名大生ボイス

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受験勉強法

2022.03.30

  • 受験勉強法

まだ受験でない一、二年生の過ごし方

みなさんこんにちは、名大工学部3年の塚本です。今回は、まだ受験勉強を始める前の高校1、2年生の方々に向けて、自分の高校生活や周りの体験談などを元に、受験が始まる前に取り組んでおいた方がいいと思うことを書いていこうと思います。

学校も春休みに入り、そろそろ来年のことを考え始める時期なのではないかと思います。皆さんの中には、これまで部活や行事などで手一杯で勉強が手につかなかったけれど、そろそろ本腰入れて頑張っていきたいと考えている方も多いのではないでしょうか。しかし、いざ受験に向けて頑張ろうと思っても、何から始めればいいのかわからない、といった悩みが出てくるかと思います。私も実際そういった悩みを抱えていました。受験に向けて頑張ろうと思っても、通っていたところは大した進学校でもなく塾も少ないため、身近に相談できる相手がおらず、右往左往していました。そういった経験から、ここにいる私と同じような悩みを抱えた皆さんが少しでも前に進めるように、大学を3年間過ごしてきて、色んな人から聞いて集まった知見を残していこうと思います。

 

模試を有効活用していく

高校1、2年生の皆さんは特に、そろそろ初めての模試に直面するといった人もいるのではないかと思います。もうすでに何度か模試を受けているという人も多くいるかと思いますが、始めて目にする模試は、既習範囲とはいえど、学校の定期考査とはまるで全く違う問題のように感じたのではないでしょうか。私自身も、全く慣れない問題形式で、定期考査とは違った複雑な問題が並んでいるのを見て卒倒しそうになりました。思うように点数が伸びず、鬼のように体力が削られるこの模試を苦手に思う方は多いと思います。しかし、多くの高校生がなんとなく実力試しで受けているこの模試を、1、2年生のうちから目的持って取り組んでうまく活用していくことで、3年生になった時に周りと大きく差をつけたり、一気に点数が伸びるようになったりします。

 

模試をどのように活用していくのか

模試は志望校の判定や、得意分野、苦手分野の細かな分析など、既習範囲の復習をしつつ、実力を測れるといった利点があります。学校で習って間もない頃に模試でしっかり復習しておくことで、後々3年分丸々復習し直さなければならないといった事態が防げます。また、学校の定期考査によっては、教科書や問題集の答えを丸暗記すればそれなりに点数が取れるといった教科もあり、習った範囲が実力として身についているか微妙なところがあります。そのため、高校1、2年生のうちから実力を伸ばしていくために、しっかりと模試をフル活用していくことが大切です。
具体的にどう活用していくのか、私の経験に沿って書いていこうと思います。まず、模試が終わったら必ず間違えた箇所の復習と解き直しを行うようにします。これは後々見返せるように模試用のノートを作るといいです。間違えた箇所とその範囲の予備知識などを全て一つのノートにまとめておくことで、次の模試で同じ間違いを防げます。模試では出題範囲が被っていることも多いので、それだけで点数は飛躍的に上がります。
また、模試の結果分析から、苦手分野について基礎的な勉強から始めてみる、得意分野について少し難し目の発展問題のあるような問題集を解くなどといった、苦手分野を潰し、得意分野を伸ばしていくために、これからの学習の方針を立てることができます。
自分の得意な部分があるだけでも自信につながりますし、得意分野をしっかり伸ばしていくことで、受験期に突入した際、自分の武器にすることもできます。

 

定期考査と模試、どちらの勉強を進めるべきなのか

模試に関する悩みとしてあるあるなものの一つとして、模試の対策と定期考査のどちらを重視すれば良いのか、があると思います。個人的には、1、2年のうちは基本的に教科書や授業中心で、定期考査に向けた勉強をしつつ、余裕があれば試験範囲の難しめな問題に挑戦してみる。といった勉強方法が一番いいかと思います。3年生になると模試の解き方は復習することが出来ますが、その単元の教科書をじっくり読んで、単元自体への理解を深めるといったことは時間的に厳しくなります。そのため、その単元を習ったばかりの定期考査期間が一番その単元を深めるのに適していて、その期間にその単元をしっかりと学び取ることが一番の受験勉強になると思います。私の高校では、定期考査の内容は基本的に学校で配布された問題集から出題されたのですが、少し難しめの問題に関しては試験範囲であっても除外されている場合がありました。そういった問題を少しでも解いておくことで、その試験範囲への理解もより深まりますし、模試のような応用の利いた問題にも対応することが出来ます。ただ、ここに関しては自分の高校や塾などのレベル感によるところが大きいように思います。自分の通う高校はある程度進学への対策をしているといった人は、上で述べたような学校の勉強中心のスタイルでいいのかなと思いますが、自分の通う高校があまり授業の進度が早くなかったり、進学へのサポートが手厚くなかったり、といった人はある程度自分で勉強をしていく必要があります。個人で勉強を進めたい!という人は、習う順番に進んでいくような優しめの問題集を副教材として使っていってもいいかなと思います。というのも、受験用の参考書には解説が驚くほどわかりやすく、その単元を完全に忘れてしまっていても十分に頭に入るくらい完成度の高いものが多くあります。私自身、特に理科や地理などに関しては1、2年生のうちから持っておけばよかったなぁというものが多くあります。それなので、今の授業や勉強環境に満足できないのであれば、受験用にオススメされている参考書を探してみる。というのも一つの手だと思います。

 

模試の対策の仕方

それでも模試でもっと点数を取りたいと思い悩む方も多いと思います。定期考査で点が取れたとしても、模試では点が取れないという悩みを抱えた方も案外多いのではないでしょうか。実際模試の点数が低いことはモチベーションを低下させますし、一教科だけでも誇れるものがあれば、自信がついてより難易度の高い問題にも取り組めるようになるかと思います。

模試と定期考査では同じ範囲でもまるで違った問題のように感じるのはなぜか、私なりに考えてみると、定期考査では知識を確認するような難易度も優しく軽めの問題が多いのに対して、模試では複数範囲にまたがるような重めの問題が出題されているため、そもそもどの単元の知識を活用しているのか結びつかないところがあるということが、模試をより複雑に見せているのだと思います。

これを解けるようにするためには、知識を応用できるレベルまで引き上げる、模試の問題を分解して考えられるようになる(模試の解き方に慣れる)といった二つの方向性が考えられます。

知識を応用できるレベルまで引き上げるということに関しては、普段単語や知識の暗記、公式の暗記と簡単な当て嵌めで終わっていたところを、少し長めの英語長文や古文等に触れてみたり、知識の関連性をまとめてみたり(地理で言えば、気候や地形、産業などいろんな切り口から地図にまとめてみるといったことなど)、公式の導出過程について詳しく教科書を読んで根本から理解していったり、といった基礎を深く理解するための勉強が有効だと思います。特に今は受験形式も変わり、問題も変化している傾向にあるかと思うので、小手先のテクニック的な解き方に頼らず、問題の形式に左右されない、安定した土台を作り上げておくというのはかなり重要だと思います。
上で述べた話とは相反するようですが、模試の問題を分解して考えられるようになる(模試の解き方に慣れる)といったことも身につけていく必要があります。これには、問題を解く前にどういった解き方をすれば良いのか、という具体的な方針を立ててから解くことが重要になってきます。特に数学や物理などは、最初の方針が難しくなればなるほど立てにくく、しかし実際方針を立ててみたらあとは案外楽だったということが多々あります。方針を的確に立てていくためには、①さまざまな問題の出題パターンになれる②一つの問題を様々な解き方で解く、別解を探すといった二通りの方法で、自分の中にある解き方の手札を増やしていくことがまずは重要だと思います。その後でカバーしている範囲の大きい問題に触れ、まずはどのカードを使ったらいいのか自分で方針を立ててみて、解き方を考える訓練をするというのが重要になってきます。極論そのあとの計算は飛ばして、想定していた解き方であっていたか確認するだけでもいい訓練になると思います。

このように知識を強固にし、活用していく、と言った二本柱を意識して勉強メニューを組み立てていき、その都度自分に合うように勉強メニューをカスタマイズしていくと、より点数に繋がる勉強ができると思います。

 

普段の定期考査の捉え方

では、一方で普段の学校や勉強はどのように取り組み方を変えていくのか、という事が気になるかと思います。私の高校は偏差値も平均的な進学校で、文武両道を掲げているような所でしたが、定期考査も変わらずしっかりと取り組むようにしていました。そのおかげで3年生の時に推薦という選択肢を考えることができました。また、普段から頻繁に先生のところへ分からないところを質問したり、積極的に課題に取り組んだりしていたおかげで、二次試験で使うような記述問題の添削や推薦の対策がかなり頼みやすくなりました。
私の周りの友達の話を聞いていてもそうですが、学校によって、かなり定期考査の比重は変わると思います。また、模試のような形式のところもあれば、基礎的な知識の復習にとどまるところもあり、問題形式もかなりバラバラだと思います。そういったことから、定期考査にはこのように取り組んだほうがいい!と断言することはできませんが、あくまでも私はこう取り組んだ、ということを述べていこうと思います。

まず、単語や小門を抜け漏れないようにしておく、というのを定期考査の大きな目標としていました。定期考査ではあまり応用的な事は問われなかったので、学校の教科書の例題レベルの問題や、単語、用語、公式など、既習範囲の教科書や問題集を何度も往復し、覚えてないところをチェックして、本当に覚えられないところは一枚の紙にまとめて完璧に覚え込むという作業を繰り返していました。そうする事で既習範囲を抜け漏れなく学習できるだけではなく、覚えられないところや間違えたところをまとめた紙やノートを模試の前やテストから大分経った後に見返すだけで、かなり効率よく復習することができます。このように既習範囲を漏れなく暗記しポイントを書き溜めておくだけでもかなり受験勉強が楽になります。
さらに定期考査が終わったあとの復習はしっかりめにやっておくことをお勧めします。私がやっていたのは、まず、模試で間違えた部分を回答を見ながら解いたり、解説を読み込んで間違えた部分について解き方を理解し、間違えた原因を明らかにした後で、模試の全ての問題を一から解き直し、間違えたところは範囲ごとしっかり復習するという流れで復習していました。定期考査の対策ではかなり暗記に力を入れていたのですが、それでも解けないという事はかなり抜けている知識になると思うので、二度と間違えないように、しっかりと復習しておくことが大切だと思います。そうする事でテスト範囲を完璧にすることができます。
私自身、この復習作業のために模試のあった日と次の日は丸一日模試の復習に使っていました。部活等で時間が無い時は一日一教科に分けて次の週の放課後や隙間時間を使いこの一連の流れを行なっていました。しかし、この作業を続けることによって、模試の成績が普段の定期考査以上に伸び、そのアドバンテージがあったからこそ、受験勉強の時に一から模試の得点力をつけるための対策をしなければいけないということもなく、暗記科目や苦手科目の復習に時間を割くことができ、結果的に総合的に点数を取れるようになってきたのだと思います。また、一から復習しなくても、模試の復習を辿るだけで高校3年間をざっと復習できるため、他の受験生よりもずっと早めに土台を完成させ、十分レベルアップのための演習に時間を活用できるなどといった利点もあり、早いうちから模試の復習を習慣づけておくことはかなり大事だと実感しています。

このように私の高校では既習範囲の復習をメインに定期考査を行なっていたので、基礎を固めるという目的で取り組んでいました。他にも自分の高校のスタイルにあった定期考査への対策の仕方が沢山あると思うのでぜひ一度自分に合うものを調べてみてください。そして、模試と同様に、定期考査も有意義に活用できるように、自分の中でちょうど良い位置付けや優先順位を考えてみると良いと思います。

 

その他対策しておいた方がいいこと

その他対策しておくといい事としては、とにかく受験に関する情報を集める事だと思います。効率のいい勉強法や評判のいい塾・講習、大学の入試制度、そもそもどんな大学があるのかなどなど、高校からだけでは得られないような情報が山のようにあります。それらの情報を集めて整理していくのは途方もない時間と体力を使います。
しかしほとんどの受験生が受験期に入ってからこれらの作業に取り組んでいきます。それだけで勉強時間も体力も削られていってしまうし、道筋が決まらないまま勉強していくと先の見えない不安が常につきまとい、精神的にもあまり宜しくない状況になります。逆に、道筋がハッキリしていればいくらでも点数は伸ばすことができます。そういったことから、比較的時間のある1、2年生のうちに情報を集め、整理しておく事をおすすめします。

とはいえ、何から調べたらいいのか、と悩むかと思います。それについて私なりに調べてみたこと、調べた方が良かったことを述べていこうと思います。
まず、いくつか受験候補となるような大学を調べておくと良いと思います。この記事を読んでくださっている中学・高校生の皆さんは特に名古屋大学を志望している方が多いと思いますが、本当にここで良いのか納得して決めるという意味でも、幅広く志望大学を見ておくというのは良いことだと思います。また、同じ大学でも学部によって、大学内でどのような位置付けにあるのか、地域や学校間ではどのような位置づけとなっているのか、かなり違いがあると思うので、名のある大学だったとしても、実はこの分野だったら他の学校の方が進んでいた、設備やカリキュラムが充実していた、なんて事があります。なので、興味のある分野を切り口に大学を調べておく、と言うのもひとつの手かと思います。

更に、実際受験を進めていくと、本命の大学から上下することがよくあると思います。その度に調べていては切りがないので、興味のある分野から、少し余裕を持って受験出来そうな大学、少し頑張って手が届きそうな大学をあらかじめリストアップしておくと良いと思います。この時、受験科目や受験方式・日程を必ず調べてメモしておくことをおすすめします。受験方式も様々な方式があったりして、知っておけばもっと楽に受かれたという事もあると思うので、色々調べておくというのは受験勉強以上に大切だと思います。

 

部活、課外活動に取り組む

実際、自分の興味のある分野は何か、考えてみても学校の中だけでは難しい部分もあります。この教科が好きだからと言って大学の授業も好きになれるかというと、そうでは無い事も多々あります。もちろん、高校で得意だった教科を大学でとことん突き詰めてハマっている人もいますが、どこかミスマッチを感じている人も結構います。せっかく受験を頑張ったのに、思ったような学問が待っていなかったというのは勿体なさすぎるので、学校だけではなく、色んな所から自分を見つめ直してみるという点で、部活動や課外活動などに積極的に参加してみることをおすすめします。

このような状況では活動が制限されてしまうものもあれば、逆にオンラインになって参加しやすくなったものも沢山あると思います。大学が主催している高校生向けのセミナーやイベントなどに参加するのも一つの手だと思います。
色んな分野を実際に体験してみることで、向き不向きを感じることが出来たり、そこから広がる色んな分野に目を向けることができます。直接その分野に関係なくても、自分は黙々と何かを作ることが好きだから、ものづくりに関係する分野を見てみよう、自分はグループで色々考えてプロジェクトを進めていくのが好きだから、グループで取り組む授業がある大学にしよう、学生主体で進めるプロジェクトが沢山あるような大学にしよう、など、色んな切り口からやりたい事を考える事が出来ると思います。そういった体験から自分を分析してみることで、これまで見えてこなかった将来の選択肢が見えてきたり、漠然としていた将来設計が具体的になったり、大学でどんな勉強をしたいのか、どういった学生生活を送りたいのか、その先の将来についてもより明確にイメージできるようになると思います。そうすることで、志望校を明確に絞り、十分に受験勉強だけに時間を割けるようになってくると思います。それだけではなく、新しいことに挑戦することで、受験に止まらず、自分自身の世界を広げていくということにもつながると思います。後々の人生を考える上で、自分の支えとなったり、自分を突き動かすような経験となったりすることも十分あり得ます。

高校生のうちから長いスケールで将来を考えることで、漠然としていた目標設定がはっきりとし、受験勉強により一層身が入るようになったり、これからの大学生活をもっと有意義に活用したりできるのではないでしょうか。

また、志望する大学のイベントやオープンキャンパスに今のうちから参加してみるのもいいと思います。モチベーションをあげるだけでなく、ホームページやパンフレットから得られたイメージと一致するのか、実際に行ってみて感じるものは沢山あると思います。授業もオンラインになり、大学によっては授業内容の一部がオンデマンドで閲覧できたり、シラバスがネット上に上がっていたりするので、そういったものにも目を向け、大学生活でどんなものが得られるのか、いろんな情報からイメージを明確にしていけると、実際入ってからの生活とイメージとのズレをなくしたり、受験勉強中にこれからの大学生活を想像してモチベーションとなったりすると思います。

ぜひ、比較的余裕のある今、気力と体力が溢れるうちに、課外の活動にも目を向け、普段の学校生活では学べないようなことに目を向けてみてはいかがでしょうか。

Profile

所属:工学部機械・航空宇宙工学科3年生

出身地:岐阜県

出身校:岐阜県立斐太高等学校