名大生ボイス

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大学生活全般

2025.04.23

  • 大学生活全般

理系学生の君へ、授業についていけないかもと思ったら

はじめに

こんにちは。名古屋大学大学院創薬科学研究科 修士1年の小林です。
新入生の皆さん、大学生活が始まって数週間が経ち、授業も2回目、3回目と進んできた頃ではないでしょうか。最初の講義では「なんとなく高校の延長っぽいな」と感じていたのに、ここにきて急に「何これ……難しすぎない?」と戸惑っている人もいるかもしれません。
特に理系の講義は、最初こそ優しく見えて、気づけば本格的な専門内容へと急カーブを描きながら進みます。私も1年生のとき、まさに同じように「これはヤバいかも」と絶望しかけた経験がありました。高校までは得意だった数学や物理が、突然何を言っているのか分からなくなる。「みんな理解してるのに、自分だけがついていけてない気がする」そんな焦燥感に飲まれそうになったこともあります。でも、今になってわかったことがあります。それは、「つまずくのは自分だけじゃない」ということ。今回はそんな理系学生の不安に寄り添いながら、私自身の体験や対処法を紹介していきます。

 

理系の授業、なんでこんなに難しいの?

大学の理系授業を初めて受けたとき、一番衝撃を受けたのはその「スピード感」でした。高校までは、先生が丁寧に教科書に沿ってじっくりと進めてくれました。でも大学の授業では、「いきなり内容が濃い上に、話の展開が早すぎてついていけない」と感じることが多くなります。しかも、理系科目は「積み重ね型」の学問です。線形代数、解析学、力学、化学、情報処理など、どれも一つ一つの理解が次の単元に直結していて、ちょっとでも理解が曖昧なままだと、その後の講義が雪だるま式に難しく感じられるようになります。私自身も、講義中は黒板を写すことで精一杯で、帰宅してノートを見返しても「これは一体何の話だったのか?」と混乱することがたびたびありました。でもこれは理系学生の多くがぶつかる“最初の壁”なんです。

 

大学の授業が“難関に感じる”理由

理由の一つに、「教える側の立場の違い」があります。高校までは、授業をするのは「教員」という、教えることを専門職としている方々でした。生徒の理解度に合わせて進度を調整し、丁寧に説明し、演習の時間も豊富にとってくれる。まさに「教育のプロ」たちです。
しかし大学の講義を担当するのは研究者です。彼らの本業は「研究」であり、授業はその一部に過ぎません。もちろん熱心で丁寧に教えてくださる先生もいますが、「わかりやすく教えること」は大学の先生方の主な役割ではありません。
その結果、どうしても授業の密度が濃くなり、テンポが速く、そして抽象的になりがちです。演習がほとんどなく、「あとは各自で復習してね」と突き放されているように感じることもありますが、それが大学では“普通”のスタイルなのです。つまり、大学の講義は「受け身でいては理解できない」もの。「自分から情報を取りに行く」学びの姿勢が求められる、ということなんです。

 

大学の授業は2回目から急に牙をむく

理系の講義では、「第1回の授業はなんとなく余裕だったのに、2回目以降から急にわけがわからなくなる」という“あるある”があります。実際、1回目の授業は高校の復習が中心だったり、講義の概要説明だったりして、「あれ、これならいけるかも?」と楽観的になることも多いです。でも、2回目、3回目からは本格的な大学の内容に突入し、見たこともない定理や記号が次々に登場します。しかもその進行速度は、1回目と同じスピード感で淡々と進んでいきます。演習もなく、「理解している前提」で話がどんどん進む。大学の先生は専門家なので、そのスピードで考えるのが当たり前。けれど、我々は初学者です。そりゃついていけないに決まってます。
私も線形代数の授業で、「この記号、何のこと?」、「え、高校でやってたって教授は言ってるけど行列式って高校でやったっけ?」と結構混乱しました。(今は行列は高校数学の範囲外ですが、昔は高校で行列を扱うのは当たり前だったようです)でも、そんな状態になるのは自然なことです。大事なのは、「1回目で安心しないこと」。「2回目からが本番」だと心構えしておくことが、気持ちの余裕を生んでくれます。

 

私が「やばい」と思った瞬間

大学1年で、私が最も苦戦したのは有機化学でした。板書は速い、内容は難解、授業後に教科書を読んでもピンとこない。そのうち、「どこが分からないのかが分からない」という状態になっていました。周りの友人は黙々とノートをとっているように見えて、自分だけが取り残されているような錯覚に陥りました。でも、勇気を出して友達に相談すると、「え、俺もまじで理解してない」、「出席してるだけ」みたいな返事が返ってきて拍子抜けしました。そうなんです、ついていけてないのは実はみんな同じなんです。

 

不安を感じたときの具体的な対策

私が皆さんに、意識して取り組んで欲しい!と思う一つの対策は、「講義中にすべてを理解しようとしない」ことです。
講義はあくまで“概要を掴む場所”と割り切り、理解はあとで落ち着いてノートや教科書と向き合いながら深めていくスタイルに切り替える。わからなかった部分はすぐに検索したり、別の参考書を使って確認する。YouTubeやWebサイトなど、今は無料で学べるリソースも充実しています。最初は誰でもわからなくて当然なので、だからこそ自分に合ったペースで少しずつ積み重ねていくことが大切です。
そして何より効果があったのが、「友達と一緒に勉強すること」でした。本当にこれは何度も他の記事でも言及していますが、学習は一人よりもみんなとした方が効率がいいです。授業のあとに「今日の内容、何だったんだろうね」なんて雑談するだけでも、だいぶ気が楽になります。

 

理系の勉強は、仲間と戦うのが正解

理系の勉強は、どうしても“孤独な戦い”になりがちです。でも、だからこそ「仲間の存在」がめちゃくちゃ大きいです。私も、授業のあとに友達とレポートを一緒に書いたり、テスト前には参考書を持ち寄って勉強会をしたりしていました。「これはこう考えるとわかりやすいよ」の一言が、理解の決め手になったこともあります。
理系の学びって、個人で黙々とやるイメージがあるかもしれませんが、仲間と一緒に悩みながら進んだ方が、効率も気持ちも圧倒的にラクです。
「授業についていけない……」と思ったら、ぜひ誰かに声をかけてみてください。「わかんないよね」って言い合える関係が、大学生活を支えてくれます。

 

まとめ

大学の理系授業って本当に難しい。でもそれは、“自分がダメだから”じゃありません。むしろ、「なんとか理解しよう」と思っているからこそ、悩みが生まれるんです。授業についていけないと感じたら、まずは焦らずに立ち止まって、仲間と助け合いながら、自分のペースで進んでください。いつかわかる瞬間が来ます。そして、そのときの喜びは、理系ならではの最高のご褒美です。あなたの大学生活が、学びと挑戦に満ちたものになるように。心から応援しています! 拙い文章ではございますが、最後までお読みいただきありがとうございました。

Profile

所属:創薬科学研究科博士前期課程1年生

出身地:愛知県

出身校:愛知県立岡崎高等学校