人手・水・電気を用いない形状自由な消火機器の研究開発を実施します

公開日:2025年10月09日
プレス

名古屋大学大学院工学研究科の石垣範和助教は、株式会社GOTO(愛知県常滑市、代表 後藤彰一郎)、プロ・クリエイティブ株式会社(兵庫県神戸市、代表 石垣毅英)と連携し、人手・水・電気を用いない形状自由な消火機器の研究開発、リサイクル技術確立の共同研究を開始しました。

なお、消火実証実験については、神戸市消防局、環境局の協力のもと、実験の開始、検証を実施しています。また、開発した火災機器の設置および劣化経緯については、奈良県天理市、愛知県蒲郡市にて消火機器の初期モデル(ゴミ箱等、大型箱等への設置型、消火機器)にて実証実験を実施しています。

 

この実証実験は、社会問題化しているリチウム二次電池の安全な保管・回収・輸送の実現や輸送機器、交通機関、総合ショッピングモール、ホテルなどを対象とした低コストの消火機器の提供、社会実装を目指すものです。消火方法は、主に窒息消火を採用し、固形消火剤等による疑似的密封空間の作製と不燃性ガスの充満により発火予防、消火します (図1,2, 例.リチウム二次電池等、小型消火機器による例)。使用想定場面は、自宅における二次電池の保管、膨らんだ二次電池の回収、輸送時の発火リスクの低減、観光地・集合施設等の不特定多数が使用するゴミ箱などを想定しています(図,リチウム二次電池等の安全な回収方法のイメージ図、 図4, 研究開発物の使用・応用の例)。

 

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図1. リチウム二次電池の保管・輸送を想定した小型消火機器の試作品

・サイズ:携帯電話並びモバイルバッテリー、電子タバコ等を想定

・使用方法:電池製品(赤色)を右側、白色の自動消火機器内部に入れ中央、白色の自動消火機器で蓋をし、箱に入れるだけ

 

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図2. リチウム二次電池の保管・輸送を想定した小型消火機器の消火原理

   (簡単な説明:消火器の消火性能(窒息消火)の能力を向上させた消火原理を用いた装置)

 

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図3. リチウム二次電池等、開発した小型消火機器を用いた

発火物の危険のある製品の安全な回収・輸送方法のイメージ図

 

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図4. 研究開発物の利点を活かした応用・使用の例

 

本研究を通して、膨らんだリチウム二次電池の保管、回収、輸送や設備投資費・安全点検の都合、従来の防火施設の設置が困難な場所に対し、形状の自由さを活かした高性能な消火機器を提供することで、国民・資産の火災対策に貢献します。また、消火機器の製造、リサイクルを通し、国家安全保障、農業、工業、医薬品に関わるリン資源の循環経済の構築と備蓄、環境保全に貢献します。

 

<将来展開>

・2025年10月末以降~2025年12月末、小型消火機器、輸送機器等を販売開始

・各自治体等への膨らんだリチウム二次電池の回収事業、リサイクルシステムの提案

・形状の自由さを活かし大型二次電池等の発火対策の消火機器開発などを予定しております。

 

―――研究開発物について―――――――

<開発した消火機器の特徴>

①発生した熱、炎に反応し素早い初期消火、延焼防止が可能

②形状が自由なため、小型化や大型化が可能

③理論上、高性能消火器並の高い消火性能を有する消火機器の製造が可能

④温度感知タイプ、冷却タイプなど従来の消火器にない防火能力の付加が可能

 

<開発した消火機器を使用する利点>

①消火器よりも速い初期消火、炎上防止が可能なため、火災被害を抑える効果がある

 (消火器と異なり、人による消火活動が不要なため、人が火災を発見し、消火器を用意、消火活動を開始する時間よりも速い初期消火が可能)

②高価な設備投資が不要 (スプリンクラー、センサーや水道設備する設備投資が不要)

③消火性能が高いため、炭火、ガソリン、軽油などの火災にも対応可能

④使用方法、使用後の掃除が容易

⑤人手・水・電気を用いることが困難な場所への設置、利用が可能

 (例, トラック、電車、飛行機、など輸送関連

 商業施設・観光地、飲食店、ホテル等の不特定多数が使用するゴミ箱

 塵芥車・ヤード・工場・製造機器等の消火、延焼防止策が難しい場所)

⑥人体に優しく・環境に優しい素材を利用 (誤飲、誤食など想定外の使用方法を除く)

⑦消火機器の使用、リサイクルにより、温室効果ガス・環境負荷の軽減だけではなく、循環経済の構築、非常時・将来の農業・工業・医薬品の製造・資源の国家安全保障に貢献

 

 

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