益川敏英先生のご逝去の報に接し、心から哀悼の意を表します。
益川先生は本学理学部、理学研究科において坂田昌一博士の下で素粒子物理学を学ばれ、後輩の小林誠先生とともにCP対称性の破れの起源を提唱した「小林・益川理論」は現在の素粒子物理学の根幹をささえるものとなり、2008年、ノーベル物理学賞を受賞されました。
益川先生が学ばれた坂田研究室では、学問の上では学生も教員も対等であるという気風があり、益川先生ご自身もそれを体現され、それが現在の名古屋大学の校風「自由闊達」の礎となり、本学から数多くの研究業績を輩出する原動力となりました。
益川先生は、その飾らないお人柄で誰とでも対等に接し、本学の特別教授になられた後も、名古屋大学素粒子宇宙起源研究所の初代所長に就任、全学同窓会の海外支部で講演を行うなど、近年まで本学のために尽力いただきました。
お別れすることは本当に残念ですが、我々大学人は益川先生の教えを胸に刻んで、真理の探求に一層精進して参ります。
令和3年7月29日
東海国立大学機構長・名古屋大学総長 松尾清一
益川 敏英 特別教授の略歴、業績及びご紹介
名大プロフィール2009 巻頭対談記事