名大生ボイス

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大学生活全般

2022.12.26

  • 大学生活全般

社会学って何するの?

冬ですね。とても寒いです。私は寒さがとても苦手なので、自転車で大学に行くことを諦めて自転車15分の距離を毎日怠惰に電車で通っています。
冬が来て年の瀬が近づくと、新学期のことを考えてしまいます。2年生も大学に行って、寝て、サッカーを見て、勉強して、バイトに行って…の繰り返しであっという間に終わりに近づいています。現在の文学部の1年生はもう専攻が決まり、来たる新学期にそれぞれの思いを馳せていることと思いますが、ここでは来年度に文学部に入学する方や、文学部の専攻が気になる方々に向けて、私が所属する社会学専攻ではどんな勉強をするのかを少しお話しできたらと思います。

 

ここでは社会学専攻を以下の5つの事柄に絞って紹介させていただきます。

① 社会学ってどんな学問?
② 何人くらいいるの?
③ どんな授業があるの?
④ どんな調査をするの?
⑤ 楽しい?

 

① 社会学ってどんな学問?

20221226hori.jpeg他の学問と同じように一言で定義づけることは難しいですが、授業で聞いた教授の言葉を借りると、社会学とは「社会現象への『自分』の『謎』からはじまる」学問です。「どのように、なぜ、その現象が可能になっているのか」という問いを起点に研究が始まります。あらゆる社会現象を研究対象にできるので、その範囲は宗教であったり、政治であったり、音楽であったり、スポーツであったりと挙げるとキリがないくらいに広いです。
過去の先輩の研究を見ていても、「コロナ禍で大学生活はどう変容したか」や「フィギュアスケートをならう子どもとその親はどのような実践をしているか」という題目があり、ジャンルで言うと政治、労働、農業など触れる機会の多い社会現象を扱ったものもあれば、地下アイドルのファンやマッチングアプリを取り上げた研究もあるなど、調べれば調べるほど面白い研究が出てきます。

 

② 何人くらいいるの?

学部2年生は私を含めて9人です。文学部1学年で220人前後、専攻の数が22個なので人数としては平均くらいです。授業の一部として土日に出かけてフィールドワークをすることもあるので、同じ専攻の友達も比較的作りやすいと思います。

 

③ どんな授業があるの?

専攻に関する授業は、
・社会学概論
・社会学講読
・社会学講義
・社会学実習
・社会学演習
の5つです。5つの授業を簡単に説明すると、概論は文字通り、社会学はどんな学問であるかということから始まり、基本的な社会学の物事の考え方を、実際の研究例などを交えて教授がわかりやすく解説してくださる授業です。

 

講読は、社会学者が書いた論文や文献を、学生が順番にレジュメ(論文に記述の要点をわかりやすくまとめたもの)を作成・発表し、それらに考察などを加えたり、教授の解説などを聞いたりしていくもので、論文の輪読を通して社会学の調査方法や視点を身につけられます。

 

講義は教授によって内容が様々で、私が前期に履修していたものだと、データの分析に使用する統計ソフトの使い方とその応用を勉強する授業でした。めちゃめちゃ難しかったです。後期は、経済社会学の基礎やデータ分析の基本的な考え方を学ぶ内容で、特に後者のデータ分析に関する授業では、なにかデータを取ったときにそれを最も見やすく表示するコツや、グラフで示すことによって得られる発見などもあるので、とても勉強になります。

 

実習は、授業の担当教授の研究に沿った形で、学生が実際に研究対象となる土地を歩いたり、研究対象者にヒアリングをおこなったりして、社会学調査の基礎を学ぶ授業です。年度末にはおこなった調査や分析を元に1冊の調査報告書を執筆します。また、例年10月末にインカレ報告会といって、実習で考察したことを各大学で社会学を学ぶ学生が集まって報告する会があるので、それに向けた準備で10月中はかなり忙しくなります。1年を通しておこなわれる授業なので夏休みにも活動がありますが、実習でどこかに出掛けたり、調査に必要な作業を経験させてもらったりする中で学ぶこと・発見することが多く、慣れないうちは少し大変でしたが今となっては結構面白いです。

 

最後の演習は、大学生活でよく耳にするいわゆる「ゼミ」と呼ばれるものです。社会学では学生の興味のある分野に近い教授のゼミに振り分けられ、その中で文献の読み込みや議論をおこなったり、先輩方の研究計画を聞いたり、自分の研究を進めることが主な活動です。少人数の授業で、私のゼミの場合は教授1人に対して学生が4人しかいないので、気軽に教授に質問をすることができ、学習や研究への意欲が湧きやすい授業だと感じます。毎回教授に痛いところを突かれて自分の勉強不足を痛感しますが、それが今後の勉強の刺激になることが多いのでありがたいです。

 

④ どんな調査をするの?

ここまでにもフィールドワークやヒアリングという調査関連の単語を登場させましたが、社会学の調査は主に2つに分かれます。1つが「量的調査」、もう1つが「質的調査」です。量的調査は、たくさんの人を対象にデータを集めておこなう調査で、まさにその「量」が重要になる調査です。もう1つの質的調査は、フィールドワークやヒアリングに当たる、調査者が実際に土地やイベントに出向いたりして観察し、インタビューをおこなったりする調査法です。まだ私は実際に研究をおこなったことがないので詳しいことは言えませんが、教授によると、客観的データと現場の声を組み合わせることで、研究をより強固なものにできるのだそうです。確かにテレビ番組でも、例えば歌番組で冬歌をアンケートの結果を元にしたランキングと一緒に、街頭のインタビューを放送したりするので、それと似たものなのだろうと勝手に考えています。

 

⑤ 楽しい?

当たり前ですが、興味があれば楽しいです。ただ、2年生のうちは全学教養の授業に加えて専攻の課外の活動や課題があるので少し大変です。それでも、社会学を勉強していると、普段の生活で慣れ親しんできた事柄を、社会学の観点で分析するとこうなるのか!という新しい発見があったり、あのとき理不尽に感じていた物事も、その理不尽が生まれてしまった背景について学び、考えることで負の方向に思い詰める以外の対処法を見出せたりもします。もちろん、なんやかんや課題も多いし、他の専門も同じだと思いますが、言葉がわかりづらくて読み進めるのが難しい本もたくさん読まなければならないので、楽しいことばかりではないですが、しんどいと楽しいを闘わせたら少なくとも私はちゃんと楽しいが勝っているので安心してください。


最後に

ここまで社会学専攻について説明させていただきました。自分の専攻以外の授業しか受けられないかと言うとそうではなく、各学期4コマ前後は専攻外の授業を履修しなければならないので、なぜか全く専攻外の中世インドの寺院破壊について勉強したり、様々なジャンルの映画を見てそのカメラワークや演出の意図を頑張って考えたりしていました。社会学以外にも人文学の幅広い分野の授業を受けられるので、個人的には文学部以外で勉強することが考えられないくらい勉強が楽しいです。
他の文学部の専攻が気になる人はこちらのサイト(https://www.hum.nagoya-u.ac.jp/about/about-lit/)をチェックしてみてください。私は社会学しかちゃんとした紹介ができませんが、文学部を志す方ならきっと自分の興味関心にしっくりくる専攻が見つかるはずです。
ここまで読んでくださりありがとうございました!(迷ったらぜひ社会学へ!)

Profile

所属:文学部2年生

出身地:岐阜県

出身校:岐阜県立岐阜北高等学校