宇宙講演」をコモネでやってきました。
Sonoligoは創業者で名大の同窓生である遠山寛治さんが、文化体験を安価に届ける、ということで始めたサブスクを中心とした事業です。その中でも特に、次世代に文化体験を届ける「Sonoligo Future」はスポンサーの協力によって無料でスポーツ観戦や音楽イベント、モンキーパークなどに行ける、というものになります。このプラットフォームを利用して名古屋市と連携して推進している取り組みが、「次世代に向けた文化体験提供プロジェクト」というわけです。
今回は、30名限定ということでコモネの「小上がり」という場所での講演でした。聴衆が目前の床に座っているというなかなかない経験をさせてもらいました。何より、当初は小学生から中学生ぐらいが対象、と聞いていたのですが、蓋を開けてみたら2歳から大学生、保護者までいらっしゃっていて、本当にどう話して良いやら、なかなかのピンチでした。文字が読めないことは想定していなかったのですが、きれいな天体写真だけでも覚えて帰ってもらえれば幸いです。
トーク30分、質問タイム30分という構成で、思ったよりも疲れましたが、楽しい経験でした。終了後にはスポンサーのケイティケイ株式会社、青山英生社長にもご挨拶できました。名大生も含めた文化体験のスポンサー、ありがとうございます。
9月14日
連休中ですが、大学で仕事をしていたところ、私にとって悲しい知らせが届きました。
30年近く前になりますが、京都大学で助教授をしていた時の研究室のボスだった佐藤文隆京都大学名誉教授の訃報です。来年米寿ということで、予定していたお祝いの会のメーリングリストが悲しいお知らせに使われることになってしまいました。
佐藤先生は、日本の宇宙物理学の祖とも言える林忠四郎先生の門下生のお一人で、ブラックホールや宇宙論の研究で大きな業績を上げられた方です。なかでも、それまで知られていなかった新しい種類のブラックホールを数学的に発見したことで有名です。これは当時京大大学院生で後に名古屋大学教授をつとめられた冨松彰先生と行った共同研究で、このブラックホール、冨松・佐藤解は将来にわたってずっと残り続ける偉大な業績に違いありません。
ちょうど先生が還暦を迎えるタイミングで先生と一緒に主催した研究会には、ブラックホール研究などの世界的大家でのちにノーベル物理学賞を受賞されることとなるロジャー・ペンローズ博士が出席されるなど、錚々たるメンバーがかけつけてのお祝い、佐藤先生の偉さを改めて感じさせられたのを思い出します。スティーブン・ホーキング博士が1985年に初来日したときには京都だけを訪れていて、京大での講演会、佐藤先生がホストをされていたと記憶しています。
ご冥福をお祈りいたします。
9月8日
本日、というより気分は前夜ですが、深夜に名古屋で三年ぶりとなる皆既月食がありました。
マンションから私の古いiPhoneでとった写真をアップしておきます。
今日は午後から名城大学で開催中の応用物理学会年会の公開シンポジウム「才能が芽吹く大学入試へ:日本の科学技術と大学教育のこれから」に講演者・パネラーとして出席してきました。このシンポジウムは、日本学術会議の総合工学委員会・未来社会と応用物理分科会も主催となっています。こちらのイベント、せっかく近所であるので是非、と誘ってくださったのが仕掛け人の一人である九州大学の玉田薫副学長(学術会議会員)です。
招待公演には、文部科学省の奥篤史人材政策課長、内閣府総合科学技術・イノベーション会議の議員で東京科学大の波多野睦子理事・副学長、大野英男東北大学前総長、益一哉東京工業大学元学長というメンバーで、司会が大阪大学の関谷毅教授(学術会議会員)という少々ヘビーな陣容でした。
招待講演ですが、私は本学の人材育成からアドミッションまで15分間話させていただきました。資料作成お手伝いいただいた皆さん、ありがとうございます。他の先生方の講演、大変参考になるものばかり、興味はつきません。招待公演のあとは、玉田さん、応用物理学会会長の木本恒暢京都大学教授も加わって、100分ほどのパネルディスカッション、聴衆からの質問に答える形でしたが、大いに盛り上がりました。ちなみに、最初の質問者が、なんと名大の学部一年生、入試の総合型選抜について堂々と質問してくれました。一年生からのレベルの高い質問に皆さんびっくりされていたことと思います。
9月6日
本日は今回のシンガポール訪問のメイン・イベント、全学同窓会シンガポール支部設立総会がありました。
設立総会は、街中のオーチャード地区にあるグッドウッドパークホテルで執り行われました。学部卒業生、大学院修了生に加えて、NUPACEでの留学生なども加え34名ほど、さらに大使館からは堀田亨公使、相原佑康一等書記官にもご臨席いただき、関係者、また研修中の名大生を合わせて総数60名を超える賑やかな会になりました。ここでも今泉寛特任教授が司会を買って出て、準備を含めて大活躍でした。
今回の総会によってシンガポール支部が正式に発足です。支部認定証、支部旗の授与は、柴田昌治全学同窓会長に代わって、私がさせていただきました。支部長には纐纈伸治さん、副支部長には西村聡子さんとイーリン・リーさん、代表幹事にはジェネヴィーブ・タンさんが就かれました。長く駐在されている方、現地の企業に勤められている方、シンガポール人で名大に留学していた方、とそれぞれですが、まさにシンガポール支部のメンバーはそのような多様な方々で構成されていきます。今後の支部の活動を楽しみにしています。
会場は着座だったのですが、途中皆さん席を立たれ、ネットワーキングに勤しんでいらっしゃいました。どんどんと名大生の輪が広がることを願います。なお今泉さんが皆さんを煽ったので支部旗と私とセットで写真を撮る人が続出、SNSにアップされそうですね。
この後深夜便で帰国です。
9月5日③
午後最後の目的地は再びシンガポール国立大学のキャンパス、タン学長らとの面談です。学長ミーティングルームというところでの面談では、タン学長、ベンジャミン・ティー副学長、さらにNUSエンタープライズ職員の大場優さんというこれまで本学を訪問いただいたメンバーに加えて、アリス・リー看護学センターのリアウ・ソック・インセンター長とお話しできました。最後のリアウ・ソック・イン教授には看護学生の交換留学でお世話になっています。こちらは、私の他は、木村副総長、今泉教授、川尻教授、そして小野次長が出席しました。
懇談では、本学のシンガポール国立大学を拠点とした活動についてご報告を差し上げました。学生の研修では、6月、7月であれば寮が空いているので格安で泊まることができるとのコメントをタン学長からいただきました。12,000ほどの学生が寮に住んでいるのだそうですが、まだまだ全然足りないとおっしゃっていましたが、それでも夏休みは外部からの研修生が利用可能とのことでした。ホテルを使わないで済めばすごく助かります。
名古屋大学のラボをシンガポール国立大学のキャンパス内に設置する可能性についても少しお話をしました。
1時間ほどの懇談の後は、場所を同窓会会館に移しての会食でした。その場には、面談には間に合わなかったデザイン工学カレッジのキー・レオン・テオ学部長も駆けつけてくださり、タン学長の話術で大いに盛り上がった会食となりました。どう教員の給与を決めるのか(教育、研究、運営の3つの点でそれぞれ評価をしてボーナスを学部長が決める)、1年生の新歓キャンプでの上級生によるいじめをどのようにプロボストだったタン学長が解決したのかなど、幅広い話題で興味はつきませんでした。
9月5日②
引き続きシンガポール国立大学の中になりますが、機械生物学研究所(Mechanobiology Institute)へ移動、副所長の遠山祐典准教授と平島剛志助教授にお会いしました。お二人にはDIIとTongaliの学生に対してレクチャーをしていただきました。お二人ともシンガポールの大学に来られるまでのキャリアがすごく、機械生物学という新しい学問を志される方ならではと思いました。例えば、遠山准教授は、大学院時代はレーザー核融合を阪大で研究していて、ポスドクでアメリカに移るときに生物学に転向したとのこと、異なった学問間のジャンプにびっくりさせられました。お二人とも常に新しい刺激を求めてこられた点が共通されていて、DIIとTongaliの学生に伝わることを願っています。
昼食は移動のバンの中でサンドウィッチを頬張って済まし、続いて在シンガポール日本国大使館とその関連のイベントへ出席してきました。大使館では、前回の訪問でもお会いした石川浩司特命全権大使に再び面談の機会をいただき、この間の本学のシンガポールでの活動をお伝えすることができました。石川大使からは、シンガポールは、本年が建国60周年、来年が日星交流60周年であり、大使館としては来年に向けて交流を盛り上げていく予定であること、日星交流の中でも特に高等教育分野は活発な印象があるとのお話がありました。なお、大使との面談では、堀田亨公使、経産省から出向の小澤俊一郎一等書記官、農水省からの潮田遼二等書記官にもご同席いただきました。堀田公使は今回一緒に行っている木村副総長、現地の今泉教授と奇しくも同じ高校出身でシンガポールの愛知県人会にも所属しているとのこと、また潮田書記官は名大の農学部卒業、生命農学研究科修士修了ということで、不思議な縁を感じる訪問でした。
9月5日①
二日目の今日は、午前中はシンガポール国立大学の中に入っているクリエイトという政府系の研究支援組織を訪ねました。
お会いしたのは、エクゼクティブディレクター(アカデミックリサーチ担当)のサブド・マイサルカー教授です。クリエイトは研究プロジェクトを設定、外国の大学とシンガポールの大学の連携を支援するための資金や場所を提供しているとのことでした。スイス連邦工科大学(ETH) やMITなど各国を代表する大学とテーマを決めてラボを設置するのが一番大きなプログラムですが、それ以外に、脱炭素、AIといった課題に対してシンガポールの大学と連携して応募できる、というプログラムもあるとのこと、本学も何かシンガポール国立大学、南洋理工大学あたりと連携して出せるプロジェクトがないか、検討していこうと思っています。今回は、工学研究科からマテリアル科学の専門家である川尻教授にも参加いただき、その分野の本学のアクティビティをマイサルカー教授にご説明差し上げることができました。
懇談終了後は、クリエイトの入っているのがタワーという高層ビルということもあり、マイサルカー教授に屋上を案内いただきました。
9月4日
今日から二泊四日の予定でシンガポール出張です。
初日の今日はセントレアから直行便でシンガポールのチャンギ空港まで、ホテルに着いたのは現地時間の午後4時過ぎでした。
早速、夜にはSGイノベートという政府の機関が持っているダウンタウンのビルでのイベントに出席しました。イベントは名大主催で、ちょうどシンガポールで研修を受けている、卓越大学院DIIプログラムの11名、トンガリの5名、看護学生6名(1名はイベントは不参加)、シンガポール国立大学が提供するインターンシップ生3名という多彩な名古屋大学の学生を集めてのものになります。DIIとトンガリは今日シンガポールに到着、看護の学生は10日ほどの実習が終わり明日帰国とのこと、インターンシップ生は学部生ですが、これから12月までの長丁場になります。
イベントに先立って、スペースを提供してくださったSGイノベートのリム・ジュイCEOとお話をさせていただきました。政府の出資する独立機関で、ディープテックを対象に200億円以上のお金を出資するVCを運営しているとのこと、リム・ジュイCEOも非常に広範なネットワークをお持ちの方で圧倒されました。
イベントは名大の現地法人の代表である今泉寛特任教授が仕切ってくれて、ざっくばらんな楽しい会となりました。個人的には、学生たちといろいろ話ができてよかったです。このような研修に参加するだけあって、皆さんモチベーションがとても高く、頼もしい学生たちばかりでした。今回が初めての海外という学生がいる一方で、すでに他のプログラムで短期留学を体験している人もいて、今回のような研修がさらなる留学に対する良いきっかけになることを願っています。
看護の皆さん、お疲れ様でした。DII、トンガリの皆さん、これから頑張って、また楽しんでください。インターンの学生は海外でのスタートアップ企業での貴重な体験をしっかり積んできてください。皆さんの成長を楽しみにしています。
9月3日
本日は、フィリピン高等教育委員会からの訪問団と、内閣府の政務官の視察が重なってバタバタしました。
午前中は、フィリピンからの訪問団です。大学を所轄する高等教育委員会(CHED)のコミッショナー(副大臣)であるリクマー・アキノ博士を代表に、CHEDのメンバー3名、フィリピン大学ロス・バニョス校からホセ・カマチョ学長、アガム・クエバス副学長、ビサヤス国立大学からはプローズ・アイヴィ・ジェペス学長、ロタシオ・グラボソ副学長、さらにセントラル・ルソン国立大学からパーソンズ・ヘイル事務局長、そして在名古屋フィリピン総領事館からシルレン・マナンキル総領事ら5名の方と総勢14名になる非常に大きな訪問団でした。
さらに、フィリピンからはオンラインでシャーリー・アグルピス高等教育委員会委員長(大臣)に出席いただきお言葉をいただきました。
私が出席した最初のセッションでは、お互いの挨拶と名古屋大学の説明、集合写真と記念品の交換を行い一旦終了です。しかし、今回はその後が本番で、CHEDが新たに提案するグローバル人材養成プログラム「GALINGプロジェクト」への本学の参加が話し合われました。フィリピン側は、すでに本学のASCIでの博士後期課程プログラムで国際開発や農学分野を中心に人材育成に貢献されており、今回のプログラムでは分野を他の分野に広げることも含めて検討することとなりました。これまでも本学はフィリピンとは密な交流を行ってきましたが、ますます交流が進むことが期待できます。
一旦総長室に戻ったあと、午前最後とランチを兼ねて、1号館5階で内閣府の友納理緒大臣政務官と松尾機構長、佐宗副総長、事務局長を交えて懇談を行いました。友納政務官は看護師・保健師、弁護士の資格を持つという異色の方で、そもそも看護の道を志したのは高校の時のフィリピン留学がきっかけだったとのこと、偶然ですがフィリピン繋がりですね。
さて、今回は本学のスタートアップの取り組みなどの視察になります。内閣府科学技術・イノベーション推進事務局から4名の方が随行されての訪問です。
懇談では、スタートアップについてもですが、主には大学病院の経営はじめ、大学の置かれている厳しい状況が話の中心でした。政務官、現場の状況をよくご存知で、また幅広いテーマを担当されていることに驚かされました。このような視察は、とかく駆け足になってしまうのですが、今回はゆっくりお話できたのが本当によかったです。この後は、Tongali、ディープテック・シリアルイノベーションセンターのメンバーとの懇談、C-TECs、C-TEFsの視察と控えていますが、暑い中、本当にありがとうございました。
9月2日
本日は、午前中は日本産学フォーラムにオンライン出席、大学人と産業人を中心とした集まりで大企業のトップの方々が参加、時には講演をいただけるというものなので、貴重な機会です。帝国ホテルで行っているのですが、地方にいるとなかなか実際に参加できないのがもどかしいところです。
午後は、定例の教育研究評議会があり、その後は、そのメンバーを中心とした暑気払いを豊田講堂内のユニバーサルクラブで行いました。教育研究評議会、留学生の受け入れと経済安全保障の問題について、ご報告とその後の議論に多くの時間を割きました。本当に難しい問題です。一方、暑気払いはそこかしこで話に花が咲いており、盛り上がっていました。ざっくばらんに話す機会はそうそうないので貴重です。
9月1日
あっという間に8月が終わりました。9月に入ったというのに、酷暑は続いています。
今日は、午後に愛知県ユニセフ協会の役員会が、コープ本山でありました。
愛知県ユニセフ協会ですが、先日大府市との連携が進み、名大祭を含む大学祭などのイベントへの出展などを積極的に行ってきて、10月4日は愛・地球博記念公園での「ユニセフラブウォーク」というイベントも控えています。結成3年をまもなく迎え、2027年の5周年企画についても考え始める時期がきました。早いものです。
ボランティアの方々に大活躍いただき、高校生を含め、バンテリンドームなどでの募金に協力いただくなど活動も広がりを見せているのですが、団体賛助会員がなかなか増えず予算的には少し厳しい状況です。役員会では、会長を先頭に増やす努力をするように、という喝も入れられましたので、頑張りたいと思います。