このたび、東京文化財研究所とバーレーン文化古物局が共催する「探訪!!バーレーンの歴史と文化」(https://www.tobunken.go.jp/info/event/2025/0420/)にて、名古屋大学が開発を進めてきた3Dデータ鑑賞システムCulpticon(カルプティコン)を使ったイベントを開催いたします(図1)。
Culpticonは博物館施設で手軽に導入可能な3Dデータ鑑賞システムとして名古屋大学で研究と開発を進めてまいりました。2021年以来、人文学研究科・情報学研究科・大学博物館の共同プロジェクトとして推進しており、2022年3月には本学博物館で試験運用を開始しました。現在では東海地方を中心に複数の施設で導入されています(https://www.culpticon.jp/)。
図1 「探訪!!バーレーンの歴史と文化」のポスター(東京文化財研究所提供)と
Culpticon(カルプティコン)のポスター
このたびのイベントでは、飛騨市教育委員会・石棒クラブ・TOPPAN株式会社と共同で、Culpticonを使ったワークショップ「石棒・印章神経衰弱」を実施いたします。このワークショップでは、飛騨市で出土した石棒(縄文時代の祈りの道具)の実物と、高精度3Dプリンターで製作したバーレーン出土の印章を使用します。それぞれを中身の見えないブラックボックスに入れ、参加者には触覚だけで形を覚えてもらいます。その後、Culpticon上の3Dデータとマッチングさせるゲームを体験していただきます(図2)。
図2 Culpticonを使ったワークショップの様子(飛騨市教育委員会提供)と、
バーレーンから出土した印章の3Dデータ(東京文化財研究所提供)
名古屋大学は、Culpticonを通じて文化財と社会との距離を縮めることを目指し、これまでに複数の自治体や博物館施設と連携しながら、文化財の新たな鑑賞体験を提供してきました。今後も、3Dデータ技術を活用したイベントやワークショップを通じて、文化財に触れる機会を広げる取り組みを進めてまいります。また、自治体や博物館、企業との協力を一層深めることで、文化財の魅力をより多くの方々に届けることを目指してまいります。