名大生ボイス

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大学生活全般

2018.12.25

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授業の一環で、農村合宿に行ってきました!

こんにちは。工学部機械・航空宇宙工学科の松高亜樹です。二日間、基礎セミナーの農村合宿(岐阜県恵那市中野方町)に行ってきたので、今回はその様子を書いていきます。今回のテーマは大学の授業の出来事なので、少し内容がややこしいかもしれませんが、是非、最後まで読んでください!

 

そもそも基礎セミナーって?

基礎セミナーとは

名古屋大学の授業の一つで、様々な学部の人が一緒に受けることができる授業です。そのため、色々な角度からの意見交換ができるので、いい刺激になります。また、自分から学んでいく姿勢を身につけることができるので、大学での勉強の基礎を作ることができます。1年生はこの授業を絶対にとらなければなりません。ただし、基礎セミナーには色々な種類研究テーマがあり、自分の好みに合った授業を選択することができます。

 

この基礎セミナーでは

この農村合宿を行った基礎セミナーは、「持続可能な社会をどう作るか、またそのことと自分の将来を結びつけて、これからどう考えていくか。」ということがテーマです。このセミナーの最初にまず、高野先生ご自身が執筆された『持続可能な社会をデザインしよう』という300ページほどの本を読みます。この本には、持続可能な社会に対する取り組みを実際に行なっている方々の事例が多く載っており、とても参考になります。そしてその後、それぞれテーマに沿った文献を読んできて、その内容について発表や討論をし、知識を深めていきます。その持続可能な社会について学ぶ一環として、今回の合宿が行われました。

 

農村合宿1日目

集合~合宿先まで

まず、私たちは、JR恵那駅に12時に集合しました。そして、12時15分発のバスに乗って、今回の合宿先である中野方町へ行きました。この時のバスの時刻表の写真がこちらになります。

実際に利用したバスの時刻表

最初は、本数が少なくて驚きを隠せませんでした......。このバスは、交通空白地の解消を目的として、地域自治区運営委員会が運営している「いいじ里山バス」というバスです。地域の方々で支え合ってバスを運営しているわけですね。地域の人たちがこのバスのことを「空気を運んでいる」と冗談を言っており、実際に私たちが乗ってみても、私たち以外のお客さんはほとんどいなかったです。このことからも、私たちが訪れる地域で過疎化が進んでいることがうかがえます。バスには30分ほど乗っていたのですが、ものの10分でバスの窓から見える風景が田舎になり、この先どんな田舎に行くんだろう?携帯電話の電波は繋がるんだろうか?などと様々な不安や期待に胸を弾ませながら、バスに揺られました。

 

合宿先にて

まず私たちは農村に着くと、コミュニティーセンターに案内されました。そこで、中野方町ではどんな地域活性化についての活動をしているかを、具体的に口頭で教えていただきました。その後、すぐに着替えをし、間伐体験をさせてもらうため山に向かいました。

 

Column...間伐って?

間伐とは、山に生えている木の本数を減らすことで、日光に当たる地面を増やして広葉樹を成長させる作業のことです。

 

山では

車に乗せてもらい、山に向かっている道中、窓から外を見ると一面に木々が広がっていました。

山の木々の様子

木がたくさん生えている場所では山が暗く、間伐されたところでは山が少し明るくなっているのがわかりました。私たちがさせてもらった間伐体験は、現地の方に木を切ってもらって、その木をロープで引っ張って木を倒すというものでした。みなさん、この文字だけみると単純な作業だと思いますよね。でも、実際に自分の目でこの過程を見てみると、木を切るチェーンソーの音や、木が倒れる時の音がすごくダイナミックに聞こえて、内心とても怖かったです。文字の並びだけで、「間伐」を捉えると単純に見えるかもしれませんが、実際に自分の目と耳で間伐を体験すると、その作業はとても怖いと感じ、頭で考えることと、実際に行われていることのギャップに衝撃を受けました。このことから、教科書で覚えた知識だけではやはり不十分で、自分の目で確かに見ることが何よりも大事だと感じることができました。「百聞は一見に如かず。」ですね。この他に、間伐体験で私の印象に残ったことは、コラ・コーラです。頭に?が浮かんだ人も多いのではないでしょうか?コラ・コーラはこの間伐作業のサポートをしている会社です。例えば、ヘルメットの寄付や、ドリンクの提供などをしています。このような支援は、中野方町にとってとても大きな助けになっていると思います。しかし、コラ・コーラが支援できる地域は限られているので、コラ・コーラのように、持続可能な社会を作るのに積極的な会社が増えていけば、地域活性化がより進むだろうと思います。

 

民宿にて

民宿には車で移動しました。その家のお母さん(ふずきさん)の手料理を食べさせてもらったのですが、本当に美味しかったです!

民宿でご馳走になった夜ご飯

上の画像が実際の料理の画像なのですが、食材がどれも新鮮でした。さらに、驚いたことは、この料理はすべて「自分で作っている」ということです。そりゃそうだろうと思いましたか?普通、私たちが「自分で作った料理」と表現するのは、「スーパーなどで買ってきた食材を自分で調理したもの」のことです。しかし、ふずきさんが「自分で作っている」料理とは、「(野菜から味噌にかけて幅広い意味での)食材から自分で育てて、それを調理したものの」のことを言っていました。自分で育てているからこそ、素材の活かし方が分かり、料理も美味しくなるのだろうと思い、調理の技術だけを磨くのではこんなに美味しい料理を作れないので、素材から知ることが美味しい料理につながると分かりました。民宿で体験させてもらったのは、食事だけでなく、お風呂も自由に入らせてもらい、テレビも見ることができたので快適な時を過ごせました。さらに、寝る前に栗きんとんとバナナで作ったパイをご馳走になり、これもまたすごく美味しかったです!

 

農村合宿2日目

棚田のLEDライト設置のお手伝い、石垣作りの見学

2日目の午前、私たちはまず棚田の端にLEDライトを一つ一つ設置しました。ただ、ひたすらライトを棚田の土にさしていくだけの作業で、二人一組でライトを渡す係、ライトをさす係で分担すれば、すぐにこの作業は終わりました。この作業は、1日目の間伐と比べ、そんなに派手ではありません。しかし私たちは中野方町に大きな貢献をしたのです。私たち若者が13人かがりでした作業を、数人の年配の方がされたらどうでしょう。かなり時間がかかります。それだけなく、棚田の段になっている田んぼを上り下りする時に足腰を使ったり、ライトをさす時に腰を曲げたりと、若いからこそ楽にできたことも、年配の方には重労働に感じるかもしれません。このような体験をして、私たち若者にも地方の田舎の方のためにできることはあるということを身をもって実感しました。地理でならった、グリーンツーリズムは実際に地域活性化につながるのです。教科書で得た知識をこうやって、身をもって実感することで、本当の意味で理解することができました。

これが終わると、棚田の石垣作りの見学をさせていただきました。この図の部分ですね。

棚田の石垣の図

この石垣は本当に精密な作業らしく、職人さんが時間をかけて積んでも1日で壊れることもあるそうです。しかし、うまく積み上がった石垣はとても頑丈でコンクリートと同じくらい丈夫だそうです。先人の技術者はすごいですね。

 

まとめ

このブログのように、自分の目で見たありのままのことを、自分の言葉で友人や家族に伝えるという情報発信が地域活性化につながることを祈っています。みなさんもぜひ、受験勉強で得た知識を、自分の目で見て、耳で聞いて理解してみてください!頭で考えてわかることよりも、何倍も濃いことを勉強できます。

Profile

所属:工学部機械・航空宇宙工学科1年生

出身地:三重県

出身校:三重県立四日市南高等学校