こんにちは。医学部5年の佐井です。寒い日が続きますね。前期日程まであと少し。受験勉強がんばってください。私はというと、この1ヶ月間、瀬戸市の病院に泊まって実習をしていました。そのときに回った、外科の話を中心に今回は書いていきます。
消化器外科
脳外科、心臓外科なども外科ですが、単に外科といった場合には、一般的に消化器外科のことを指します。扱う臓器としては、食道、胃、十二指腸、小腸、大腸、肛門、肝臓、胆嚢、すい臓など、喉元からお尻まで幅広く、手術も、昔ながらの開腹から、小さな傷に腹腔鏡というカメラを入れてお腹の中をのぞきながら行うものまでとさまざまです。日本人の死因として現在最も多いのはがんであり、その中でも消化器系のがんが下の表のように多くを占めています。すべてを手術で治せるわけではないですが、がん治療の柱の1つとして手術は欠かせません。名大病院ではあらゆる手術が行われていますが、特に、難しいことで知られる肝門部胆管癌の手術が有名で、全国から患者さんが集まってきます。ちょうど実習中にテレビ局の取材が来てました!
がんの部位別死亡数 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 |
男性 | 肺 | 胃 | 大腸 | 肝臓 | すい臓 |
女性 | 大腸 | 肺 | 胃 | すい臓 | 乳房 |
(厚生労働省 平成27年人口動態調査から作成)
左:開腹手術で使う持針器 右:腹腔鏡下手術で使う持針器
大学病院だけあって、シミュレーターが充実しており、実習中に練習することもできます。左は胆嚢摘出のシミュレーション中で、右は縫う練習をしているところです。カメラ越しに見た風景は、片目で見ているのと同じで奥行きがわかりません。慣れるまでは、左手から右手にものを渡すだけでもなかなか大変で、手が痛くなります。
消化器内科
消化器のがんが多いことは述べたとおりですが、がん以外にも胸焼けや腹痛、便秘など、消化器のトラブルはたくさんあります。これらすべてを診て治療するのが消化器内科です。特徴的なのは、胃カメラ、大腸カメラでしょう。病変を直接見て診断できるだけでなく、技術の進歩で、ポリープや早期のがんであれば、切り取ることもできるようになっています。手術に比べれば合併症は少ないですし、何よりお腹に傷が残りません。ただ、かつてより細いカメラになったとはいえ、やはり飲み込むのは大変そうでした。
超音波をあてて肝臓を見ています。教科書に載っている写真も、互いに実際にやってみることで、より理解が深まります。
まとめ
お腹が痛くなったり、吐き気がしたりという経験はみなさんもきっとあると思うので、割と身近な科かもしれません。技術革新についてカメラをあげましたが、他でも進歩はめざましく、例えば、かつては手縫いでつなげるしかなかった腸も、いまでは大きなホチキス(自動吻合器)でつなげられるようになりました。いろんな道具の使い方を覚えるのはなかなか大変ですが、便利な機械が次々とでてくるのは面白いところでもありますね。
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Profile
所属:医学部医学科5年生
出身地:愛知県