名大生ボイス

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大学生活全般

2016.01.26

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リーディング大学院合同シンポジウム(2)

生命農学研究科の小川高広です。今回は私が参加したリーディング大学院合同シンポジウムについてお話しします。大学では様々なイベントが開催されています。大学の教員や学生など研究者向けに開催される学会などをはじめ、一般の方々を対象とした公開講座や講演会、名大祭(大学の文化祭)や大学博物館での企画展など多種多様です。その中の一つにシンポジウムがあります。シンポジウムでは、あるテーマについて参加者がスライドや資料を使い、自身の考えや意見を発表します。そしてみんなで討論し、新しい考えや視点を見つけ出していきます。

 

受験生のみなさんの中には、将来大学院への進学を考えている方がいるかもしれません。大学院生になると、シンポジウムなどに参加する機会が増えるので、このようなシンポジウムが大学で開催さてれいるんだぁと思いながら、読んでくださいね。

 

リーディング大学院合同シンポジウムはリーディング大学院について業務を行っているリーディング大学院推進機構を中心に、名古屋大学で運営されている6つの「博士課程教育リーディングプログラム」(通称、リーディング大学院)が合同で、11月3日(火・祝)に名古屋大学東山キャンパスES総合館1階ESホールで開催しました。

 

私はこのシンポジウムに学生実行委員会のメンバーとして参加しました。この委員会は名古屋大学で運営されている6つのリーディング大学院の代表者から構成され、8月から本格的に活動が始まりました。この委員会の活動は非常に幅広く、シンポジウム開催の概要から、テーマや内容、時間配分、資料の作成・印刷、ポスターやウェブサイトのデザイン、参加者の登録、関係する先生方との打ち合わせ、招待者への連絡などの準備、さらには当日のシンポジウムの進行をミーティングで話し合って決めていき、委員会メンバーで作業の役割を分担してこなしていきました。この委員会のミーティングは土日を含めほぼ毎日、大小合わせて100回以上開催されました。比較的みんなの予定がない午前の空いた時間や講義が終わった夜間など、一日に複数回開催されることもありました。議論が白熱した時にはみんな時間を忘れ、深夜まで話し合うこともよくあり、ミーティングの後はヘトヘトになりました。

 

それにしても、今から思い出すと、8月に初めて委員会のメンバーが集まったミーティングは、何とも言えない独特の重い雰囲気でした。見知らぬ者同士が集まり、バラバラというか、他人事というか、私だけではなく、他のメンバーもそう思ったかもしれませんが、このメンバーでシンポジウムが開催できるのかと不安になりました。お互いをよく知らず、メンバーの考えや人柄を探る試運転のような感じのミーティングが数回続きました。しかしその後回数が増えるにつれて、そのような状態から少しずつ脱却し、ミーティングの雰囲気もフレンドリーな感じに変わっていきました。その一方で、先生が出席する時は緊張感が漂っていました。

 

通常は学生委員会のメンバーが集まって行われますが、月に数回シンポジウムを担当する先生方とのミーティングもありました。日本人の先生以外にアフリカ出身の先生もおられ、使用言語は全て英語でした。

ミーティングで自分の担当している作業の進捗を英語で説明・報告し、英語で質問され、英語でアドバイスを頂きました。時には先生に早口で言われ、何を言っているのかわからなくなり、うろたえることもありました。先生とのミィーティングはいつも早く終わってくれ!と内心思ったものです。

 

シンポジウムの開催は11月。開催が近づいてきた10月の中旬からは、忙しさが増しました。リーディング大学院の学生は所属する自身の研究科の必修科目に加え、プログラムごとに定められた講義や研修を履修しなければなりません。そして、研究も行う必要があります。シンポジウムの準備を頑張れば頑張るほど、大変でした。シンポジウムのポスターを大学構内の指定された掲示板に貼り、地下鉄の名古屋大学駅、近隣の八事日赤駅にも許可をいただいて掲示し、広報活動を行い、配布資料の印刷や会場の下見、リハーサル、設営などなど、準備はここで挙げればいくら書いても終わりません。作業は開催日の前日、ギリギリまで続きました。

 

やっと迎えた、当日のシンポジウムは3つの構成で行われました。

1、工学研究科宇治原教授による基調講演「やるか?やらないか?-リーダーとは何か」 

2、リーディング大学院学生による発表 「技術と社会について」

3、ディスカッション 

 

宇治原先生は日頃から民間企業との共同研究をはじめ、積極的に産学官連携に取り組んでおられる先生です。先生はイノベーションの重要性やイノベーションをけん引するために必要なリーダーシップとは何か、「やるか、やらないか」今チャレンジすることの重要性、そして「イノベーションは何もないところからは生まれず、様々な既存製品と既存製品との掛け合わせによって、新しい価値が生まれ、それらが新しい製品になっていく。それらが結果としてイノベーションになる」とエネルギー溢れる講演をされ、私は強い衝撃を覚えました。

 

基調講演の後はリーディング大学院の学生による発表が行われました。3つのグループが社会の問題を解決すべく、技術と社会の観点から、グループで話し合ってきたアイデア、携帯端末や義足、次世代の農業などの現状や可能性などについて発表しました。

今回参加した学生は日本人のみならず、中国、韓国、フィリピン、ベナン、パキスタンなど様々な国から来日している留学生も参加し、発表のために何度も議論を重ね準備して来ました。

 

また今回のシンポジウムではディスカッションのために企業の方3名に来学していただきました。大手自動車部品会社アイシン精機で研究開発に携わっておられる、名大OBの谷口様、LEDの開発にも関係し、ノーベル賞を受賞した天野教授とも親交のある豊田合成の牛田様、起業家を応援するプロジェクトに携わり、企業の経営の助言などを行う新日本有限責任監査法人の松葉様に来ていただきました。来賓の方々は日頃から研究の第一線で「イノベーション」に関わっておられ、民間企業の立場から大学の講義では聞くことができない貴重なコメントをいただきました。

 

シンポジウムはリーディング大学院の説明会を含め約5時間の開催でした。このシンポジウムが無事に終わりホッとしています。無事に開催できたのも、来賓の企業の方々や学生を支えてくださった教職員の方々、そして参加してくれた学生のみなさんのおかげで、感謝の気持ちでいっぱいです。シンポジウムが終わった時、みんなのすがすがしい笑顔は印象的でした。時には意見の対立から感情的になり、ケンカになりそうな時もありましたが(異文化や多様性を肌で学ぶ場面でもありました)、様々な試練を乗り越えた結果、一つのチーム、仲間意識が芽生えたように感じました。もちろん次回のシンポジウムに向け、反省すべき点はあります。反省点はきちんと検証し、次回の参考になるようにしておきます。

 

私はこのシンポジウムでどのようにしてチームを作り、考えや思いが違うメンバーと目的意識を共有し、共に同じ道を歩んでいくためのヒントを得ました。そして、委員会メンバーや参加してくれた学生、来賓や教職員の方々など様々な方に出会うことが出来ました。出会いは「財産」だと思います。高校生のみなさんも様々な場面で、いろんな人に出会うと思います。両親・家族や学校の先生、塾の先生、クラスメートや部活の先輩後輩などです。出会いを大切に、学校生活を送ってみてください。また違った視点で、人生を楽しむことができるかもしれません。

Profile

所属:生命農学研究科博士前期課程1年生

出身地:兵庫県