名大生ボイス

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大学生活全般

2018.04.19

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カンボジア正月のイベント-名大が行う法律整備の話しを添えて-

受験生のみなさん、こんにちは。小川高広です。

今日はカンボジアのお正月をお祝いするイベントを中心に、名大が行う法律整備についてお伝えします。

 

このイベントは、名古屋大学東山キャンパスに新しく建設されたアジア法交流館で行われました。アジア法交流館は、東南アジアなどアジア地域を中心とした国々の法律整備を支援するための拠点の一つとして建てられました。名古屋大学が法律整備支援???もしかすると、受験生のみなさんにはあまり馴染みがないかもしれません。

みなさんもよく知っているとおり、名古屋大学に縁のあるノーベル賞を受賞された先生方が多くおられます。みなさんは名古屋大学に対して自然科学といった「理系」の研究や教育が有名、そういうイメージを持っているかと思います。もちろん、それは正しいのですが、「文系」の分野に関連する研究や教育も、「理系」同様に盛んで力を入れています。その一つが法学部や大学院法学研究科です。ここでは文字通り法律のことを扱っています。その中でも特に注目されているのが、法律整備に関することです。少しこの話しをします。

日本などは法律が整備され、社会は法律によって動いています。そのような国々のことを法治国家とよく言われます。みなさんも公民の授業で聞いたことがあるのではないでしょうか。日本にいたら法律があって当たり前と思うかもしれませんが、実は法律がしっかりと整備されていない国々もまだまだあるのです。たとえば東南アジアにある一部の国々は、全く法律がないわけではありませんが、法律が「不足」しています。経済成長が続き、情報社会もどんどん進行しています。しかし、社会の変化が著しく、法律の整備が社会の変化に対応しきれず、追いついていないと言われています。人々の生活を守り、快適な社会を作るための法律が不十分なため、様々な問題が生じています。法律による規制が緩く、あるいは取り締まる法律がないために犯罪の温床になっているというケースや、ビジネスの分野では十分に消費者が保護されておらず、たとえば、消費者がひどい品質の商品を買わされたとしても、売り手の立場が強く、消費者が不利益を被ることもあります。環境汚染を防ぐための法律がなく、工場などからの排ガスや排水が適切な処理をされず、人々の健康を脅かす物質が排出され続けていることもあります。日本ならば、法律によって環境汚染を防止するための法律があり、排出の基準が定められていますが、一部の国の現状では、そこまで手が回っていません。このような状況が続けば社会に悪影響をもたらします。こういった状況を少しでも改善するために、名古屋大学の法学部・法学研究科がアジアの政府機関など関係機関に対し、法律やその整備に関する助言を行っています。そして、政府機関の職員を留学生として積極的に受け入れ、日本のノウハウを伝えています。

 

さて、4月にあるカンボジア正月は、よくクメール正月とも呼ばれます。クメールとは、カンボジアを指す別の言葉です。カンボジア語よりもクメール語と呼ばれますし、クメール文化などとも言われます。もしかすると、みなさんも一度は耳にしたことがあるかもしれません。カンボジアでは、この正月を家族や友人などと盛大に祝います。

最近知ったのですが、カンボジアにはこのクメール正月以外にも正月があるとのことです。一つは私たち日本人と同じ時に祝う1月のお正月、二つ目は中国文化に由来する旧暦を用いた旧正月です。カンボジア人は、これら3回のお正月をお祝いします。これらの中で最も重視されているのがクメール正月だそうです。しかし、このカンボジア正月、カンボジアだけのものではないようです。同じ時期にはカンボジアのお隣のタイをはじめ、ミャンマーなどでも「お正月」があり、それぞれの国々でお祝いされています。そのお祝い行事の一つでよく知られているのは、タイの水かけ祭りではないでしょうか(カンボジアでも同様の行事があるそうです)。カンボジアやタイなどはこの時期が一年の中で最も暑い時期だといわれています。日本人の感覚だと7月や8月だと思われるかもしれませんが、そうではありません。現地の4月は、ちょうど乾季・乾期の終わりの時期にあたり、長い間太陽によって国土が熱せられているため大変暑く、40度になることもよくあります。私は参加したことがありませんが、暑さから想像すると水をかけあうのは、さぞ気持ちいいのではないでしょうか。この時期が過ぎてしばらくすると、次は恵みの雨をもたらす雨季・雨期がやって来ます。

 

今回のイベントは、名古屋大学に留学しているカンボジア人の留学生が中心となって開催していました。また大学院法学研究科も開催に協賛しています。あまり知られていませんが、名古屋大学には多くのカンボジア人が留学しています。彼らの中にはカンボジア政府の職員も多く、法律に関係する学術的なことから、日本での日常の生活まで様々なことを吸収し、母国でその成果を生かすことが期待されています。そのため、留学生の学習に対するモチベーションは高く、自分の国をより良くしたいと、強い目的を持って日本に来ているそうです。

気になるこのイベントの内容ですが、まずカンボジアの動画を見て現地の様子を学び、カンボジアの歌を聞き、カンボジアのダンスショーを楽しみました。そして一番のお楽しみは、留学生たちの手作りカンボジア料理です。カンボジア料理には様々な種類があります。香辛料が入っている料理も、そうでないものもあります。今回はゴーヤとひき肉を使った料理や、かぼちゃとココナッツ入りスープなどが振る舞われ、みんなでそれらを味わいました。ここで余談なのですが、かぼちゃの語源は「カンボジア」だそうです。諸説ありますが、カンボジアがなまって、かぼちゃになったそうで、かぼちゃはポルトガル人によって、カンボジアから日本に持ち込まれたそうです。意外なところでつながっていますね。

私はカンボジアには今まで2回行ったことがあるので、今回このイベントでカンボジアの動画や歌、ダンスを見聞きし懐かしく思いました。料理もおいしく、また参加したいと思いました。

 

今回は、名古屋大学で開催されたカンボジアの正月のイベントを中心に、名大が行っている国際的な法律整備の支援にも触れてお伝えしてきました。みなさんの持っている名古屋大学のイメージは変わりましたか?冒頭に書きましたが、名古屋大学ではアジア地域を中心に法整備支援を行っています。また、法律分野以外にも、環境問題解決に対する支援や、農業振興に関する支援なども行っています。ある先生は日本の技術を駆使し、中東で遺跡の調査を支援しています。現地の大学や研究者、政府機関などと一緒に活動を行い、国境を越えた交流が行われています。また、世界の様々な国や地域から留学生が名古屋大学を選んで学びに来ています。そして、世界中の大学と名古屋大学は提携し、協力関係を構築しています。特にアジアとの交流は盛んで、これほどのネットワークを持っている日本の大学は、数えるほどしかありません。これは名古屋大学の強みであり、財産です。まさに、名古屋大学は世界とつながっています。

名古屋大学は世界各地で様々なことに取り組んでいるので、みなさんの興味・関心に合った学びができると思います。また、学びを深めるため、留学など国際交流の機会や、その経験をサポートする環境も整っています。みなさんも名古屋大学で学びませんか。

(今回のイベントの写真を掲載しました。会場や食事の様子、神様(仏様)へのお供えのフルーツ、そして許可を得て、私の友人であるカンボジア人留学生のみなさんの笑顔を撮りました。)

Profile

所属:農学部科目履修生

出身地:兵庫県