名古屋大学×ブラザー工業 びびり振動診断技術で加工の高能率化を支援

公開日:2026年11月05日
プレス

名古屋大学大学院工学研究科の早坂 健宏 准教授、社本 英二 教授が、ブラザー工業株式会社の浅利 直宏 氏らと共同研究で開発した「びびり振動診断技術」(特許:7721944号)が実用化に至りました。

金属を削る加工では、工具や材料が激しく振動する「びびり振動」が発生する可能性があります。このびびり振動は、一度成長すると一般的には非常に大きな振動変位にまで成長し、製品の仕上げ面品質の劣化や工具・工作機械等の損傷を引き起こすため、産業界にとって重要課題とされています。図1の左図は実際にびびり振動が成長した例であり、目立つ斜め左上がりの振動痕が確認できます。このような振動が発生した場合、加工した工作物を廃棄せざるを得ないこともあり、大きな損失に繋がります。

 

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図1 (左)びびり振動が発生した加工面と(右)提示された高能率安定加工条件採用による改善後の加工面

 

この振動を抑制するために、従来は切込みを小さくするなどの対策が取られてきましたが、それに伴う加工能率の低下は特に量産加工では受け入れ難いという課題がありました。

今回共同開発した「びびり振動診断技術」は、切削加工中に工作機械のサーボシステム等から抽出可能なびびり振動の特徴を表す複数の情報を利用し、それらの情報から問題となっている振動系の動特性を同定します。その同定した特性を用いて、安定加工を実現する加工条件を生産技術者に提示します。開発した診断技術の利用画面を図2に示します。

 

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図2 開発した新たなびびり振動診断技術の利用画面

 

 図2の画面上に示された緑色の領域は、びびり振動に対する安定度が高い加工条件を表しており、本技術ではその領域に対応する主軸回転数を生産技術者に提示します。さらに、従来技術とは異なり、提示された安定加工条件と比較して、現在の加工条件がどの程度安定であるかを評価することもできます。この情報により、生産技術者はびびり振動に対する各加工条件の優劣を理解でき、次回以降の加工条件の選定にも活用できます。

本技術により提示された安定加工条件を生産技術者が採用することで、図1の右図に示す例のようにびびり振動の発生を抑制することができました。量産においても同様の効果が期待されます。また、提示された安定加工条件の中からより加工能率の高い条件を選ぶことで、製品の品質を維持しながら生産性を向上させられる可能性があります。

共同開発した新たなびびり振動診断技術は、現在、ブラザー工業株式会社の工作機械に「びびり診断サポート」機能として搭載されており、既存機種や今後発売される機種への搭載も進められています。

今後も企業との連携を通じて、研究開発した工作機械・加工技術の実用化を推進していきます。

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