名大生ボイス

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大学生活全般

2026.01.21

  • 大学生活全般

春から大学院生になる人へ、大学院生活を始めるための準備

 

みなさんこんにちは。名古屋大学大学院 創薬科学研究科 修士1年の小林です。新年も始まり、少しずつ四月に向けて、進学や引っ越し、研究室での立ち上げなどを意識し始める時期になりました。

大学生活の情報は多く見つかりますが、大学院生活となると、意外とまとまった情報が少ないと感じる人も多いのではないでしょうか。私自身、学部の終盤に同じ感覚を持ちました。だからこそ、これから進学する方が最初の数か月で無駄に消耗しないように、準備の考え方を言語化しておきたいと思います。

この記事では、春から大学院生になる人に向けて、生活の準備をできるだけ現実的な観点でまとめます。とくに住まいと機材は研究の継続に直結しやすいので、少し踏み込んで書こうと思います。学部生の方が読んでも役に立つ内容にしつつ、大学院生ならではの違いも丁寧に扱っていきます。

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学部と大学院で変わる、生活の重心

学部生の生活は、授業が骨格になりやすいと思います。週の大半に授業が入り、課題や試験が周期的にやってきて、時間割が生活のリズムを自然に整えてくれます。私も学部の頃は、授業の空き時間に課題を進め、終わったらサークルやアルバイトに向かう流れが当たり前でした。

一方で大学院に入ると、授業数は減ることが多いです。研究科や履修状況によって差はありますが、週に一回だけという人もいますし、レポート中心で試験がない授業も珍しくありません。一見楽になったように見えて、実際には授業に代わって研究が生活の中心に入ってきます。

研究を進める時間を自分で確保し、守り続ける必要が出てきます。この違いを早めに理解しておくと、住まい選びや機材選びの判断軸がぶれにくくなります。

 

 

通学は「時間」より「距離」が効いてくる

研究が中心になると、研究の区切りは授業ほど明確ではありません。実験が良いところで終わらない、解析があと少しで回りそう、先生や先輩との議論が伸びる。そうした事情で、帰る時刻が後ろにずれる日が現実に増えます。

このとき、電車通学は思った以上に制約になります。時間だけ見れば十五分でも、終電があり、乗り換えや待ち時間があり、駅から研究室までの徒歩も積み上がります。私は学部生の頃、移動は当たり前のコストだと思っていましたが、研究室中心の生活になってからは、移動が長い日は研究そのものより先に体力が削られる感覚がありました。研究で削られるのは納得できますが、研究以外で毎日削られるのは、じわじわ効きます。

だから私は、通学時間の短さだけでなく、研究室から家までの距離そのものを重視する方が合理的だと考えています。徒歩や自転車で帰れる距離だと、終電を気にしなくてよい。帰宅が遅くなっても帰れる。朝も気軽に早く出られる。こうした自由度が、研究の継続力に直結します。

 

 

住まい選びは、研究室の実情を前提にする

住む場所の最適解は人によって違います。ただ、大学院生に共通して言えるのは、研究室への通いやすさが生活の根幹になりやすいということです。研究室に近いことは、単に通学が楽というだけではなく、研究を続けやすいという意味になります。

たとえば、研究室にコアタイムがあるのか、夜遅くまで作業する文化があるのか、在宅で解析できるのか。こうした要素によって、求める住環境は変わります。私も研究室が始まって直後の少しの間は、新しい環境での適応、新人としての勉強で帰宅が遅い日が続きました。そのときの私は、家が遠かったため、移動だけでさらに疲れてしまい、翌日に研究室へ来ること自体が若干辛くなった時もありました。

逆に近くに住んでいる友人は、遅くなっても帰って睡眠を確保できるので、研究のペースが崩れにくい。もちろん個人差はありますが、傾向としては分かりやすかったです。名古屋大学の場合も、大学周辺に住んで自転車で通う人が多い印象です。地下鉄が便利でも、毎日の積み上げを考えると、大学周辺に寄せる判断には合理性があります。

 

雨の日と荷物の日を想像すると、判断がぶれにくい

自転車通学を想定するなら、晴れの日だけで判断しない方がよいです。雨の日は確実に来ますし、発表前で荷物が多い日もあります。パソコンを持ち運ぶ日もあります。

私は雨の日に、少し距離がある場所から自転車で通うのが億劫になり、研究室に行く気力が下がる日がありました。大きな問題ではありませんが、積み上がると研究の進捗に影響します。だから、安さだけで自転車の限界距離に寄せるのではなく、雨の日に歩ける距離かどうかまで想像すると判断が現実的になります。

駅から遠いなら歩ける距離も確保する。駅近に寄せるなら研究室までの歩きが現実的か確認する。こうした小さな想像力が、四月以降のストレスを減らします。

 

 

生活動線も、研究を支える基盤になる

生活は研究室だけで完結しません。スーパー、ドラッグストア、病院、郵便局、そして静かに作業できる場所。こうした生活動線が整っているかどうかで、日々のストレスは大きく変わります。

学部の頃は多少不便でも勢いで回せることがありますが、大学院は研究の波が長く続きます。疲れている日に買い物のために遠くまで出る必要があると、それだけで行動のハードルが上がります。

私は引っ越し直後、生活用品を揃えるために土日に奔走し、思った以上に消耗しました。研究が始まる前に疲れてしまうのは本末転倒なので、住まいを決める段階で生活の最低限が徒歩圏にあるかは確認しておくと安心です。

外から名古屋に来る方は土地勘がないことも多いと思います。できれば昼と夜に一度ずつ歩いてみてください。地図だけでは掴みにくい安心感や不安要素が見えてきます。

 

 

大学院進学者は、部屋探しを早く始められる

大学院に進む人は、学部新入生と比べて住まい探しを早く動ける可能性が高いです。学部新入生は合格発表が三月に集中するため、その時期まで確定できないことが多い。

一方で大学院進学者は進路が早めに確定しているケースが多く、ここは明確な強みです。物件は三月に入ると一気に埋まりやすくなります。選択肢が減ると焦って決めてしまい、通学や生活の条件を妥協してしまうことがあります。

妥協自体が悪いわけではありませんが、後から毎日負担として返ってくるとつらいです。早く動けるなら、二月までに目星を付けて内見まで進めるだけでも、心の余裕が変わります。

 

 

パソコンは買うかより壊れたときを想像して動く

大学院に進むタイミングでパソコンを買い替えるべきかは、人によって結論が変わります。ただ私は、まず壊れたときの想像から入るのが良いと思っています。

大学院の終盤は、研究発表や論文、就職活動が重なりやすい時期です。そのタイミングで故障してデータにアクセスできなくなると、精神的にもスケジュール的にも大きな打撃になります。

私は幸いまだ大きな故障は経験していませんが、周囲ではストレージの不調でデータ復旧に追われた人がいました。研究の中身ではなく機材トラブルで時間が溶けるのは、本当にもったいないと思います。今の機材が不調気味なら、修士のスタートで入れ替える判断は十分合理的です。不調がなくても、保証期間や修理対応、バックアップの仕組みがどうなっているかだけでも確認しておくと安心です。

 

学割は武器だが、目的に合わせて使う

パソコンの買い替えを想起すると学割が使えるから、と思って学割で何から何まで揃えたくなる気持ちが湧いてくる人もいると思います。私もその気持ちで一式綺麗に揃えたくなるので気持ちはわかりますが、学割は強い味方であるものの、何となく買い替えるとコストが膨らみます。

研究でどれくらい重い解析をするのか、持ち運びが多いのか、学会発表の準備がどれくらいあるのか。こうした使い方が見えてくると、必要な性能の範囲も定まります。学部の頃は十分だった構成でも、解析や画像処理が増えるとストレスが出ることがあります。逆に、必要以上に高性能な機材を買っても、使い切れないならもったいないです。

研究室の先輩や指導教員に、周囲の構成や実際の運用を軽く聞いてみると判断材料が揃います。周辺機器も軽視しない方がよいです。自宅での作業が多い人は、外部モニターやキーボードがあるだけで作業効率が上がります。研究室と自宅のどちらで作業する時間が長くなりそうかを想像して、最初の環境を整えると、後から小さなストレスを減らせます。

 

 

データ管理は、入学前に「型」を決めておく

ここからは物品の準備というより、入学前に決めておくべきルールや信念の話になります。機材以上に重要だと感じるのがデータ管理です。研究データは消えると取り返しがつきません。だから、大学院に入る前に最低限のバックアップの型を決めておくと良いと思います。

私の場合、最初にフォルダ構成を決め、どこに何を置くかを固定しました。さらに複製が定期的に残る保存先を用意しました。毎日完璧に運用できなくても、型があるだけで迷いが減ります。迷いが減ると作業が進みます。こうした地味な部分が研究の継続力を支えると実感しています。

もう一つ大事なのは、研究室のルールに合わせることです。共同研究やチーム作業がある研究室では、ファイルの命名規則や共有の仕方が決まっている場合があります。自分の最適化だけを追うと後から調整コストが増えるので、最初の一週間で慣習を確認しておくとスムーズです。

 

最初の一か月は、研究より環境づくりに投資してよい

四月に入ると、研究を早く進めたい気持ちが出てきます。ただ最初の一か月は、研究の前に環境を整えること自体が投資になります。鍵や入館手続き、使える設備、実験や解析の予約方法、連絡の取り方。こうした基本が揃うと、その後の研究スピードが上がります。研究室のコミュニケーションの取り方も早めに掴むと楽になります。いつ相談すればよいか、どの程度の準備で相談してよいか、議論の場がどこにあるか。これが分かると悩みを抱え込みにくくなります。

私は最初の頃、遠慮して相談のタイミングを逃し、後からまとめて修正することがありました。小さく早く相談する方が結果的に楽だと学びました。授業が少ない分、生活のリズムが崩れやすいのも大学院の特徴です。睡眠が乱れると研究の集中力が落ちます。立ち上げ期こそ無理をしすぎず、日々の体力を温存する設計を意識してほしいと思います。

 

手続きとお金は、研究が忙しくなる前に片付ける

大学院生活が始まると、研究の立ち上げと並行して地味な手続きがいくつも発生します。学生証の更新、保険や健康診断、学内システムのアカウント設定、奨学金や給与関係の書類など、やることは意外と多いです。締切が決まっているのに、研究の忙しさで後回しになりやすいので、四月のうちに一気に終わらせるつもりで予定を入れておくと安心です。

お金の面でも、引っ越し費用や初期費用で想像以上に出費が重なることがあります。貯金が減ると気持ちが焦りやすくなり、研究の集中力にも影響します。

だから私は、四月から六月くらいまでは生活費の見通しを雑にでも立てておき、買い物も必要十分に絞るようにしていました。研究を進めるための体力と同じくらい、心の余裕も研究に必要だと感じるからです。

 

 

研究室に馴染むために、最初だけ少し意識して動く

大学院では、研究の進め方そのものより、研究室の進め方に慣れるまでが一つの壁になります。報告の頻度や形式、相談のタイミング、研究ノートの書き方、データ共有のルールなど、暗黙の前提が研究室ごとにあります。

ここを自己流で走ると、後から直すコストが増えます。最初の一か月は、分からないことを分からないままにしない姿勢だけでも意識すると後が楽になります。

もう一つは人間関係の距離感です。大学院に入ると、学部の授業のように自然に友人が増える機会が減ります。その代わり、研究室の先輩や同期との関係が生活の基盤になります。

私は、最初に無理に仲良くしようとするより、研究の相談をしやすい関係を作ることを優先しました。研究は一人で完結しない場面が多いので、助けを求められる環境を作っておくことが、結果的に研究を前に進めます。

 

おわりに

学部生活の延長線上に大学院がありますが、生活の重心が研究に寄る分だけ、環境の影響が大きくなります。研究で消耗するのは仕方がない。だから研究以外で消耗しない設計をする。この発想で、住まいと機材、そして生活の動線を整えることを勧めたいです。

学部4年生のこの時期は、卒業研究や発表で余裕がない人も多いと思います。学部の終盤は目の前の締切に追われ、先の準備まで手が回らない日があるはずです。だからこそ、準備は完璧を目指さなくてよいと考えています。

住まいの方針だけ決める。機材の状態だけ確認する。バックアップの型だけ作る。これだけでも、四月以降の負担はかなり減ります。この記事が、春から大学院生活を始める方の不安を少しでも減らし、スタートを軽くするきっかけになれば幸いです。拙い文章ではございますが、最後までお読みいただきありがとうございました。

 

Profile

所属:創薬科学研究科・博士前期課程1年生

出身地:愛知県

出身校:愛知県立岡崎高等学校