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受験勉強法

2026.04.08

  • 受験勉強法

朝型か夜型か。受験勉強に合う時間の見つけ方

こんにちは。名古屋大学大学院 創薬科学研究科 修士2年の小林です。

受験勉強をしていると、朝に勉強した方がいいのか、それとも夜の方が自分には合っているのか、迷うことがあると思います。朝早く起きて勉強している人を見ると、その方が正しいように感じるかもしれません。一方で、夜の方が静かで、ようやく頭が働いてくるという人もいるはずです。

 

この話は、気分や根性だけで説明できるものではありません。朝型か夜型かという傾向には個人差があり、体内時計の仕組みや生まれつきの要素も関わると考えられています。つまり、朝が苦手だからといって、すぐに努力不足と決めつけるべきではないのです。

 

ただし、受験生にとってはここで話が終わりません。模試も入試も、多くは朝から始まります。たとえ夜型寄りの人であっても、本番で力を出すには、朝の時間に頭を働かせる練習が必要です。大切なのは、自分の体質を知ることと、本番の条件に合わせて調整することの両方です。受験に向けて生活を整える意味は、単に健康的になることではなく、本番の時間に実力を出せる状態を作ることにあります。

 

今回は、受験生向けに、朝型夜型をどう理解すればよいか、自分の集中しやすい時間帯をどう見つけるか、そして本番に向けてどう生活を整えていくかを書いてみます。

 

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朝型夜型は、実際にある個人差として考えた方がよい

まず知っておきたいのは、朝型夜型は単なる思い込みではないということです。人には、それぞれ活動しやすい時間帯の傾向があります。朝に頭が働きやすい人もいれば、夜になるほど集中しやすくなる人もいます。これは白か黒かの二択ではなく、その中間も含めた連続的な違いとして考えた方が現実に近いです。

 

また、この傾向には生まれつきの要素も関わっています。もちろん、それだけで全てが決まるわけではありませんが、朝に強いか夜に強いかという傾向に、もともとの差があるという理解は自然です。ですから、夜に集中しやすい人が、自分は怠けているだけだと必要以上に責める必要はありません。

 

さらに、高校生くらいの年代では、睡眠のリズムが後ろにずれやすいとも言われています。以前より眠くなる時刻が遅くなったり、朝がつらく感じやすくなったりするのは、生活習慣の問題だけではなく、年齢に伴う変化も一部には関わっています。だから、受験生が朝に弱さを感じること自体は、珍しいことではありません。

 

ここまで聞くと、では夜型の人はそのままでよいのかと思うかもしれません。しかし受験生にとって重要なのは、自分の傾向を言い訳にすることではなく、自分の特徴を知ったうえで戦い方を決めることです。

 

受験では、自分の好きな時間だけで戦うことはできない

受験の現実は明確です。試験は多くの場合、朝から始まります。数学も英語も国語も、朝の時間に読んで考えて解かなければなりません。自分は夜の方が集中できるからといって、本番だけ夜に合わせることはできません。

 

ここは少し厳しく見えるかもしれませんが、とても大切な点です。夜型寄りの人でも、受験本番で必要なのは、朝の時間に脳を起こし、ミスを減らし、長時間集中を維持することです。起きているだけでは足りません。問題文を正確に読み、計算を安定して進め、焦らず処理するためには、朝の時間帯で一定のパフォーマンスを出せる必要があります。

 

このテーマでは、極端な考え方を避けた方がよいと私は思います。朝型が正しいから全員が完全な朝型を目指すべきだ、というのも現実的ではありませんし、自分は夜型だから朝は無理だ、と諦めるのも危険です。正しいのはその中間で、まず自分の傾向を知ることです。そのうえで、本番に必要な時間帯へ少しずつ適応していくことが大切です。

 

受験勉強では、自分に合う時間帯を見つけることと、試験に合う時間帯へ寄せていくことを、同時に考える必要があります。

 

まずは、自分の集中の波を教科ごとに観察する

ここで大事なのは、朝型か夜型かを感覚だけで決めないことです。人は、夜に長く机に向かっていると、なんとなく頑張った気になります。逆に、朝は短時間しか勉強していないと、あまり成果が出ていないように感じることがあります。しかし、実際には、長くやったことと、頭がよく働いたことは別です。

 

受験生には、一週間から二週間くらい、教科ごとに自分の集中を観察してみることをおすすめします。朝、昼、夜の三つくらいに分けて、その時間帯に何の教科をやったか、どのくらい集中できたか、終わった後にどれだけ疲れたかを簡単にメモします。

 

ここで重要なのは、教科をまとめてしまわないことです。たとえば、英語長文は朝の方が読みやすいけれど、英単語の暗記は夜でも回しやすいかもしれません。数学の初見問題は午前の方が発想が出やすいけれど、典型問題の解き直しは夕方でも十分進むことがあります。現代文は頭がすっきりしている時間の方が論理を追いやすい一方で、社会の一問一答は疲れている時間でも回せることがあります。

 

つまり、朝型か夜型かをひとことで決めるより、どの教科の、どの作業が、どの時間帯に向いているかを見る方が実用的です。受験勉強は教科の集合ですから、全教科を同じ時間帯で処理しようとしない方がうまくいきます。

 

教科ごとに向く時間帯はかなり違う

ここは受験生向けに、少し具体的に整理しておきたいと思います。 

まず、数学や物理のように、その場で考え、条件を整理し、途中で方針を切り替える教科は、頭の処理速度や集中が安定している時間帯の方が向きやすいです。朝に比較的頭がすっきりしている人なら、こうした教科は朝から午前に置く価値があります。逆に夜型寄りの人でも、午後の早い時間までにはこの種の重い教科を一度入れておいた方が、本番に近い練習になります。

 

英語は少し性質が分かれます。長文読解や英文解釈は、集中して文の構造を追う必要があるので、眠気が強い時間だと精度が落ちやすいです。一方で、英単語、熟語、文法の確認は、比較的短い時間でも進めやすく、夜の確認作業にも向いています。朝に長文、夜に単語や復習という分け方は、相性がよい人が多いと思います。

 

国語も、現代文と古典では少し違います。現代文は、本文全体の論理を追いながら設問に答える必要があるので、頭がぼんやりしていると根拠の取り違えが起こりやすいです。古文や漢文はもちろん読解力が要りますが、単語、文法、句形といった確認作業も多いので、夜の短時間学習にも組み込みやすいです。

 

理科や社会も分けて考えるとよいです。化学や生物の記述、地理や日本史の論述、資料を読み取る問題は、思っている以上に頭を使います。一方で、一問一答、用語確認、図表チェック、流れの確認は、疲れている時間でも進めやすいです。同じ教科でも、理解する勉強と確認する勉強で向く時間帯は違います。

 

このように見ると、受験勉強では、朝型か夜型かというラベル以上に、教科の性質に応じて時間帯を配置することが大切だとわかります。

 

夜型寄りでも、朝に合わせる練習は十分に意味がある

では、夜型寄りの人はどうすればよいのでしょうか。ここで重要なのは、夜型であることを否定しないことと、朝への適応を諦めないことを両立させることです。

 

体内時計は完全に固定されているわけではありません。朝の光を浴びること、起きる時刻を大きくずらさないこと、夜に強い光を浴びすぎないことなどによって、リズムは少しずつ前に寄せられます。つまり、夜型寄りの人でも、生活の工夫によって、朝に動きやすい状態へある程度は調整できます。

 

この考え方は、受験生にとってかなり重要です。自分は夜型だから仕方ない、では本番で不利が残ります。一方で、急に完全な朝型になろうとすると苦しくなります。だから、目指すべきなのは、理想的な朝型になることではなく、試験開始の時刻に頭がしっかり働く状態を作ることです。

 

たとえば、本番が朝九時開始なら、その二時間から三時間前には起きて、朝食をとり、軽く問題に触れられる状態を何度か作っておくべきです。これは夜型寄りの人ほど大切です。本番だけ特別に早起きしても、脳の立ち上がりが間に合わないことがあるからです。

 

受験生が実際にやるとよい調整

受験生向けに、実際の調整方法も整理しておきます。

 

まず、起床時刻を大きくぶらさないことです。平日だけ早起きして、休日に昼まで寝る生活を繰り返すと、月曜日の朝が特につらくなります。高校生は学校があるので平日は何とか起きられても、休日に二時間三時間ずれてしまうと、体内時計がまた後ろに引っ張られます。これでは、せっかくの調整が毎週リセットされてしまいます。

 

次に、朝に必ず軽い勉強を置くことです。いきなり数学の難問を解く必要はありません。英単語、漢字、古文単語、短い計算、前日の復習など、5分から10分で始められるものを朝に固定します。朝は頭を起こす時間だと身体に覚えさせることが目的です。

 

さらに、重い教科を少しずつ前に寄せることも大切です。今まで夜に数学の演習をしていたなら、週に数回だけでも夕方に移す。夕方にしていた英語長文を、休日は朝に解く。このように、教科ごとに少しずつ本番寄りの時間へ動かしていくと、無理なく適応しやすくなります。

 

夜については、完全に削る必要はありません。夜に集中しやすい人は、その時間を復習や確認に使えばよいと思います。ただし、毎日深夜まで重い問題を解き続けると、就寝時刻が後ろにずれやすく、朝のパフォーマンスが上がりにくくなります。夜は、単語、暗記、ノート整理、解き直し、翌日の準備など、やや軽めの作業を中心にすると安定しやすいです。

 

朝型の人も、それだけで安心はできない

このテーマでは、朝型の人に対しても言っておきたいことがあります。朝型の人は、たしかに午前中の集中では有利なことがあります。しかし、受験は午前だけで終わるとは限りません。昼食後の科目、長時間の試験、午後の集中持続も非常に重要です。

 

朝型の人は、午前中で勢いよく進むぶん、午後の失速に気づきにくいことがあります。午前の勉強量が多いだけで安心してしまい、午後の演習の質が下がるなら、それも本番では弱点になります。特に共通テストや長時間の二次試験では、昼食後にどれだけパフォーマンスを落とさずに戦えるかも大事です。

 

ですから、朝型の人も、自分は朝に強いから大丈夫と考えすぎない方がよいです。午後にも英語や数学を解く日を意識的につくる。模試と同じ時間配分で演習する。昼食後の眠気がある状態でも精度を落とさない練習をする。そのような準備が必要です。

 

生活改善は、意志よりも環境で進めた方が続きやすい

受験期になると、生活を整えようとして、明日から絶対に早寝早起きすると決意する人は多いと思います。ただ、こうした変化を意志だけで維持するのはかなり大変です。特に夜型寄りの人は、夜になると目がさえてしまいやすく、気合いだけでは安定しません。

 

だからこそ、生活改善は環境から先に整えた方が続きやすいです。たとえば、寝る直前までスマートフォンを見る習慣があると、時間が削られるだけでなく、眠気の出方にも影響しやすくなります。逆に、起きたらすぐカーテンを開ける、朝食を決まった時間にとる、朝最初にやる教材を机に出しておく、といった小さな工夫は、朝の立ち上がりをかなり助けます。

 

受験生向けに言い換えるなら、夜に頑張れる自分になることより、朝に勉強を始めやすい環境を作ることの方が重要です。たとえば、夜のうちに英単語帳を机の真ん中に置く、朝一番に解く一ページを開いておく、アラームを机から離れた場所に置くといったことでも違いが出ます。行動を始めるまでの抵抗を減らす工夫は、意外と効果があります。

 

模試や過去問は、本番の時間で解く意味が大きい

受験勉強では、内容だけでなく、解く時間帯も重要です。特に模試や共通テスト形式の演習、二次試験の過去問は、できるだけ本番に近い時間に解いた方がよいと思います。

 

たとえば、夜に過去問を解いて高得点が取れたとしても、朝の九時開始では同じ精度が出ないことがあります。逆に、朝に解くと最初は点数が伸びなくても、それは本番に必要な条件で練習しているという意味があります。受験では、最も快適な条件で一度よい点を取ることより、本番条件で安定した点を取れることの方が価値があります。

 

この点で、受験生には二種類の学習時間を意識してほしいです。ひとつは、自分に合った時間帯に理解や復習を深める時間です。もうひとつは、本番の時間帯に合わせて解く練習をする時間です。この二つは役割が違います。前者だけだと本番適応が足りず、後者だけだと学習そのものが苦しくなりすぎることがあります。両方をうまく組み合わせることが大切です。

 

受験直前ほど、生活リズムは派手にいじりすぎない方がよい

最後に、直前期の考え方も書いておきます。

受験が近づくと、不安から生活を大きく変えたくなることがあります。これまで夜に勉強してきたのに、直前だけ急に極端な早寝早起きに変える人もいます。しかし、直前期は新しい生活を試す時期というより、安定して力を出せる形を固める時期です。大きく崩れていないなら、急激な変更はかえって調子を乱すことがあります。

 

夜型寄りの人であっても、直前に必要なのは、完全な朝型になることではなく、本番の開始時刻までに頭を十分起こせる状態を作ることです。朝型の人も同じで、午前中の勢いだけに頼らず、午後まで崩れないかを確認することが大切です。受験では、理想の生活を完成させることより、本番の数日間で再現できる形を作ることの方が重要です。

 

私自身が感じたこと 

ここは少しだけ自分の実感を書きます。 

私自身も、単純な朝型、夜型の二択で考えるとうまくいきませんでした。朝の方が向いている作業もあれば、夜の方がやりやすい作業もありました。新しいことを理解したり、構成を考えたりする作業は、比較的早い時間の方が頭がすっきりして進みやすい一方で、整理や調整のような作業は夜でも進めやすいと感じてきました。

 

この経験から思うのは、自分を無理やり理想の型に押し込むより、作業の種類と時間帯の相性を見た方が続きやすいということです。そして、受験ではそこにもうひとつ、本番時間への適応という視点を加える必要があります。自分に合う時間帯を知りつつ、本番に必要な時間帯へ寄せる。この発想が、いちばん無理が少ないと思います。

 

おわりに

朝型夜型には個人差があります。生まれつきの要素や体内時計の影響もあるので、朝が苦手な人が必要以上に自分を責める必要はありません。まずは、自分にそうした傾向があることを知るだけでも、少し気持ちが楽になると思います。

 

ただし、受験は朝から始まります。だから受験生に必要なのは、自分は夜型だから仕方ないと諦めることでも、根性で一気に朝型へ変わろうとすることでもありません。大切なのは、自分の集中の波を教科ごとに把握し、本番に必要な時間帯へ少しずつ調整していくことです。

 

完璧に朝型になる必要はありません。まずは一週間だけでも、朝、昼、夜に何の教科が進みやすいかを記録してみてください。そして、朝に五分から十分の軽い勉強を置き、起床時刻をそろえ、本番と同じ時間に頭を使う練習を始めてみてください。その積み重ねだけでも、受験勉強の質はかなり変わります。

 

受験では、才能や気合いだけで差がつくわけではありません。自分の特徴を知り、環境と時間の使い方を調整できる人ほど、安定して力を出しやすくなります。朝型か夜型かというラベルに振り回されるのではなく、自分の集中しやすい時間帯を理解し、それを本番に向けて整えていくことが大切です。

 

拙い文章ではございますが、最後までお読みいただきありがとうございました。

Profile

所属:創薬科学研究科・博士前期課程2年生

出身地:愛知県

出身校:愛知県立岡崎高等学校