
総長っていったい何をしているのか、疑問に思っている皆さんも大勢いるかと思います。ここでは、私が日々取り組んでいる仕事やその中で感じたことなどを、自由闊達に紹介していこうと思っています。
7月8日
今日は、本学の岡本若手奨励賞授与式がありました。
本奨励賞は、岡本佳男特別教授が日本国際賞を受賞されたのを機に、本学に寄附いただいた資金を基に、先生の思いに応える形で、2019年に創設し、今回が7回目となります。賞の目的は、自然科学・技術の分野で、本学の大学院博士後期課程在籍時における研究を奨励し顕彰すること、そして、本学の高い教育研究水準を国内外に広報することです。
今回は8名の推薦に対して2名が選ばれ受賞となりました。
まず、皆川慎太朗さんは、情報学研究科を本年3月に修了、現在はフランスのエクス=マルセイユ大学で博士研究員をしています。研究テーマは「測定過程の両立不可能性および熱力学」になります。量子計測は、従来は不確定原理という、場所と運動を同時に正確に決めることができない、という法則に支配されていると思われていました。しかし、本学の小澤名誉教授がこの限界を超える計測の可能性を指摘し、世界を驚かせました。皆川さんは、この新しい測定と、熱力学の第二法則、すなわちエントロピー(乱雑さ)は一方的に増加していくという、非常に基本的な物理法則の関係を明らかにする研究を進めています。なお、皆川さんは現在フランスに在住ということで、オンラインでの参加となりました。
次に、原武史さんですが、工学研究科を本年3月に修了、現在は東北大学の助教をつとめています。原さんの研究テーマは「放射光X線回折を用いた精密価電子密度解析による分子性結晶の研究」になります。価電子とは、原子が他の原子と結合する際に化学結合に使われる電子のことを言います。原さんは、X線回折という実験手法によって、分子性結晶の価電子密度をビジュアル化することに成功しました。これによって、新たな分子材料がどのような機能を持つのかがわかるようになるかもしれません。
式には暑い中ですが岡本先生がご臨席くださいました。先生のお言葉は、二人にとって大きな励みになったと思います。
皆川さん、原さん、そして指導教員の方々、おめでとうございます。お二人の研究のこれからの発展が非常に楽しみです。
7月7日
本日はIB電子情報館前のピロティを朝日インテック株式会社がネーミングライツしてくださる、ということで開設記念式典に行ってきました。式典には、先方から宮田憲次代表取締役社長、大谷真二郎執行役員がお見えになり、本学からは私、財務・施設担当の木村副総長、そして小橋工学研究科長の3名が出席しました。
ピロティを会場にした式典、スーツ姿には暑かったですが風が通っていて思ったよりはマシでした。多くのマスコミにも来ていただいて盛大な式典となりました。
さて、朝日インテックさんは、瀬戸市にあるカテーテルのガイドワイヤ国内トップシェアの医療機器メーカーです。BtoBの会社ということもあり、求人の助けになればということでのネーミングライツになります。朝日インテックさんには、これまで本学の卒業生・修了生が就職してお世話になっていますし、工学研究科や医学系研究科との共同研究を過去複数年にわたって実施してきています。さらに、大学全体への寄附をいただくとともに、名古屋大学のエクステンションプログラムNExTプログラムへも毎年幹部候補生を送っていただいています。これらの連携が縁となって今回のネーミングライツに繋がったわけですが、じつは企業からの提案によってネーミングライツの実施を決める「提案募集型ネーミングライツ」としての初めての事案にもなります。名古屋大学全体としては8例目のネーミングライツです。
IB電子情報館は、電気・情報工学系の研究室・演習室等の他、低層階には講義室やホールが設置され活発な教育研究活動が行われていて、今回の場所はその正面出口になります。地下鉄出口、またコンビニから直結しており、このあたりは工学系の教職員や学生のほか、附属中学校・高校の生徒が行き来するため、愛称のサインなどを目にする機会が多くある、ネーミングライツに非常に良い場所となっています。また、このスペースは、名大祭の古本市など、イベントに使われる機会もあります。この場所に注目された朝日インテックさん、非常にお目が高い、と言えましょう。ベンチも寄付いただきました。皆さんの憩いの場になることを期待しています。
朝日インテックさん、ありがとうございます!
7月5日③
本日最後は、夕方からの国立台湾大学と名古屋大学のラグビー部の友好試合の後の懇親会でのご挨拶です。2015年に端を発した交流戦ですが、コロナ禍で開催できず、昨年、本学ラグビー部が台北で開かれた7人制の大会に参加したことから、先方の訪問につながりました。
冬のスポーツの印象が強いラグビーを夏にやると熱中症が本当に心配されましたが、懇親会では幸い無事に皆さん元気な顔を見せてくれました。並べてみると台湾大学のラグビー部の皆さんの方が本学の部員よりもなんだか体が大きいように見えましたが、気のせいでしょうか。ただ、試合結果は僅差ですが本学がホストの意地を見せたとのことです。
ちょうど先週、国立台湾大学の陳文章学長とサンディエゴで更なる学生交流について話したところでもあり、今回の交流を通じて名古屋を好きになってもらって是非長期で留学いただければとお願いしました。
7月5日②
午後には、アジア法交流館に移動、ウズベキスタンで行っているウズベキスタン日本法教育研究センター設立20周年記念式典及び日本法教育研究センター2025年度修了式に、オンラインで参加しました。式には、ウズベキスタン共和国のラビエフ・シェルザド司法副大臣、タシケント国立法科大学ルスタムベコフ・イスラムベック学長代理、そして在ウズベキスタン日本国大使館の羽鳥 隆特命全権大使にもお越しいただき、15名の修了生やOB、OGも迎えて盛大に執り行われました。
アジア各国の現地において、日本語で日本語の法律を教える、という日本法教育研究センター(CJL)は2005年にウズベキスタンが第一号としてスタート、現在はウズベキスタンに加えてモンゴル、ベトナム、カンボジアなどで活動を進めています。ウズベキスタンのCJLからはこれまで100名以上の修了生を輩出し、本学をはじめ日本国内のトップ大学の大学院で学び帰国後要職に就く者も増えています。
今回の式典では、法政国際教育協力研究センター(CALE)からは村上正子センター長が、またCJLからは松尾陽センター長、法学研究科から横溝大教授、またCALEの元センター長であった杉浦一孝名誉教授らがウズベキスタン現地で出席いただきました。名大からのオンライン参加者として、ウズベキスタンCJLを始めた時に法学研究科長だった佐分晴夫名誉教授(名古屋経済大学学長)やウズベキスタンCJLの立ち上げにご尽力された市橋克哉名誉教授(名古屋経済大学特任教授)ら懐かしい皆さんにも駆けつけていただきました。その中でも、日本語教育にご尽力いただいた佐々木節子先生には、式の中で修了生から感謝の辞が述べられていたのは印象的でした。
なお、今回はサプライズで、私に対してCJLの置かれているタシケント国立法科大学の名誉教授の称号を授与するとのこと、驚きと感謝です。もちろん、これはCALE、CJLの長年の活動、そしてそれを支えてこられた教員の皆さんに対して与えられたものと思っています。村上先生に現地で受け取っていただきました。
7月5日①
本日は土曜日ですが、3つのイベントに参加、挨拶をいたしました。
まず朝イチは、豊田講堂で行われている日本ヨーガ療法学会研究総会名古屋大会です。
インドの伝統的ヨーガの技法や智慧を研究し、それに改良を加えることによって、一般の人間や疾患を持つものでも行うことができるように作られたのがヨーガ療法だそうですが、2003年に設立された日本ヨーガ療法学会は、そのヨーガ療法の研究と普及活動を行っている団体で、ヨーガ療法士の認定も行っています。今回は、名古屋大学医学部附属病院総合診療科の佐藤寿一先生がホストとなっての名古屋大学での開催です。本大会のテーマは「統合ヘルスケアとヨーガ療法」になります。開会式には、駐日インド共和国特命全権大使シビ・ジョージ閣下、大村秀章愛知県知事らも来賓として参加、シビ・ジョージ大使によると8%の日本人が日常的にヨーガをやっているそうです。
7月4日
本日午後には、在名古屋中華人民共和国総領事館から楊嫻(ヤン・シェン)総領事ら3名の方の表敬訪問を受けました。
今回、中国の文化観光及び民間交流を通じて、中部地方と中国の雲南地域の友好交流を深め、両国の関係において未来を担う若者たちの相互理解・信頼を構築するという目的で、領事館がスポンサーとなって、訪中団を募集することがきっかけの来訪です。こちら、東海機構のメンバー大学の学生に是非、ということで全員26名のうち、名大5名、岐大5名の枠を用意いただけることになりました。渡航費・現地での交通費・宿泊代・食事代、すべて面倒を見てくれるそうですので、名大生の皆さん、是非この機会に中国でも風光明媚な景勝地と知られている雲南へ行ってみませんか。9月7日(日)から12日(金)の日程で、締め切りは7月21日(月)日本時間正午、問い合わせは、名古屋大学中国交流センター、こちらのurlから申し込めます。
http://www.nushanghai.net/jp/newsshow.asp?id=997
楊嫻総領事には、これまで国家留学基金管理委員会との協定締結など様々な面でお世話になったお礼を申し上げ、名古屋大学の紹介をして、今後の学生交流などについてお話しさせていただきました。中国の大学の学生との交流を是非進めていきたいと思っています。
7月2日
本日午後は、理学研究科の上川内あづさ教授の猿橋賞受賞記念講演・祝賀会に出席してきました。
猿橋賞ですが、自然科学の分野で優れた研究業績をあげた女性研究者に贈られる、我が国でも権威ある学術賞のひとつです。賞の名前となっている猿橋勝子博士は、現在の気象庁気象研究所で研究を続けられた方で、1954年のビキニ環礁での水爆実験、第5福龍丸事件に関係して大気・海洋の放射能汚染の調査研究を行ったことで知られ、女性初の日本学術会議会員でもありました。
今回で第45回を迎える猿橋賞ですが、本学ではこれまで、第17回に高倍鉄子さん、第26回に森郁恵さん、第35回に鳥居啓子さん、第38回に寺川寿子さんが受賞されており、今回の上川内さんで5人目の受賞となります。
上川内さんは、もともとミツバチの研究から、その後はショウジョウバエを中心に最近は蚊も対象に、音を聞き分けて行動に結びつける神経回路の仕組みを明らかにするという、極めてユニークで先駆的な研究を展開されてきました。その成果は国際的にも高く評価されています。理学研究科が本務ですが、理学研究科附属ニューロサイエンス研究センターやトランスフォーマティブ生命分子研究所ITbMにも籍を置き、活発に研究活動を進められています。本学が進める名大MIRAI GSCに長年携わってリードしていただくなど高大接続でも活躍され、現在は理学研究科副研究科長も務められ、八面六臂の大活躍です。
講演会では、人間と違って音を受容する「耳」にあたる器官が触角として体の外部に出ていることに注目して、ショウジョウバエが音を脳のどの部分で受け止めるのかという研究からスタートしたこと、ご自身が子育てに忙しい時期にはハエの行動観察を自動化するなどの工夫を凝らしたこと、最近では蚊とハエの比較研究に打ち込んでいることなど、わかりやすく自身の研究を紹介されていました。
学生さんもたくさん出席していて、上川内さんが慕われている様子がうかがえました。また、以前理学の執行部でご一緒だった小田洋一名誉教授など懐かしいお顔を拝見でき、自分の理学研究科時代を思い出しました。
ところで上川内さん、研究対象だけあってショウジョウバエや蚊が可愛くなっているようです。理学部紹介パンフレットの2025年版では、表紙に植物と共生するショウジョウバエを取り上げたエピソードが田中健太郎研究科長から披露されていました。
上川内さん、これからのさらなる研究の発展、期待しています!
7月1日
梅雨が明けたのか判然としないまま、暑い日が続いています。
本日は、待望のコモネ開所式です。
来賓には、大村秀章愛知県知事、文部科学省文教施設企画・防災部の笠原隆部長らを迎え、近隣の大学の学長たちの皆さんも顔を揃え、産業界からも多くの方がお祝いに駆けつけてくださいました。報道の方も多数来られていました。
式典では我々東海機構関係者と来賓のご挨拶に加えて、コモネの設計を担当いただいた小堀哲夫建築設計事務所代表の小堀哲夫様から、この建物のコンセプトなどをプレゼンいただきました。小堀さんの熱い思いが伝わるプレゼンでした。
その後、外に場所を移して、大村知事、笠原部長にもご参加いただきテープカットです。いつものことですが、実際にカットする前にハサミを添えるポーズをとって写真を撮るのですが、今回は写真だけでなく動画も、ということでしばらくそのままで静止、暑かったです。
その後は、グループに分かれて見学会が開かれ、皆さんに見ていただくことができました。私は途中参加だった名古屋市の中田英雄副市長らと共に回りました。中田副市長は本学の教育学部卒です。名古屋市と一緒にこの場所が使えると良いですね、というような話しをしながら見てまわりました。
コモネは第二グリーンベルト、まさに名古屋大学の中心部に位置する新たなランドマークです。教職員、そして特に学生の皆さんにどんどん活用していただきたいと願っています。