本学の杉山直総長一行は、2025年9月22日から24日にかけてノースカロライナ州(米国)を訪問し、ノースカロライナ州立大学にて交流40周年記念式典を開催しました。今回の訪問は、本年2月にノースカロライナ州立大学一行を迎えて開催した記念式典に対応して開催されたもので、本学にとって、米国での重要かつ戦略的な国際パートナーシップにおける大きな節目となりました。
総長、副総長を含む21名の教職員が、3日間にわたり、記念式典及び記念シンポジウムへ出席したほか、それぞれに学長会談、研究分野ごとの打合せや研究施設訪問等に臨み、既存の関係を一層強化するとともに、教育・研究・産学連携における新たな協力の可能性を探りました。
祝賀行事の随所で、両大学の長年にわたり築いてきたパートナーシップの発展の歩みがはっきりと感じられました。記念式典では杉山総長が、「両大学が連携して次世代の教育を推進し、共同研究やシンポジウム、学生交流の更なる拡大を通じて、社会に貢献できる人材を育成していく必要がある」と強調しました。2023年に、本学はノースカロライナ州立大学センテニアルキャンパス内に初のグローバルキャンパスを開設しました。この物理的な拠点を基盤として、両大学の協力関係は一層深まり、昨年度は121名の学生と26名の教員の交流が両大学間で行われました。



現地滞在中、一行は2つのグループに分かれ、ノースカロライナ州内で国際展開を進める日系企業を視察しました。杉山総長一行は、ノースカロライナ州立大学のケビン・ハウエル学長一行と共に、トヨタ・バッテリー・マニュファクチャリング・ノースカロライナを訪問しました。同社は、本年操業を開始した、トヨタ自動車にとって北米初かつ唯一のバッテリー製造拠点です。全面稼働時には約5,000人の雇用を生み出し、地域経済の発展に大きく寄与することが期待されており、両大学の代表者は、同社との将来的な三者連携への期待を寄せました。


もう一方のグループは、現在第2段階の建設が進むバイオ医薬品開発・製造施設であるFUJIFILM Diosynth Biotechnologiesのホーリースプリングスサイトを訪問しました。約37億ドル規模となるこの施設は、2029年に完成予定で、医薬品会社のための開発・製造受託機関(CDMO)として稼動する予定です。同社は、この地域の強固なエコシステム、ノースカロライナ州立大学とのパートナーシップ、リサーチ・トライアングル・パークでの優れた人材へのアクセスの良さを理由に、ノースカロライナ州を設置拠点として選定しており、州内の優秀な人材輩出を担う大学との連携促進も行っています。一行はさらに、同社と連携があるノースカロライナ州立大学内のバイオマニュファクチャリング・トレーニング&エデュケーションセンター(BTEC)も訪問し、意見交換を行いました。同社の出席者からは、「産学連携・協業の促進するにあたり、大学への助成制度を設けながら開始することが多い」との説明があり、ノースカロライナ州立大学との取組事例が紹介されました。

本学とノースカロライナ州立大学の研究協力は近年活発化しており、その背景には共同研究シードファンド制度が挙げられます。この制度により昨年度は2件の新たな共同研究が開始され、今年度は更に3件のプロジェクトが採択されました。こうした成果を踏まえ、これらの取組や類似する制度の更なる拡大について協議を行いました。

一行のうち数名は、NU Techラウンドテーブルに参加しました。両大学の有望な若手研究者が、持続可能な生命農学分野におけるバイオテクノロジー関連の研究を発表しました。この交流は、従来の学術的枠組みを超え、技術移転やイノベーションの促進へと発展していることを示すものとなりました。

両大学間の学生交流もますます活発になっています。ノースカロライナ州立大学は、本学が初めて実施した教員引率型短期留学プログラムの受入大学であり古くからの交流があります。本年夏には、同校のビジネススクールとの交流プログラムが初めて実施され、今後の更なる展開に道を開きました。一行の滞在中には、短期派遣プログラムである「留学アカデミー」に参加し同校を訪れていた学部生14名が、杉山総長と懇談の機会を持ちました。

杉山総長とノースカロライナ州立大学のケビン・ハウエル学長による学長会談では、学生交流が主要テーマの一つとして取り上げられました。両大学は、夏季の宿泊先の手配を含む革新的なプログラムを通じた学生交流の拡大を模索しました。また、両大学は、前述の共同研究や教員交流の進展を歓迎するとともに、今後更にその促進を図ることを確認しました。加えて、先端技術分野を中心とした国際的な産学連携においても、協力関係を一層深めていく方針が共有されました。

ノースカロライナ・ジャパンセンターの庭園では、ノースカロライナ州立大学との交流40周年記念式典として、桜の植樹プレートの除幕式を行いました。過去・現在・未来にわたる両大学の永続的な関係を象徴する証として三本の桜の木を植樹してくださっていたということで、重要な記念行事でした。本年2月に本学敷地内にハナミズキが両大学の提携を記念して植樹されたことを受け、植樹してくださったものです。このハナミズキは本学を訪れる同校の学生たちの集いの場となり、両大学の交流を象徴する存在となっています。

両校が未来を見据え歩みを進める中、40周年記念式典はパートナーシップの次の段階への出発点となりました。今後は、研究協力の拡大、学生交流の促進、そして産業連携の深化が計画されており、両校の関係は、大陸や文化を越えた持続的な国際学術協力の成果を示すものとなり続けています。