2026.08.21
- 大学生活全般
研究ってどう進める?先行研究の探し方と論文の読み方
研究を始める前に
大学で卒業研究やゼミが始まると、これまで以上に論文へ触れる機会が増えていきます。とはいえ、「何を探せばよいのか分からない」「英語の論文を最後まで読める気がしない」と戸惑う人も多いのではないでしょうか。
研究のテーマや進め方は、学部や分野によってさまざまです。ただ、これまでにどのような研究が行われてきたのかを調べ、自分が知りたいこととのつながりを考える過程は、多くの研究に共通していると思います。
今回は、先行研究の探し方と論文を読むときのポイントについて、私自身の経験も交えながら紹介します。すべてを同じ方法で進める必要はないので、自分に合った読み方を見つける参考になれば嬉しいです。
まずは「何を知りたいか」を整理する
論文を探し始める前に、まずは自分が何を知りたいのかを整理します。同じテーマでも、どこに注目するかによって、探す論文は変わってくるからです。
例えば、ある制度について調べる場合でも、利用する人の特徴を知りたいのか、制度の効果を知りたいのか、これまでの変化を知りたいのかでは、必要な情報が異なります。最初から詳しい研究計画を作る必要はありませんが、知りたいことを一文にしてみると、検索に使う言葉を考えやすくなります。
私も、研究を始めた段階から問いが明確に決まっているわけではありません。論文を読み進める中で、「自分が本当に知りたいのは、この部分かもしれない」と考え直すこともあります。最初の疑問にこだわりすぎず、調べながら少しずつ整えていく方法でも大丈夫です。
先行研究を探してみる
自分が知りたいことを整理したら、関連する先行研究を探します。先行研究とは、自分より前に、同じテーマや近いテーマについて行われた研究のことです。
論文の探し方は、研究分野によって異なります。大学図書館の検索サービスを使うこともあれば、分野ごとの論文データベースを利用することもあります。私の場合は医学や遺伝子解析に関する研究をしているため、PubMedを使うことが多いです。
検索するときは、テーマに関係する言葉を一つだけ入れるのではなく、対象や目的、方法などを組み合わせます。それでも、最初からぴったりの論文が見つかるとは限りません。検索結果が多すぎるときは条件を加え、少なすぎるときは言葉を減らしてみます。
実際に表示された論文のタイトルや要旨を見ると、その分野でよく使われている言葉が分かることもあります。その言葉を次の検索に使いながら、少しずつ探す範囲を調整していくとよいと思います。
最初から全部読もうとしない
論文を見つけたら、最初の一文から最後まで順番に読まなければならないと思うかもしれません。しかし、初めて扱うテーマでは、背景や専門用語を理解するだけでも時間がかかります。
私はまず、タイトルと要旨を読みます。要旨とは、研究の目的や方法、主な結果などを短くまとめた部分です。そこで研究の大まかな内容をつかんでから、図や表、結果、考察へ進みます。必要になった部分は、後から背景や方法に戻って確認しています。
最初は、「何を明らかにしたい研究なのか」「どのような方法を使ったのか」「何が分かったのか」の三つを、自分の言葉で簡単に説明できれば十分だと思います。細かい部分まで一度に理解しようとせず、全体像をつかんでから少しずつ読み進めてみてください。
方法と結果を分けて考える
論文を読むときには、どのような方法で研究を行ったのかと、そこからどのような結果が得られたのかを分けて考えます。
同じテーマを扱っていても、対象となる人や人数、調査方法、実験条件、データの分析方法などが異なれば、結果も変わる可能性があります。そのため、結果だけを見るのではなく、「この結果は、どのような方法から得られたのか」を確認することが大切です。
私の場合は遺伝子解析のデータを扱っているため、論文に書かれている解析の流れや条件を確認します。また、新しい方法を学ぶときには、先行研究と同じような解析を実際に動かしながら、処理の意味や順番を確かめることもあります。
もちろん、確認するポイントは研究分野によって異なります。自分のテーマでは、どの条件が結果に影響しそうなのかを考えながら読むと、論文の見え方も少し変わってくると思います。
一つの論文だけで決めない
一つの論文を読んで納得すると、その内容がそのまま答えのように感じることがあります。しかし、研究によって対象や方法が異なるため、論文同士で結果が一致しないことも珍しくありません。
そのため、同じテーマを扱う論文をいくつか読み、共通している点と異なる点を比べます。結果が違う場合は、対象となった人や地域、研究が行われた時期、使われた方法などに違いがないかを確認します。
私の卒業研究でも、自分の解析結果を過去の研究と照らし合わせました。先行研究と同じ結果が得られなかった部分もありましたが、すぐに失敗と考えるのではなく、対象集団や解析条件の違いを確認しました。結果が異なる理由を考えることも、研究を進めるうえで大切な過程だと感じています。
読んだ内容を自分の研究につなげる
論文を読む目的は、書かれている内容を覚えることだけではありません。先行研究で分かっていることを整理し、自分は何を明らかにしたいのかを考えることが大切です。
複数の論文を読むと、共通して分かっていることだけでなく、まだ十分に調べられていない点が見えてくることもあります。また、過去に使われた方法を知ることで、自分の研究に取り入れられる考え方が見つかるかもしれません。
卒業論文や発表資料を作るときには、どの情報をどの論文から得たのかを後から確認できるようにしておく必要があります。論文のタイトルや著者、発表年と一緒に、参考にしたい点を短く残しておくと、探し直す負担を減らせると思います。
おわりに
今回は、先行研究の探し方と、論文を読むときに意識したいポイントを紹介しました。
論文は、最初から一度ですべてを理解しなくても大丈夫です。まずは自分が知りたいことを整理し、タイトルや要旨から研究の全体像をつかんでみてください。その後、方法と結果を分けて確認しながら、自分の疑問とのつながりを考えていくと、少しずつ読みやすくなると思います。
興味のあるテーマがある人は、大学図書館の検索サービスや、自分の分野で使われているデータベースを一度のぞいてみてください。気になる論文を一つ見つけることが、研究を知る最初の一歩になれば嬉しいです。
Profile
所属:医学系研究科修士1年
出身地:愛知県
出身校:愛知高等学校