名大生ボイス

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大学生活全般

2025.12.09

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理系学生のための「学会デビュー」入門:国内ポスター発表ってどんな感じ?

はじめに

みなさんこんにちは。名古屋大学大学院修士1年の小林です。

自分の研究や学会準備でなかなか時間が取れず、少し久しぶりの執筆になりますが、また大学院での生活や研究にまつわる話題を少しずつお届けできればと思っています。どうぞよろしくお願いします。

今回は、「学会発表」についてのお話です。

文系にも学会はありますが、私自身は理系の研究をしているので、この記事では主に理系の学会発表、特にポスター発表に絞ってお話しします。

「学会発表って名前は聞いたことがあるけれど、具体的に何をするの?」「いつ頃経験するものなの?」と疑問に思っている高校生や大学1〜2年生の方も多いのではないでしょうか。

そうした方に向けて、この記事では

・学会発表とはどのような場なのか

・理系学生がどのタイミングで学会に出ることが多いのか

・ポスター発表の形式や、私がポスターを作るときに意識していること

・学会当日の過ごし方や「あるある」

といった点を、私自身の経験も交えながらお話ししていきます。

 

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理系の学会発表ってそもそも何をする場?

まず、「学会発表とはそもそも何なのか?」というところから整理してみます。

ざっくり言うと、学会は同じ分野の研究者や学生が集まり、自分の研究成果を共有したり、ディスカッションしたりする場です。

大学の授業のように「先生が一方的に教える」というよりは、研究者同士が

・こんなことを試してみた

・こういう結果が出た

・ここがまだうまくいっていない

といった内容をお互いに見せ合うイメージに近いと思います。

 

理系の分野でも、

・生命科学や医療系の学会

・化学や材料系の学会

・情報やデータサイエンス系の学会

など、分野ごとに本当にたくさんの学会があります。

その中で、自分や研究室のテーマに近い学会を選んで参加し、「自分の研究を外の世界に出してみる」のが学会発表だと考えてもらえるとよいかもしれません。

 

いつ、どのタイミングで学会発表をすることが多いのか

「自分が学会に出るのは、いつ頃になるのだろう?」というのも、よく聞かれるポイントだと思います。

多くの理系学部では、3年生から4年生のどこかのタイミングで研究室に配属されます。

早い人だと、

・3年生の終わりごろに、初めての学会発表(ポスター)

・4年生の終わりに、卒業研究をまとめた発表

といった形で、学部生のうちから学会発表を経験する場合もあります。

また、修士課程に進むと、修士1〜2年の間に1回以上は学会発表を経験する人が多い印象です。

私の周りでも、

・学部4年生のときに、初めての学会発表(国内のポスター発表)

・修士課程では、国内学会で数回発表し、タイミングによっては国際学会にも参加する

といったパターンが見られます。

もちろん、研究テーマや研究の進み具合、指導教員の方針によって変わるので一概には言えません。

ただ、「理系で研究室に所属して修士まで進むのであれば、どこかのタイミングで学会発表を経験する可能性はかなり高い」というイメージを持っておいてもらうとよいかなと思います。

 

 

ポスター発表ってどんな形式?

学会発表には大きく分けて、

・口頭発表(スライドを使ったプレゼン形式の発表)

・ポスター発表(1枚の大きなポスターの前で説明と質疑応答を行う形式)

の2種類があります。

この記事では、特に国内学会のポスター発表に絞ってお話しします。

ポスター発表では、概ね次のような流れになります。

 

1.A0やA1サイズの大きな紙に、研究の流れを1枚にまとめる

2.発表時間になったら、自分のポスターの前に立つ

3.興味を持ってくれた人がポスターを見に来てくれるので、5〜10分程度で研究内容を説明する

4.そのあと、質問やコメントを受けてディスカッションする

 

ポスターの中身としては、

・Introduction(背景・目的)

・Materials and Methods(方法)

・Results(結果)

・Conclusion / Discussion(結論や今後の展望)

といった構成でまとめることが多いです。

論文を1枚にぎゅっと圧縮したものと考えると、イメージしやすいかもしれません。

 

 

私がポスターを作るときに意識していること

 ここからは、私自身がポスターを作るときに意識しているポイントをいくつか紹介します。

 

1.遠くから見ても「何の研究か」が伝わるか

ポスター会場では、一度にたくさんのポスターが並びます。

その中で自分の発表に足を止めてもらうためには、タイトルと図の印象がとても大切だと感じました。

私が意識しているのは、

・タイトルはなるべくシンプルで分かりやすくする

・ポスターの中で特に重要な図は、大きめに配置し、ぱっと見て何を表しているか分かるようにする

という点です。「この図は何を示しているのか?」が直感的に伝わると、その後の説明もスムーズになります。

 

2.ストーリーとして読みやすいか

ポスターは、ただ情報を貼り付けた紙ではなく、ストーリーのある1枚のプレゼンテーションだと思っています。

左上から読み始めて右下に行くころには、

・なぜこの研究を行ったのか

・何をどのように行ったのか

・どんな結果が出て、そこから何が分かったのか

が一通り理解できるように、流れを意識して配置するようにしています。

実際、発表前にポスターを壁に貼って眺めながら、「この順番で説明したら自然か」「この図とこの文章は隣り合っていた方が分かりやすいか」などを、頭の中でリハーサルする時間はかなり重要だと感じました。

 

3.文字を詰め込みすぎない

特に最初の頃は、「せっかくだから全部書いておきたい」と思って、どうしても文字が多くなってしまいがちでした(まだ抜けきれていない部分も多いのですが)。

しかし、学会会場で他の人のポスターを見ていると、文字だらけのポスターは正直読み切れないことも多いです。

今の私は次のような点を意識するようにしています。

・詳細な条件や細かい統計の説明などは、必要最低限に絞る

・重要なポイントは、短い文章でまとめて目立たせる

・専門用語には、可能な範囲で簡単な補足を入れておく

「ポスターで全てを説明しようとしない。足りない部分は口頭で補う」くらいの感覚が、合っていると感じています。

 

 

 

学会当日の過ごし方と「あるある」

ポスター発表の当日は、ポスターの前で説明する時間以外にも、いろいろな過ごし方があります。

 

1.自分の発表時間

発表時間になると、自分のポスターの前に立ち、来てくれた人に対して

・何も言われなければ3〜5分程度の「ショートバージョン」の説明を行う。

・詳しく知りたいと興味を持ってもらえた場合は、そのあとで10分程度の「ロングバージョン」の説明に発展させる

といった形で話すようにしています。

最初の一言として、

「こんにちは、小林と申します。まずは3分ほどで概要をご説明して、そのあとで詳しいところをお話しさせていただいてもよろしいでしょうか。」

といったふうに声をかけると、お互いにペースを合わせやすいと感じました。

 

2.他の人のポスターを見て回る

自分の発表時間以外は、他の人のポスターを見て回る時間になります。

同じ分野の研究だけでなく、少し離れた分野のポスターを眺めていると、意外なところからヒントをもらえることもあります。

私の場合、気になったポスターがあったときには、

・まず一通りポスターを読んでみる

・タイミングを見て、「少しお話を伺ってもよろしいですか?」と声をかける

という流れを意識しています。最初は緊張しますが、慣れてくると、短時間で多くの研究に触れられるこの時間が学会の中でもが一番楽しいと感じることもあります。

 

3.懇親会の雰囲気

学会によっては、懇親会が開催されることもあります。

軽食や飲み物を取りながら、研究者同士が自由に話す場です。

正直なところ、最初は「知り合いが少ないし、浮いてしまうのではないか」と不安でしたが、実際に参加してみると、自分のポスターを見に来てくれた先生や学生や同じ分野の学生などと、意外と自然に会話が生まれました。

名刺交換のようなビジネスの場というよりは、研究や進路についてざっくばらんに話せる場、という印象に近かったです。

 

 

これから学会発表を目指す人へ

最後に、これから学会発表を目指す方々に向けて、私なりのメッセージを書いてみたいと思います。

学会発表というと、「自分にはまだ早い」「すごい人だけがやること」というイメージを持つかもしれません。

しかし、実際に参加してみると、「未完成の研究を持ち寄って、みんなでブラッシュアップしている場」に近い感覚だと感じました。

もちろん、準備は大変ですし、特に初めての本番前はかなり緊張します。

 

それでも、

・自分の研究を真剣に聞いてくれる人がいること

・予想していなかった視点から質問をもらえること

・他の学生の発表を見て刺激を受けること

は、研究を続けていくうえで大きなモチベーションになります。

 

今後、機会があれば口頭発表編や国際学会編についても、私自身の体験を踏まえて書いていければと思っています。もし興味があれば、そちらも楽しみにしていてください。

 

拙い文章ではございますが、最後までお読みいただきありがとうございました。

Profile

所属:創薬科学研究科博士前期課程1年生

出身地:愛知県

出身校:愛知県立岡崎高等学校