名大生ボイス

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大学生活全般

2017.01.05

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河合くんから見た授業-学生実験について

大学の理系学部といって、皆さんが思い浮かべることの一つに実験があるでしょう。理学部や工学部、農学部など、多くの理系学部では学生実験が必修科目となっています。今回は、理系の皆さんについて回る実験科目のうち、学部2~3年生で履修する「学生実験」について、実際の様子や履修してみた感想などを紹介しようと思います!「高校では実験させてくれなかったから楽しみ!」や、「レポートが辛いらしいけど本当なの?」といった皆さんの声にお応えできればと思います!

 

学生実験の目的

学生実験の主な目的は主に2つあるように思えます。1つは実験を通じて講義で学んだ内容の理解をより深めること、もう1つは実験操作やレポート作成を通じて4年次以降に配属される研究室での研究活動の基礎を作ることです。

大学の講義の内容は非常に難しいので、言葉や数式で理論はなんとなくわかっても中々想像しにくいものも多くあります。そのため、学生実験において実験操作の一つ一つの意味をきちんと確認し、講義で習った事柄を実際に体験していることが大学で学ぶことを理解する上で必要不可欠です。また、大学の実験では実験後にレポートを作成して実験結果や考察を報告する必要がありますが、理論をしっかりと理解していないと実験結果に対して考察が立てられないので、理論をしっかりと勉強せざるを得ない状況に追い込まれます。そのため、学生実験をしっかりと行うことで専門分野についての理解をしっかりと深めることができます!

また、学生実験で実験装置を操作したり、実験結果について考察してレポートを作成する事を通じて、4年次以降の研究室での研究活動に必要な能力の基礎を築くことができます。学生実験は実験方法がテキストに詳細に記されており、結果もある程度予測できるため、実際の研究活動よりも結果の分析やレポートの作成がしやすくなっています。このような機会は講義では中々持てないので、学生実験を通じて今後必要な実践力を身に着けると良いでしょう。

 

学生実験の内容

学生実験の内容は、初めは基礎的な内容から行います。僕の学科では初めは中和滴定といった高校や大学の専門基礎科目で扱う内容の実験を行いましたが、高校とは違って1人1つの実験器具を使わせてもらえるので、思う存分に実験を行うことができ、最終的にはビュレットという滴定に使う器具を上手に扱えるようになりました!!!

実験回数を重ねるごとに内容は段々と高度になったり専門的になったりしていきます。僕のコースですと3年後期で行う実験では、他のコースの人はおそらく一生扱わないような装置を使ったり、コンピューターシミュレーションを用いて実験を行うなど、非常に興味深い内容へとシフトしていきました!(内容についてはここで説明すると中々煩雑になるので、省略します。)

 

高校と大学の実験の違い

高校と大学の実験の一番の違いは、実験レポートの提出が課せられることです。実験レポートとは、実験目的や扱った現象や装置の原理、実験結果やそれに基づく考察をまとめたもので、一通りの実験が終了するたびに提出を求められます。レポート作成では手持ちの教科書に書いていない知識を求められ図書館で文献を参照する必要が出てきたり、データの処理に煩雑な計算を求められたするので、想像以上に時間がかかります。僕の学科では週に1本のレポート提出を求められ、1本の作成に8~12時間程かかる内容の重いものでした。さらに内容に不備があると再提出を求められるため、再提出のレポートを溜めてしまうとレポート提出前日は睡眠時間が十分に確保できなくなるという悲惨な事態に陥ります...(僕は中間テスト前に再提出のレポートを溜めてしまいひーひー言っていました(笑)でも学科の友達みんながそのような状態なので、みんなで「無理!」と言いながら必死にレポートを書くのも、それはそれで楽しかったです)ですが、レポートを作成している途中で「あの時講義で言っていたことはこういう事だったんだ」と理解が深まったり、処理したデータが理論とピッタリ重なったときの感動や達成感は中々クセになります。

また、学生実験でないと触らせてもらえない高価な装置や珍しい装置を実際に扱えるのも実験の大きな魅力の一つです。学部3年生にして何千万円もする装置を扱えるのは学生実験ならではと言えるでしょう。

 

反応が進むのをひたすら待っているところ。

 

学生実験の良いところ

これまで紹介してきた通り、学生実験に取り組むことで学問に対する理解が深まり、今後の研究生活に必要な素養を高めることが出来ますが、学生実験にはもう一つ良いことがあります。それは、実験を通じて学科の同期と仲良くなれたり、先生やTA(Teaching Assistant)としてご指導くださる学科の先輩方と直接会話できることです。

大学の人間関係は想像以上に希薄です。大学にはクラスという概念が無いので学科の友達を作るのは高校までよりもずっと大変です。それにも関わらず、大学の講義は風邪などで欠席してしまうと友達にプリントを確保しておいてもらったりノートを見せてもらったりする以外には講義の内容を知る手段がなく、講義の内容が分からなくなってしまって先生に質問をしたいと思ってもメールでアポイントを取る必要があるため、基本的には友達同士で教え合うこととなり、これまで以上に人間関係を構築することが大切となってきます。ですが、学生実験ではグループで協力して実験を行うことが多いので、これまでよりも学科の同期と話す機会が圧倒的に増えます!また、大変な時期を一緒に乗り越えるため、学科の中で謎の結束力が生まれたりもします。学生実験は新しい友達を作る良い機会なのです。

また、先生やTAの先輩方とお話するのは、学問に対する意識を高めたり、研究室の雰囲気を知ったりするのに非常に役立ちます!先生方もTAさんも話しやすい方が多いので、実験の際には色々な話を聞かせてもらえるでしょう。

実験レポートの一例。ちゃんと表紙も付けます。

 


 

以上が学生実験をやってみた感想です。学生実験は中々大変な科目ですが、それ以上に身になる科目でもあると思っています!理系学部志望の方は楽しみにしていてください!

Profile

所属:工学部化学・生物工学科分子化学工学コース3年生

出身地:愛知県