名古屋大学における生成AIの利活用に関するステートメント 

令和8年10月6日

名古屋大学総長

杉 山  直

 

1.はじめに

生成AI技術の急速な進化と普及は,我々の生活環境を大きく変えています。2022年にOpenAI社が発表したChatGPTは,公開から2ヶ月でユーザー数が1億人を突破するなど,驚異的なスピードで利用が広がっています。その後,Google社のGemini,マイクロソフト社のCopilot,Anthropic社のClaudeなど様々なサービスが開発され,利用者を急速に増やしています。

生成AIを使いこなすことによって,教育や研究を加速し,作業を効率化できます。教育においては,学生の探究活動の高度化など学習体験を拡張し,教員の講義準備と実施をサポートします。研究においては,データ収集の効率化や発想の拡張を通して研究活動の生産性を高めます。管理運営においては,事務作業の負担を軽減します。その結果,生じた余裕をより創造的なプロセスに使うことができます。このように,生成AIの活用は組織や社会の効率性を高め,新たな価値の創造を実現するきっかけとなります。

一方で,生成AIの利用には課題もあります。第1は,ハルシネーション(幻覚)です。例えば,生成AIは,間違った情報であっても,もっともらしい文章にまとめて提示することがあります。そのため,利用者は間違いに気づきにくく,内容を検証するために大きなコストを必要とします。第2は,エコーチェンバーです。学習の過程では,提示された情報を批判的にレビューするプロセスが必要となります。このためには,自分にとって都合の良い意見と都合の悪い意見の両方を公平に評価することが求められます。AIは,利用者の検索プロセスを理解し,利用者が望んでいる検索結果を提示することができます。このため,自分にとって都合の良い意見だけを強化するエコーチェンバーが生じる可能性があります。第3は,個人情報や著作権の侵害です。生成AIは膨大な既存著作物を学習しているため,その出力が意図せず特定の作品と類似してしまう場合があります。これをそのまま公表・利用すると,著作権侵害と判断されるおそれがあります。利用者は,出力内容が既存の作品に酷似していないかを確認し,必要に応じて修正することが求められます。

生成AIに依存しすぎて深く考えることを放棄するために生じる思考の均一化も大きな問題です。最初から生成AIに答えを求めること、提供された回答をそのまま受け入れてしまうことなどによって、思考が均一化し新しい発想が生まれなくなります。独自の付加価値を得るためには、AI任せにしないクリティカル・シンキングやクリエイティブな思考が求められます。

以上のことから,本学における生成AIの利用に関する生成AIステートメントを更新します。本ステートメントは,本学における全体的な方向性を示すものです。今後,各分科会や各部局において,それぞれの分野ごとのステートメントをまとめていく契機となることを望みます。また,この分野は日進月歩で発展しています。サービスの更新,社会の進展,国際的な議論を反映して,このステートメントも今後更新します。 

 

参考文献

 

2.基本方針

1 利用

 

2 入力

 

3 出力評価

 

4 責任と公正

 

5 その他

 

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