総長っていったい何をしているのか、疑問に思っている皆さんも大勢いるかと思います。ここでは、私が日々取り組んでいる仕事やその中で感じたことなどを、自由闊達に紹介していこうと思っています。
9月11日
羽田の深夜便でLAに到着、時刻は火曜日の夕方6時、時差のせいで8時間以上搭乗しているのに時間が戻っています。そこで4時間ほど待って、夜行便でシカゴまで。LAの空港では、乗り継ぎにやたら歩かされました。時間には余裕があったのですが、疲れた…
シカゴへの便からは筑波大学の永田学長と同乗、同じ会議に出席するのでそれほど驚きはありません。シカゴ到着は水曜日の朝7時過ぎ、そこで乗り継いでオハイオ州コロンバスまで、今回の旅の目的地に到着です。時刻は9時過ぎでした。荷物は預けていなかったのですぐに空港からは出ることができたのですが、待っているはずのタクシーの運転手が見つからず。少しばかり焦りましたが、筑波大がアレンジしてくれていたことがわかり、事なきを得ました。
一番わからなかったのがミーティングの会場です。巨大なフットボール・スタジアムの中での会議だったのですが、入り口が問題です。入り口の番号、17番から23番の間、としか知らされずタクシーの運転手と探し回って、結局23番から入れることがわかりました。そこからエレベータで上に上がって会場入り、9時からの会議だったのですが10時には参加できました。
会議は、8回目を迎える日米デジタルイノベーションハブ、というもので、今回のテーマは、半導体、量子コンピュータ、Ai、データとAi、宇宙でした。それぞれに基調講演があり、パネルディスカッションが設定されています。本日は、半導体、量子コンピュータ、Aiがテーマでした。半導体は歴史から将来まで幅広いテーマについて、量子コンピュータは現状について紹介がありました。まだまだ量子コンピュータはプロトタイプで、その能力を示すところまではきていないようです。政府から「どこまでお金がいるのか」と聞かれているとか、「忍耐を持って投資を続けてください」というメッセージが示されるなど、苦戦が見て取れました。Aiは、幅広い範囲にどんどんと応用が広がっている、ということで例えば教育の現場でも数年のうちに講義はAiに置き換わるのでは、という発言が印象的でした。Aiのパネルには、名古屋大学の武田一哉副総長が登場しました。きっちりとしたプレゼンと受け答え、良かったです。
ランチは会場で取ったのですが、その前にスタジアムのフィールドまで降りて全員で記念撮影、なかなかの体験でした。10万人以上が入るとのこと、観客が埋まった時のことを想像すると少し身震いがしました。気温は名古屋よりはだいぶマシですが、まだ昼には30度を超えていて、フィールドはさすがに暑かったです。写真は名大からの出席者である武田副総長、塩川宇宙地球環境研究所長、そしてこの会議の提唱者である武田修三郎氏と一緒に撮ったものです。武田修三郎氏は東海国立大学機構の参与をお願いしている方になります。
夜にはレセプションが学内のジャック・ニコラウス記念館というところでありました。有名なゴルフプレーヤーですが、オハイオ州立大学出身とのことです。彼の大きな銅像があり、ゴルフの歴史などがわかるようになっていました。私の出番はレセプションでのご挨拶です。
9月10日
本日は、本学の若手研究者育成プログラムの柱であるYLCプログラムで2025年度に新規採用する特任助教の審査会がありました。人文社会、理工、生命の3つの系に分けて書面による一次審査を行った後の、全分野まとめてヒアリングでの二次審査になります。海外からの参加もあり、オンラインでの実施でしたが、朝8時半から夕方6時頃まで、力の入ったプレゼンの連続、疲れもしましたが、楽しく聞かせてもらいました。最終的な結果の承認は後日になりますが、本当に素晴らしい若手研究者ばかりで、良い人たちを取ることができたと思っています。
さて、YLCの審査、候補者選定が終わって夜7時過ぎに名古屋駅に向かいました。これから羽田空港まで行って、深夜便でアメリカに行ってきます。日米デジタル・イノベーション・ハブという両国の大学、産業界、政府が集まって行う会議に出席するために、オハイオ州コロンバスにあるオハイオ州立大学への出張です。今回は、YLCの審査会のため、かなり無理な日程になってしまいました。火曜日に出て、土曜日に帰るのですが、ホテルはオハイオでの一泊だけ、なんと一泊五日の弾丸ツアー!もうわけがわかりません。
9月9日
本日は、ボーイング・ジャパンのエリック・ジョン社長御一行の表敬訪問を受けました。
ボーイング・ジャパンとは、これまでマテリアルや航空宇宙工学の分野で長年にわたって連携をしてきており、また、研究開発拠点であるボーイングジャパン・リサーチセンターをこの4月に名古屋に開設されたこともあってのご訪問です。
ジョン社長はこの6月に韓国から移ってこられたとのこと、元々米国国務省の上級外交官だった方で、タイでは大使を務められ、ベトナムにもいたことがあるなど、言葉を含めてなかなかのアジア通です。日本に住むのは初めて、とのことでした。
以前、エマニエル米国大使にも、ボーイングとワシントン大学、そして名大の三社の連携を勧めていただいた経緯もあります。しっかりと連携していきたいと思っています。
9月6日
今週は、大きなイベントはなかったのですが、国から補助金をもらっている事業の現地視察(サイト・ビジット)が2件ありました。
3日には、卓越大学院プログラムの「ライフスタイル革命のための超学際移動イノベーション人材養成学位プログラム」、本日6日には、COI-NEXT(共創の場形成支援プログラム)です。
前者の卓越大学院は、プログラム委員会審査・評価部会 現地視察担当委員、つまりこの拠点を評価する立場の方々3名による視察でした。匿名性を保つために、本学に来られて顔も見えているのですが、委員A、B、Cと名乗り、名刺交換はできませんでした。徹底しています。この拠点、昨年の中間評価ではA評価、まずまずだったのですが、それでもSという最高の評価は得られなかったので、しっかりとご指導いただきました。
後者のCOI-NEXTは、本学2つ採択されているのですが、今回は、「地域を次世代につなぐマイモビリティ共創拠点」の方のプログラムオフィサー、副プログラムオフィサーの訪問でした。こちらは、審査員ではなくプログラムを応援する立場で進捗状況をご覧の上、ご指導をいただくという方々になります。今回は、「そろそろ最終的な着地点をしっかり意識するように」というようなご指摘をいただいたところです。
ところで、この二つの事業ですが、どちらも移動、モビリティといったところがテーマになっています。今後は、卓越大学院の学生さんが、COI-NEXTを舞台に活躍することがあっても良いのではと感じました。上手いシナジーが生み出せることを期待しています。
9月2日
いつの間にか9月に入ってしまいました。夜半の雨を最後に台風改め熱帯低気圧も姿を消し、日常が戻ってきました。
月曜日ですので、午前中は恒例の運営会議がありました。なお、この8月末で、東海国立大学機構の角間洋二郎監事が退任され、新たに西田裕監事が着任されました。角間さん、東海機構発足時より支えてくださってありがとうございます。本当に感謝です。西田さん、これから常勤の監事として東海機構、名古屋大学をどうかよろしくお願いします。運営会議では西田監事の自己紹介がありました。
午後には、鶴舞キャンパスに出向いて、上田龍三特任教授の日本学士院賞受賞記念講演会に出席してまいりました。上田先生は、腫瘍免疫の基礎研究の成果を臨床へ導入するトランスレーショナル・リサーチ(橋渡し研究)を五十年にわたって実践されてこられた方になります。日本の賞としては最高の栄誉の一つである日本学士院賞の受賞理由は、「成人T細胞白血病・リンパ腫に対する抗体医薬開発のトランスレーショナル・リサーチ」というもので、日本の特に九州地方で多い種類の白血病・リンパ腫に効く抗体薬を開発されたことによる業績が認められてのことになります。
上田先生は本学の医学部を卒業、本学で医学博士も取られています。若い時期にがん研究では世界トップの一つであるアメリカ・ニューヨークにあるスローン・ケタリングがん研究所の研究員をされ、その後、愛知県がんセンター、名古屋市立大学医学部などで長く活躍されました。特に名市大では病院長もされていらっしゃいます。その後は、愛知医科大学の教授を務められ、現在は本学の特任教授をされていらっしゃいます。上田先生、日本学士院賞受賞、本当におめでとうございます。
なお、講演会の冒頭、私がご挨拶を差し上げ、先生のご業績をまとめて紹介することとなったのですが、聴衆の大部分が医者・医学研究者の中で宇宙論研究者が医学の業績の紹介って、何か罰ゲームを受けているような気分に少しなりました。ちなみに夜の祝賀会では、同じテーブルを囲んだのが、旧知の本学医学部OBの皆さんでした。皆さんそろってお元気そうで何よりです。