2025.05.08
- 大学生活全般
学芸員になるためには
みなさんこんにちは!文学部2年の石橋です。5月に入りかなり暑く感じる日も増えてきましたが、花粉の時期がそろそろ終わるのが私としてはやっとかという安堵の気持ちです。新入生のみなさんは入学してはや1ヶ月が経ちましたが、大学生活には慣れてきましたか?4月は新鮮なことだらけでとても充実した毎日を過ごせたのではないでしょうか。しかし世間では五月病というGW明けに気怠さから無気力になってしまいがちな時期がやってきます。来月の名大祭に向けて実行委員の仕事やサークルの練習も増えてきて、疲れが溜まってきやすい時期でもあると思います。なので適度にストレス発散の機会を設けるのは大事です。また理系の方は中間テストも近づいていると思うので、勉強の方も一旦ここまでの部分を整理してみる良い機会として、GWを有意義に活用できたのなら幸いです。
さて今回は学芸員資格について話してみようと思います。私は日本史学専攻なのですが、博物館や文化財保護などに興味があり、将来そうした分野で働きたいと考えているため、学芸員養成課程を履修しています。この学芸員養成課程の内容や実際学芸員になるためにはどうしたら良いのかなどをお伝えしようと思います。
まず学芸員とは、博物館や美術館などで資料の展示や研究、講演会など専門的な業務を行います。また動物園や水族館などの施設でも働くことができます。学芸員資格は国家資格であり、養成課程が設置されている大学で所定の単位を取得するか、学芸員資格認定試験の合格で取得できます。養成課程の授業は主に文学部で開講されていて、文学部、教育学部、理学部向けに開講されています。ただ他学部生の受講もできるので興味がある方は調べてみてください。
必要な単位数は19単位で生涯学習概論、博物館概論、博物館教育論、博物館資料論、博物館経営論、博物館資料保存論、博物館展示論、博物館情報・メディア論、そして博物館実習と幅広く学ぶことになります。実際の博物館に行って見学できるのは貴重な機会です。また資格取得とは関係ないですが、文学部には文化資源学コースという特別コースが設けれられていて、歴史文化学繫の学生はもちろん、学芸員資格取得希望者向けに開かれているのでぜひ確認してみてください。
そして実際学芸員として働く方法ですが、学芸員資格を持っていれば働くことはできます。採用は博物館によって異なるため一概には言えませんが、採用数が少なく非正規雇用として働く人も少なくありません。そのため学部卒では専門性の点で不十分であり、大学院前期課程卒程度の知識が求められる場合が多いです。また国公立の博物館では地方公務員の扱いのため、地方自治体の募集を確認することが大事です。実際のところ給与面はそれほど良いとは言えず、勤務年数に応じて上昇していくため人が集まりにくいという面もあります。学芸員資格を取得していれば学芸員以外にも出版業界や広告業界などでクリエティブ力を活かせたり、文化行政の業務に関わることができたりする可能性は高くなるので、そうした分野に興味がある人は取得を考えてみるのも良いと思います。
学芸員の仕事内容ですが、資料の整理や保存、研究を経て展示をしたり、野外で発掘や収集をしたり、学会発表やセミナーなど教育的活動も行ったりします。企画展やイベントでは、来館者の興味を惹いて次の学びにつなげるための企画を発案するため、創造性も必要になってきます。博物館の魅力や展示物について発信するために、コミュニケーション能力も大切です。アンケートやレビューなどフィードバックを受けて、次の企画や運営方針に活かすことも魅力を伝える上では必要な仕事です。
最も重要なのは資料の管理ですが、古代のものほど経年劣化が激しく脆くなっているので、調査の際には相当な慎重さが求められます。調査では資料単体だけでなく、付属品や発見時の環境など背景情報まで整理しなければならないので、大きな視野を持って研究を行える人材が求められます。また経営に関わることもあり、例えば文化庁などに予算の申請を行うこともあります。
博物館は地域の教育拠点としても機能し、外部との提携によって地域の盛り上げにも寄与します。さらに昨今特に注目されるのは資料のデジタルアーカイブ化で、最先端の技術も駆使して資料保存に努める必要があります。
こうした仕事がありますが、昨今人材不足が激しく加えてどの博物館でも資金不足が深刻化していて、国立科学博物館がクラウドファンディングを行うなど危機的状況にあるのが現状です。未来にこれまで人類が生きてきた証を継承していくためにも、こうした研究機関への予算配分や投資を積極的に行なってほしいと個人的には思っています。
今回は学芸員資格についてお話ししました。あまり馴染みのない人も多いと思いますが、研究が好き、人に教えることが好きという人には向いている職業だと感じるので、興味があればぜひ調べてみてほしいと思います!それではご精読ありがとうございました。
Profile
所属:文学部2年生
出身地:静岡県
出身校:飛鳥未来きずな高等学校