2026.01.15
知っておきたい受験勉強の話~何をしてはいけないのか?~
皆さんこんにちは。今回は受験に向き合う中で意識すると良いことをお話ししようと思います。この文章は、もともと私が大学入学直後に母校の後輩に向けて作成したいわゆる合格体験記を編集したものになっています。ですから、受験勉強をやり終えた大学1年生の新鮮な感覚と、いまの大学4年生の自分が改めて思うことをブレンドしたよい読み物になっているはずです。(こんなことをはじめに言ってハードルを上げていることに気づき、書きながら怖い思いをしています。)
私は高1くらいから国立大学の理系学部を目指していて、高3で本格的に名古屋大学を志望するようになりました。ただ、今回は文系・理系や志望する大学を問わず、万人に役立つような内容を盛り込んだつもりです。ぜひ最後まで読んでいただければと思います。

中学生から意識しておきたい2つのこと
そもそもこの記事の読者に中学生がいるのか、怪しいのですが、早いうちから意識するとよいことを2点だけお伝えします。もちろん高校生にも当てはまる内容です。
1つ目は「英国数の主要3科目をサボりすぎないこと」です。この科目はいきなり実力を伸ばすのが難しく、高校生になってから中学生の基礎をやり直すこともしばしばあります。特に好きな科目がないという人は英国数を、もっと言えば英文法は固めておくと良いでしょう。
しかし、いちばん優先するべきことはあなたの好奇心を深堀りすることであって、受験を考えることではありません!
2つ目は「教養を身につけること」です。高校生になると(というかいつでもそうなのですが)、学校で直接教わりはしないけど知っておくと良い知識が出てきます。例えば現代文を読む時、英語長文を読む時に、その内容の背景を知っているのと知らないのとでは本文の読みやすさが全く違います。しかしながら、「よし、受験だからそろそろ教養身につけるぞ」なんてことはなかなかできないんですね。いまのうちに興味関心があること、何でもいいので少しでも知っておくと役に立ちます。
高校生、受験生が気をつけるべきポイント
高校生全般に言える、気をつけて欲しいこと、注意しておくと良いこと(すなわちNG行動集)をまとめておきます。受験において「何をやるか」というのはもちろん大切なのですが、それは環境や実力、相性などの兼ね合いから人によって様々です。それ以上に、ほとんど万人に通用する「何をしてはいけないのか」が非常に重要なのです。
× ゼロ勉強
全く勉強をしてないと、後から勉強習慣をつけるのが辛いです。いきなり長時間やらなくてもいいですから、少しずつ始めましょう。その少しずつがいちばん難しいことに、後で気が付きます。
また、高校1,2年生は勉強での失敗を経験してみてほしいです。私は勉強のやり方がよく分からずに高3の夏を迎えてしまい、夏休みに数学だけをやり続けたところ突如やる気を完全に失うという失敗をしました。高3の夏に失敗してしまうと修正が効かなくなってしまいますから、色々試してみるのは今のうちだと思います。
また、自分が一日のうちに何時間くらい勉強ができるのかという「勉強体力」をはかっておくことも重要です。早いうちに受験勉強を想定した長時間の勉強/中長期的な学習計画をしてみて、自身の失敗経験を次に活かしてください
× 一夜漬け定期テスト、ノー勉定期テスト
個人によって学校の定期テストの立ち位置は違うと思います。しかし自分の学力を上げる通過点として捉えて欲しいです。私は勉強をやること自体が非常に苦手だったので、とりあえず定期テスト範囲をそこそこに仕上げることで、計画的に学習を進めることができました。とはいえ、あまり効果のないであろう短期記憶に走ってしまったこともあったため、自分なりに効果的な学習計画を立ててみてください。
この時期は思春期特有の権力への抵抗が芽生えるからなのか、学校の試験や授業には意味がないという思想も散見されます。学校によって指導の進み具合や質は当然異なってきますが、学校教育が受験の内容と無関係であるはずはありません。自分の使う科目や重要視している分野とテスト範囲との共通部分を見出して、うまく定期テストを利用してください。
× 受験勉強が「いつからか始まる」と思っている
「受験勉強はいつから始めましたか?」という質問をよく耳にします。実際、私も高校1年生くらいのときに部活動の先輩にきいた記憶があります。確かに、近い存在である先輩に受験のことをきいてみるのは一つ有用な行動かもしれません。
しかし、先述の質問は、愚問なのではないかと思っています。というのも、勉強は突然始まる(始められる)ものではないからです。本腰を入れて勉強し始めるタイミングというのは確かにあるのかもしれませんが、過度なスタートダッシュを切るとすぐにバテてしまい、のちに動けなくなります。
受験はかなり長期的なマラソンだということを認識するべきです。日々の授業や定期テストで習得した基本事項が受験の礎となっているという意味で、あなたの受験勉強は既に始まっています。
× 曖昧な基礎固め
受験にかかわる人は口を揃えて「基本が大切なんだ」「基礎固めをやれ」と言います。でもイマイチ基礎固めが何なのか教えてくれない、結局よく分からないんですね。
個人の意見ですが、簡単な問題を何周もすることが「基礎固め」なのではありません。というのも、簡単な問題=基本事項を学べる良問であるとは限らないのです。自身の実力よりも一歩先の問題を試しに解いてみて、「ああ、意外と簡単だ」「解けなかったけど、解説を見たら知っている知識だった」「この基本事項さえおさえていれば解けた」という感覚を掴み、そのポイントとなる基礎知識に遡ること、これが基礎固めだと思っています。
つまり、どんな難易度の問題にも通用する本質的な基本事項を見つけて欲しいのです。少し進んだらまた戻る、また少し進んで戻る、という感覚です。この感覚はなんとも言語化が難しいのですが、難問にも挑戦してみること、恥ずかしがらずに基本事項や定義からやり直すことをやっていただければ良いと思います。
× 手段の目的化
例えば、模試で英文法の問題が出るからそのためだけに対策する、といったことです。それ自体を否定している訳ではありません。しかし模試というのは受験を突破するための手段に過ぎず、模試で高い点数を取ることがゴールではありません。自分の受ける大学で英文法4択問題が出ないのに、模試のためだけに対策するとしたら、果たしてどうでしょうか。
きちんと他の目的があれば良いですが、何も考えずにとりあえず目先の対策をやる行為はやめたほうが良いでしょう。
類例に「予備校の映像授業消化」があります。指定されたノルマが多すぎるあまり、意味もなく倍速で流して何も頭に入らないといった最悪の状況は避けてください。私も月あたりのコマ数を指定されましたが、全て無視してしっかり頭に入る量だけをやりました。
× 他人を気にしすぎる
受験期になると周りの様子が気になります。例えば、誰があの参考書を使っているとか、あいつのやっている問題集は難しすぎるとか、そういうことです。しかしあまり気にしすぎると、自分の勉強スタイルが縮こまってしまったり、正しくない情報に惑わされて勉強が上手くいかなかったりします。
クラスメイトだけでなく、教育系YouTubeチャンネルもしかりです。(彼らは不必要に受験生の不安を煽ってくる場合があります。)他人の言うことを鵜呑みにしないようにしましょう。平気な顔をして案外みんな適当なことを言っています。
× スマホからの通知に反応する
現代の我々の生活はスマートフォンと密接に関連しており、とりわけ受験に集中するためにはその使用時間を意識的に管理することが不可欠と言えます。私は勉強中は電源を切るか、物理的に遠ざける手法をとりました。
やり方は様々かと思いますが、何らかの対策を講じるべきでしょう。友人と静かな空間で勉強し、互いに監視し合う環境を作ることも有効かと思います。

× 嫌々勉強する
これは仕方ないことでもありますが、なるべく楽しくやろうという気概を持ちましょう。私は嫌いな科目でも、好奇心を持って取り組むように意識しました。
“受験だから”という理由よりも、単純に「なぜだろう」「どうしてこうなるのだろう」という気持ちを持って勉強するほうが長続きし、効果的です。
× 文字情報だけで勉強する
あらゆる教科において、文字だけの勉強は非常にもったいない行為だと思います。それは、画像や映像、図表によって、各科目の“解像度”を格段と上げることができるからです。
学校で配布される資料集をタンスの肥やしにするのをやめて、隙間時間に目を通すようにしましょう。
一度問題を読んだだけで、何を言っているのかわかるようにするためには、頭の中で映像を思い浮かべることができるようにする必要があります。
× あらゆる勉強を個別のものと捉えてしまう
すべての勉強はどこかで繋がっています。地理で勉強した環境の話が英語長文で出てくる、数学で勉強した微分が物理で出てくる、物理で勉強した状態方程式が化学に出てくる…挙げればキリがありません。
とにかくあらゆるものをリンクさせる能力、既存の知識から新たなものを推測する能力が必要です(頭のいい人は知らないことを推測して当てることができ、彼らはそれを“勘”と呼んだりします。たぶん)。バラバラにして捉えると、一気に覚える量が増えたように感じてしまいます。
勉強とは「1.いかにあらゆる現象を繋げて考えられるか」「2.いかに抽象と具体を行き来できるか」の2点だと思います。これは非常に大切なことなので、心のどこかに留めておいて欲しいです。
科目別の注意点
全員が使うであろう国語や英語を中心に、科目別に私なりのコメントを置いておきます。
国語
冬に古典を中心に共テ対策をしましたが、あまり上手くいかなかったです。古文単語を300語くらいきっちり覚えて、共通テスト本番で12点取った時は嘘かと思いました。敗因は、英単語と同じ要領で、語彙力さえあれば読解はどうにかなるというミスリーディングな思考によるものでした。
古文と英文の質の違いは、前提とされる文脈にあります。古文を読解するためにはいわゆる「古文常識」が必須であり、いくら古文単語を覚えても、”背景知識”がなければ、物語の意味や現代語訳の意味が釈然としないのです。単語ももちろん重要ですが、まずは最低限の背景知識を備えることを強くオススメします。そうしないと、低画質の映像を見ているかのような状態が延々と続きます。
漢文は重要な句形を暗記しておきましょう。少量の知識で点数が安定するため、必ずやるべき科目です。
現代文はすぐには伸びません。読書習慣か、国語辞典を頻繁にひく習慣のどちらかはあるとよいでしょう。(これらが語彙力の基盤を形成してくれます。)読解については、何が一般論で何が筆者の主張なのかを見抜くこと、同じ内容に言及した抽象と具体を見つけることができるように、意識するとよいと思います。

数学
とにかく場数・勉強量が必要な科目だと感じます。分野ごとに集中して問題演習をし、苦手な問題をつぶしていくイメージです。
小学生と違い計算ドリルのようなものがないので、勉強量を増やさなければ根底にある計算力も向上せず、試験時間との厳しい闘いを強いられることになります。
名古屋大学の入試に限った話をすれば、とりあえず手を動かして試してみるという「実験」が重要になると思います。
物理
高3から勉強を始め、何も解けない状態からなんとか耐えるレベルにまで持っていきました。
この科目の重要なポイントは、現象と数式を一致させて考えなければならないことです。どちらかだけの理解では破綻します。
化学
物理と比べて独立した細かい知識が多いので、点数は安定する印象です。有機化学などは学校によっては進度が遅いため、予習で早めに慣れておくのが良いかもしれません。
地理
厄介な科目です。この科目は単純な知識ではなく、その知識を元に思考し、推察し、データと照合して答えを導く高度な技が必要になります。センター地理の過去問で点数が取れても喜ばないように気をつけてください。
70点までは簡単に取れますが、90点がかなり難しい科目です。この科目に時間をさきすぎるのはリスクを伴います。
英語
最も安定しやすい科目です。苦手な人は避けがちですが、周りの受験生と同じレベルにはしておくべきです。というのも、この科目は頭のいい人が予備知識でなんとなく解くだけで結構点数が取れてしまったりする科目だからです。
英語で差をつけられるのは非常に勿体ないことですから、勉強してください。国立理系志望のキミが英語をやらないというのは、「俺、数学や理科のセンス抜群なんだぜ」と宣言しているに等しいです。もしあなたが理系科目凡人なのにも関わらず難関大を志望しているなら、必ず英語をやりましょう。
また、文系/理系や学部を問わずほとんど全員が必要になる科目がこの英語であり、まだ進路があいまいな人にもぜひやってほしい科目です。
やるべきことはたった2つです。1つは、”単語帳を1冊仕上げること”です。もちろん長文問題集だけで単語をやるんだと決めている人はそれでも良いんですが、特にそうでない人は単語帳をやってください。数分から始められる、誰でもできる、どこでもできる、痩せる、気分がよくなる、ほんとに良い勉強道具になります。
単語をやる際には”語源”を意識すると良いです。類義語や反意語を覚えたり、語法を確認したりできるとなお良いです。基礎的な単語ほど丁寧にやってください。
2つ目は、”英語長文を学習したときに本文を音読する”ことです。本文の意味や構造がわかった上でやってください。これにより、いちいち日本語に直さなくても頭に意味が入ってくるようになりました。
まとめ
駄文ではありましたが最後まで読んで頂き本当にありがとうございました。ここまでの話を全て無視していいですから、自分なりに勉強を頑張ってみてください。失敗もあるとは思いますが、その都度修正してやってみてください。何とかなります。みなさんの勉強が少しでも効率よく、うまく、楽しくいくことを願っています。
Profile
所属:農学部生物環境科学科4年
出身地:茨城県
出身校:茨城県立古河中等教育学校