こんにちは。最近出会った新入生に先輩呼ばわりされてとても喜んでいる大石です(*`ω´*)
そんな彼らに授業のことをよく聞かれるので、それに関連してまた「名大の授業」シリーズを 書いていこうと思いたちました!今回は「国際開発学」という文系基礎科目について。
僕がこの講義をとったのは1年前期の時でした。実は希望の授業の抽選に落ちてしまい、残ったものから選んだ...というかたちです。それもあって、最初はそこまで乗り気にはなれずに臨んだ授業でした。
でもでも、実際に先生の話を聞いてみるとこれが凄く面白い!講義の内容も、先生の個人的な話も。この魅力をがんがん語っていきたいのですが、「国際開発学」とはなんぞやって疑問が浮かんでる人もいらっしゃることでしょう。まずそこからお話していきますね。
シラバス(授業案内のようなもの)には
第二次世界大戦以降、発展途上国の開発問題は国際社会の主要な関心事の一角を成してきた。本授業では、伝統的な経済開発アプローチに基づく開発学の諸理論を理解し、その上で日本の開発援助政策(ODA)の実体に注目し、そこから国際的視点へと展開していく。次に、伝統的な開発学の限界を明らかにした上で、現在模索されている人間開発アプローチなど新たな開発戦略や、社会開発とビジネスの融合などについて考えていく。
と書かれています。なんだか長いし難しい言葉があってよく分からないだろうと思いますが^^;
噛み砕いていうと、まず「開発とは?」というそもそもの定義をし、現在・過去の開発手法を学ぶことでその問題点やこれからどうするべきかってことを学ぼうということです。
特に印象に残ったこととして、途上国を対象としたビジネスの話があります。
現代社会で開発・生産されるものは概してハイテクノロジーで高価なものだと思いませんか? それは私達のような先進国で生きている人にとってはたいてい良いものでしょう。持てる技術で良いものを作ることが当たり前のようになっています。しかし、それははたして途上国でも同じように必要とされるでしょうか?極端な例えかもしれませんが、途上国で3Dテレビが必要とされないのはどう考えても明らかですよね。
このようなオーバースペックの製品は確かに一部の人にとっては魅力的かもしれません。ですが、操作が難しかったり壊れた時に現地の技術力ではなかなか直せなかったりという問題点があります。さらに、そもそも高価であるため取り入れにくいということも。
では、どういう製品が必要なのでしょうか。一言で言ってしまうと、『単純』なものです。 『単純』だから壊れにくく、『単純』だから安価で、『単純』だから使いやすい。そんな商品にニーズがあるといいます。途上国向けの製品では、技術力はハイスペックなものでは無く、こんな単純なものを作るためにあてられるべきなのでしょう。
具体的な製品名などは覚えてないですが、バケツ2つをくっつけ真ん中にフィルターを付けただけの浄水器や、水を運ぶ際に転がしやすく坂道や段になった場所でも大丈夫な樽などが人気だと聞きました。
こんな単純なものでいいのに日本の企業が途上国へ売り出そうとしている製品はハイスペックで高価なものばかりだとか。しかし、これは日本人が現地の環境を知る機会に恵まれにくくポテンシャルを発揮できていないことが大きな原因になっているそうです。それさえ解決できれば今後のものづくりの発展には期待できるのではないでしょうか。
ではビジネスの話はこのくらいでおわらせますね。
さて、もう一つ紹介したいのが、開発援助の問題点について。みなさん、ODAという言葉をご存知ですか?わりと頻繁に耳にする単語かなって気もします。これは、政府開発援助(Official Development Assistance)の文字通り、政府が開発途上国に対して行う資金や技術の協力のことです。これだけ耳にするとすごくいい事のように思えますよね。でも、問題点がたくさんあるんです。3つ取り上げてみますね。
【問題点その1】
まず、前提としてODAの役割について触れましょう。その一つに相手国のGDP(国内総生産)を押し上げるというものがあります。これを効率的に行うにはODAをどこに投入すればよいでしょうか。それは、まず生産部門、次いでインフラ部門です。社会の根幹となる部分から良くしていこうという狙いからです。
しかし、このとき社会的弱者(労働者、農民、先住民など)の犠牲を伴うことが少なくありません。具体的には土地の収用や立ち退き、生活環境(水系や森林)の破壊などが挙げられます。逆効果じゃないか!って突っ込みたくなりますね...。
これだけじゃ終わりません。まだまだ問題点が出てきます。
【問題点その2】
ODAが被援助国住民の福祉向上に貢献しない場合が多々あります。この理由は単純で、開発援助とは名ばかりに実は援助国企業の利益を目的としていることがあるためです。
無償奉仕がしたい企業なんてそうそうありませんもんね。仕方が無いかなって気もします。
【問題点その3】
3つめはODAの供与先に偏りが生じてしまうこと。これは地理的、歴史的、政治的な観点によるものです。このような配慮に基づいた配分では平等性が失われてしまいますし、その不平等地域に当たってしまった国では開発がなかなか進まずODAの存在意義に反してしまいます。
こんなふうに開発援助には様々な問題点があるんだねってことでこの話を終わります。
この他にも経済開発のアプローチとしてどのようなことが行われているのか、また行われていたのかという内容だったり、人口増加率と経済成長率の関係として「貧困の罠」という考えだったりを学びました。
以上で見てきたように、「国際開発」という言葉から本当に幅広い分野を勉強できます。興味がある人は大学に入学してからこんな内容の講義をとってみてはいかがでしょう。
さて、今回はこのあたりで。
名大生ボイスで書くネタが無くなってきた今日このごろ。何か聞きたいこと、書いて欲しいことがあれば是非ご連絡を!
それではまた次の記事で!!
Profile
所属:理学部2年生
出身地:和歌山県