No.59 鵜飼 真貴子 准教授
Researchers'
大学院環境学研究科
No.59 鵜飼 真貴子 准教授
私は幸運なことに、修士・博士時代を含め、研究ももちろんですが、留学や名古屋大学で開催された国際会議の支援など、いろいろな経験をさせていただきました。楽しかったことも、つらかったことも、今となればやってよかったなと思えています。これからもチャレンジする気持ちを大切にしたいです。
私は、建築設備について研究をしています。建築だと、意匠や計画、構造といった学問は皆さん馴染みがあると思います。建築設備という分野は、空調、給排水や電気など、皆さんが建物のなかであまり目にされない部分ではあるのですが、快適に建物が使用されるために、支えているものです。建築環境・設備においては、室内を適切な環境に保ちつつ、同時にエネルギー性能を高めることが求められており、私は実測やシミュレーションなどを通じて、設計法、適正なシステム構成、運用・制御方法、評価方法などの研究を行っています。
私は修士2年の時に名古屋大学の交換留学制度で1年間スウェーデンに行きました。緯度からもわかるように、スウェーデンと名古屋の気象条件はだいぶ違うのですが、気象条件が違えば建築設備も変わってきますし、考え方も変わってくるので、それが楽しかったですね。帰国した際には、周りの子の就活もすべて終わっていて、どうしようかなと考えていたところ、ちょうど新しいシステムの検証がスタートするところで、当時の教授に博士後期課程進学を進められました。交換留学をしていなければ、普通に就職していたと思うので、タイミングってあるなぁと思います。
仲の良かった子たちと授業後に。こう見えて、15時過ぎくらいの写真です
まず、デシカント空調機は、吸着剤や収着剤といったもので、空気中の水分を除去する空調機です。水分を含んだ吸着剤や収着剤から水分を除去(脱着)するために、温熱が必要になりますので、特に湿度の高い夏期にどこから温熱を持ってくるのか、という点が重要になります。この温熱を再生可能エネルギーである太陽熱やコージェネレーションシステム(CGS)※の排熱などで供給するシステムが多く採用されています。デシカント空調機は、意外と身近な事務所ビルや庁舎などでも採用されています。先にも伝えたように、私たち建築設備という分野は、なかなか皆さんの見えるところにないので、残念です。皆さんが思うより、空調機は意外と大きく、博士後期課程時代に、計測器を空調機の中に取り付けるために、空調機の内部に入ったことは、今でも印象に残っています。
※コージェネレーションシステムとは‥天然ガス、石油、LPガスなどを燃料にして発電し、その際に発生する熱も回収するシステム
デシカント空調機のイメージ図
建築は実学が主体で、私が対象にしている空調熱源設備についても、建物が違えば、その設計主旨や構成等が変わってきます。除湿に特化したデシカント空調機システムでも、いろいろな構成があります。その中で、「こんな構成や制御もできるんじゃないか」と考えるのは面白いですね。さらに、企業などと共同研究している場合には、その効果も実フィールド(実建物)で検証ができるところも、やりがいを感じる瞬間です。
建物の設備は、屋上階に設置されていることも多く、エレベータで最上階まで向かい、屋上までは階段ということがよくあります。今までは何も感じなかったこの1階分が、このごろ急につらくなりました。これはやばいと感じ、自分の居室がある5階までなるべく階段を利用するように心がけています。それでも無意識にエレベータに向かっていることがありますが・・・
今はまだ子供が小さいので、リフレッシュというよりは、彼らのやりたいことを一緒にやっています。庭や公園での砂遊び、パンつくりなどですかね。この間は、雪がたくさん降ったので、道路からも雪をかき集めて、子供が通れるトンネルを作って、久々に筋肉痛になりながらも楽しかったですね。
駐車場や道路から、雪をたくさん集めて、ぎりぎりトンネルができました
子供が好きな重機を刺繍。アルバムカバーにしました
育児休暇から復職と同時に現職になり、育児・家事・研究や研究室運営・事務などなど、めまぐるしい1年でした。同僚の先生方にはたくさんのご配慮をいただいており、感謝しています。いろいろな方と交流を深めながら、研究を着実に進めていきたいと思います。
氏名(ふりがな) 鵜飼 真貴子(うかい まきこ)
所属 名古屋大学大学院環境学研究科
職名 准教授
略歴・趣味
1988年、静岡県生まれ。2017年名古屋大学大学院環境学研究科都市環境学専攻博士後期課程を修了、博士(工学)。同大学院の研究員、助教を経て、2024年より現職。
2020年及び2023年に育児休業(合計約2年)を取得。
趣味:寝ること、刺繍