Nextビジョン2027

 

世界屈指の研究大学へ、進化し続け未来を拓く 名古屋大学

名古屋大学は、自由闊達な学風の下、研究と教育を通じて人々の幸福に貢献することを目指して、2027年までのビジョンと戦略を策定しました。

 

名古屋大学Nextビジョン2027

https://www.nagoya-u.ac.jp/about-nu/upload_images/next2027.pdf

 

名古屋大学の特色と強みを伸ばした経営統合

1939年、名古屋大学は医学部、理工学部を擁する最後の帝国大学として設立されました。以来、9学部13研究科を擁する現在に至るまで、日本のものづくりの中枢である東海地域を代表とする総合大学として、人材育成、研究、社会連携の面で大きな成果をあげてきました。その中でも名古屋大学の強みとして特筆すべきことは、何といっても6人のノーベル賞受賞者を輩出した世界トップレベルの研究力です。小林先生と益川先生の独創性や、野依先生、下村先生、赤﨑先生、天野先生のように基礎研究からスタートし、応用研究そして社会実装に至る道を開いた業績は、まさにキュリオシティ・ドリブンによる知の探究から始まり、その知を集め価値化し、社会に役立てるというストーリーそのものです。

誇りある歴史を背景に、2020年4月、名古屋大学は岐阜大学と経営統合を果たし、東海国立大学機構(以下 東海機構)を設立するに至りました。東海機構がスタートしてからは、名古屋大学はさまざまな統合による成果を得ることができました。岐阜大学の糖鎖研究における研究者集団と名古屋大学の研究者を結集することで、世界をリードしうる糖鎖生命コア研究拠点を構築できたことは、その代表的な例です。また両大学が刺激し、学び合い、高め合うことができた分野は教育です。岐阜大学が先行していた教員評価の仕組みづくりや基礎的な教育基盤の優れた点を名古屋大学が学び、その成果が東海機構のアカデミック・セントラル(教育基盤統括本部)が進める教育基盤整備の取り組みに統合されてきました。

組織面で一番大きく変化した点は、ガバナンス体制です。東海機構全体の財務経営、組織基盤整備、新たな戦略づくりを機構長が担い、教育研究活動については両大学の総長、学長が所掌する体制が整いました。

 

新たな挑戦を方向づける Nextビジョン2027と戦略

2022年、東海機構、名古屋大学と岐阜大学は、それぞれが新しいビジョン(名古屋大学は「Nextビジョン2027」)と、「教育・人材育成」「研究・価値創造」「社会連携・産学連携」「国際展開」の4つの事業を推進するための戦略を策定しました。その背景には、東海機構誕生以降に始まった大きな進化と改革のスピードをさらに加速していく必要があるとともに、見直すべき点や新たな課題が浮かび上がってきたことがあります。例えば、運営費交付金の減少に対応するために競争的資金獲得が必須となり、そのための新たな負担が増えて教職員が疲弊してきています。このような課題を解決し、全員が誇りを持ち、働くことに喜びと高いモチベーションを持てる名古屋大学を実現することが絶対的に必要な条件だと考えています。全教職員とコミュニケーションを深め、目指すべき方向性を共有し課題を一つ一つ解決し、さらなる高みへと登っていくことを約束したいと思います。

世界トップレベルの研究大学として国際的に卓越した研究を展開し、その成果を活かして社会に大きな変化をもたらすことを使命とする名古屋大学が、さらなる進化を目指す上での覚悟と展望を示すものがNextビジョン2027です。また、ビジョン策定の背景には、これまでとは質も規模も異なる大学への積極的な投資を国が行うと決定したことがあります。「国際卓越研究大学」というこの支援制度の指定を受けるための取り組みを、Nextビジョン2027実現のための推進力に変えて、進化と改革を加速させていきます。

現在、QS World University RankingsやTimes Higher Educationなどの世界の大学ランキングによると、名古屋大学のプレゼンスは決して高くはありません。これらの評価が名古屋大学の真の価値をすべて捉えているとは考えませんが、10年後、25年後に世界のトップ大学の一角を占めるためには、飛躍的な進化が必要です。Nextビジョン2027は私の在任期間が終わる2027年度末までに実現すべき姿を表していますが、これで十分だとは考えていません。さらなる将来に向けてもっと踏み込んだ大胆な施策が必要であることを、「世界屈指の研究大学へ、進化し続け未来を拓く 名古屋大学」というフレーズに込め、もう一段の改革を成し遂げ、未来社会の構築に責任をもって関わっていきたいと思います。 

 

勇気ある知識人、地域創生に貢献できる人材を育てるために

Nextビジョン2027を具体化する「教育・人材育成」「研究・価値創造」「社会連携・産学連携」「国際展開」の4つの事業を推進するための戦略の核となる部分をご紹介します。

「研究・価値創造」においては、知的成果を集積することによって人類の知の最前線を切り開き、さらにその知を価値化して社会を変えていくことを目指しています。名古屋大学の強みは、分厚い研究基盤があることです。それをさらに厚く、鋭く、そして高めることが目標です。そのためには、教員が研究に専念できる環境の構築が必須となります。そこでまず、教員を支援する専門の事務職員、URA、学術専門職などを増やし、教員が研究と教育に専念できる環境を整えることに注力します。また、将来計画としてアンダー・ワン・ルーフの研究拠点を建て、そこに教員や国内外の卓越した教員、専門職員などを集め、世界トップレベルの研究や新しい分野の創生を挑戦してもらうことを考えています。

「教育・人材育成」では、社会のあらゆる分野で活躍する勇気ある知識人を輩出することを目指しています。社会からの要請として、特に情報系、データサイエンス教育の強化が必須となっています。コモンベーシックスとして大学全体に展開するとともに、社会人に向けたリカレント、リスキリングについても力を入れていきます。また情報ツールを活用して岐阜大学との共通教育を展開することや、IT技術を駆使してさらに教育効果を高める取り組みを進めていきます。大学院教育については、アカデミアのみならず社会に向けて優れた博士人材を輩出することが求められています。さらに留学生を対象としたプログラムを強化して海外のトップレベル学生を受け入れ、修了後は名古屋大学のサポーターとして日本と母国で活躍する人材として育てていきたいと考えています。

「社会連携・産学連携」における一番重要なテーマは、アントレプレナーシップ教育、スタートアップ教育だと考えています。工学系、情報系の学生だけではなく、文理を問わず全学生がアントレプレナーシップを学び、スタートアップの方法などを正規科目として学ぶことを想定しています。特に、社会課題を解決する力を秘めた技術(ディープテック)を活かしたスタートアップの支援は名古屋大学の強みでもあり、東海地域の産業構造に大きなインパクトを与えることができると考えています。また愛知県が2024年に開設する国内最大級のスタートアップ支援拠点「STATION Ai(ステーション・エーアイ)」とも強力に連携して、東海機構として若き起業家を支援していくことも重要な取り組みです。

 

Nextビジョン2027が描くのは世界が憧れる名古屋大学

私が思い描く名古屋大学とは、キャンパスが丸ごと研究拠点となって世界中から優れた研究者や学生が集い、名古屋大学からも世界中に人材が飛躍していくというダイナミックな交流が展開される大学です。今もノーベル賞受賞者である天野先生がキャンパス内を歩く姿を間近に見ることができますが、このような環境をさらに発展させて、世界的な研究者が次々と来学し、ともに研究し刺激し合う活気あふれる大学をつくりたいと願っています。

名古屋大学は風通しが良く、意思統一が図りやすい大学です。しかも大規模国立大学としてはフットワークがすごく軽いという良き伝統もあります。その特長を活かし、他に先駆けて進化と改革を成し遂げる実験大学として常に知のフロンティアを開拓する大学でありたいと思います。

2023年度は、国際卓越研究大学の認定に向けて、進化していく方向やそれを具体化する施策を明確にし、さらに前へと進みたいと考えています。学術研究と教育・人材育成を両輪とし、地域創生と人類課題への貢献を果たすための取り組みを進めることで、卒業生や地域社会の皆様が応援したくなる名古屋大学であり続けます。そして全構成員が誇りに思い、喜びを感じることができる名古屋大学を築いてまいりますので、さらなるご支援をお願い申し上げます。

 

 

 

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