名大生ボイス

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大学生活全般

2020.04.30

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工学部の授業(一年生)

 

◎はじめに

みなさん、こんにちは。工学部機械・航空宇宙工学科新3年の松高亜樹です。この記事から次回の記事にかけて、僕から見た名古屋大学の機械・航空宇宙工学科の授業について執筆していこうと思います。この記事と次回の記事を皆さんが進路選択のための検討材料の1つとして、または、受験勉強のモチベーションを上げる1つの材料として活用してください。(機械・航空宇宙工学科の学生ならではの記事を執筆したいので、専門科目の解説に重点をおいたものになります。)

 

今回の記事では、1年生(春学期、秋学期)の授業について書いていこうと思います。と言いたいところですが、名古屋大学の教育方針について少しだけ触れさせてください。名古屋大学は、自発性を重視する実践教育によって、論理的思考力と想像力に富んだ勇気ある知識人を育てることを教育の基本目標としています。そのために、基礎教育に力を入れていく科目が全学教育科目です。もう少し簡単にまとめると、専門分野を勉強、研究していく前の段階において、勉強、研究のベースを作る科目が全学教育科目です。

 

 

参考ホームページ

「教養教育院と全学教育の紹介」

http://www.ilas.nagoya-u.ac.jp/education.html

 

◎1年生・春学期の授業について

では早速、授業を見ていきましょう。1年生春学期の自分の時間割は下表の通りです。

 

 

 

全学教育科目(上の表で緑の科目)

ほとんどが全学教養科目です。数学という科目はなく、線形代数と微分積分の科目があり、週に90分×2しか、数学の時間はありません。自分が高校生の頃は、理系の大学生は毎日、数学の授業があると思っていたので、この事実は、高校生のみなさんから見たら意外ではないでしょうか。

 

・英語

英語が週に1コマしか勉強しないことにびっくりされる方もいるのではないでしょうか。大学では、高校生のように毎日英語を勉強するわけではありません。高校までのように文法や長文読解のみをするだけでなく、会話やプレゼンテーションなど、実際に使う場面を想定した勉強をします。また、英語で論文を書いたり、読んだりする際に気を付けることも教わるので、近い将来に活かすことができます。

 

・ドイツ語1,2

英語よりもドイツ語の方が、授業数が多いことにもびっくりされると思います。第二外国語(僕の場合はドイツ語)の授業は、週に2回開講されている科目で、どの学部の生徒でも受講して単位を貰わないといけない必修科目という1年生にとってはかなり大きい位置を占めていました。(1年生は、ドイツ語、スペイン語、ロシア語、フランス語、朝鮮・韓国語の中からひとつ選び、理系の学生は1年間、文系の学生は2年間勉強します。)しかし、この授業を受講すると、ドイツの生活文化を知ることができ、ドイツ語の勉強のモチベーションが上がりました。また、この授業を通して、言語学習自体に興味を持つようになりました。それがきっかけで、2年生の1年間はイタリア語を勉強しました。

 

・法学

この授業では初めて法律について勉強しました。とは言っても、工学部の学生が学ぶものなので、法学部で勉強するような深いところまで勉強したわけではありません。自分たちが気になっている労働基準法や刑法などの具体的なものについて、先生がわかりやすく教えてくれました。このおかげで、法学の入り口が勉強でき、法学的な見方がほんの少し身につきました。

 

専門科目(上の表で赤の科目)

1年生・春学期の段階では、自分が受講した専門科目は「計算機ソフトウェア第一」と「機械・航空宇宙工学序論」のみでした。他にも2つほど、選択科目を受講できたのですが、受講を希望する人数が多く、受講することができませんでした。

 

・計算機ソフトウェア第一

この授業では、FORTRANというコンピュータ言語のプログラミングを行います。FORTRANは科学技術計算に用いられるコンピュータ言語で、他の言語よりも高速で処理ができるという特徴を持っています。(構造力学や気候モデルにも使われるそうです。)このコンピュータ言語はこの学期以外使っていませんが、コンピュータ言語を勉強することを通して、トライアンドエラーの考え方がわかり、より自分の考え方を細分化・具体化して考える能力を身につけることができました。実際、大学入学時まで自分はパソコンを本当に触ったことがなかったのですが、授業にはついていくことができました。しかし、キーボードの配置が全く頭に入っておらず、最初の方はプログラミングどころではなかったので、少しはキーボード入力に慣れておくことが必要でした。

 

・機械・航空宇宙工学序論

この授業では、機械・航空宇宙工学科の先生に、最新の研究内容を噛み砕いて教えてもらうことができます。登壇される先生は毎週異なり、毎回違った内容を聞くことができます。一番印象に残っている講義は、「レイノルズ数はどんなところに使われているか?」という講義です。この授業ではレイノルズ数とは何かということを説明されたのですが、当時の僕は全く理解できませんでした。しかし、流体力学を勉強していく時に嫌というほど、レイノルズ数を見ることになったので、新3年生の現在やっと、多少はレイノルズ数について説明することができるようになりました。(当時の僕も全く知らなかったので、高校生の読者のあなたは聞いたことがなくても大丈夫です。)この授業のおかげで、自分が大学で何を勉強をしたいかがはっきりしました。恥ずかしながら、僕は、名古屋大学の機械・航空宇宙工学科に何となく入ったので、この授業で最新の研究に触れることができ、とても助かりました。

 

コラム〜高校までの勉強と大学からの勉強の大きな違いって?〜

このコラムでは、僕が感じている、高校での勉強と大学での勉強の大きな違いを、2つの視点から説明します。1つは、勉強する環境です。高校までの勉強はどれも授業を受けて当たり前です。先生から教えてもらうという受動的なスタンスが基本姿勢でした。しかし、大学での勉強は授業にもよりますが、自分から学んでいく姿勢が大きいです。僕の主観がかなり入ってしまう表現ですが、先生の授業を聞いているだけでは、基本的に授業についていくことができません。なので、僕の勉強するスタンスは、事前に予習して、わからないところに重心を置いて授業を聞き、その復習にも時間をかけるというものです。大学では、授業を受けること自体よりも受けた結果に対して成績がつくので、高校と比べて成績が厳しく付けられる印象を受けました。2つ目は、勉強の質です。高校までの勉強は定められた範囲のことしか勉強しません。大学受験に合格するためには必然的にそうなります。しかし、大学に入ってからは、自分の専門分野ではないことも勉強しなければいけません。それによって多角的な視野を身につけることができます。その具体的な授業については、下記のリンクの記事を参照にしてください。(https://cms.adm.nagoya-u.ac.jp/admissions/voice/campusLife/post-159.html

 

◎1年生秋学期

1年生秋学期の自分の時間割は下の表の通りです。

 

 

見ていただけたらわかるのですが、春学期の時間割よりも、秋学期の時間割の方が授業の数自体が増えています。さらに、春学期で学んだことをベースに秋学期の授業が行われる科目もありました。

 

全学教養科目

この秋学期もほとんどの科目が必修科目です。春学期に勉強したことの続きとなる科目の勉強はなかなかついていくのになかなか時間がかかりました。そのため、夏休みにしっかりと復習をしていればよかったと感じました。また、心理学については、自分の専門分野の外のことを勉強できる貴重な機会だったので、卒業単位には必要なかったのですが受講しました。

 

・心理学1

この授業では、心理学についてスライド形式で勉強しました。「心理学とは何か」を簡単に説明してもらうだけでなく、人とのコミュニケーションについてや、犬型ロボットになぜ本物のペットのように愛情を持つことができるのかなど、具体的な心理学の活用例を交えて発展的なことを教えてもらいました。ちなみに、僕は、この授業を取らなくても、必要な単位は持っていましたが、興味があったので受講しました。このように、自分の興味の赴くままに勉強できる環境なのも、名古屋大学のいいところですね。

 

・英語(コミュニケーション、中級)

以前の記事(https://cms.adm.nagoya-u.ac.jp/admissions/voice/campusLife/post-180.html)をご覧ください。

 

・物理学実験

この授業では、毎回、高校生の時に勉強した物理現象について、目の前で実験して、教科書に書いてあったことを自分の目で確かめることができます。この授業の特徴は、名古屋大学のHPで掲載されているもの(http://elearn.ilas.nagoya-u.ac.jp/lms/pex/)を利用して予習してくるところです。授業に合わせて分厚い教科書の該当ページを読んでくることで、実験の手順などはその場で考える必要がない分、しっかり実験結果について考察することができることができました。毎回の実験後には、実験手順、実験の目的、実験結果の考察を記入する欄がある、実験レポートを提出する必要があります。それぞれの実験に関する実験レポートの評価によってこの授業の成績が決まります。

 

・基礎セミナー

こちらの授業に関しては、下記のリンクの記事を参考にしてください。(https://cms.adm.nagoya-u.ac.jp/admissions/voice/campusLife/post-159.html

 

◎専門科目

「計算機ソフトウェア第2」と「数学演習1及びその演習」の2つの講義を受講しました。この時期までは専門科目の授業数は少ないですが、次の2年生春学期からぐんと増えてきます。

 

・計算機ソフトウェア第2

この講義では、春学期に勉強したFORTRANではなく、C言語というコンピュータ言語を勉強しました。春学期にコンピュータ言語を学習しているので、C言語の書き方に慣れれば、授業の内容はすんなりと理解ができると思っていました。しかし、そんな甘いことはなく、実際には、新しい概念がたくさん出てきたので、かなり苦戦しました。これらのコンピュータ言語の授業がきっかけで、僕はコンピュータ言語自体の勉強にはまり、他のコンピュータ言語を独学で勉強しています。

 
・数学演習1及びその演習

この授業では、理系の高校生なら聞いたことがあるであろう微分方程式や、ベクトル解析を勉強しました。また、この授業は講義の後に、実際に演習する時間がありました。その演習の時間に講義で学んだことで、自分の中でまだ理解できてないところを見つけることができました。また、この先に受講する2年生の専門科目の授業で、ここで習ったことが当たり前のように使われるので、2年生になっても復習が必要でした。

 

コラム〜長期休暇の使い方〜

名大生の春休み、夏休みは約2ヶ月あります。この期間に集中講義などの授業がある学部・学科もあるのですが、機械・航空宇宙工学科の集中講義は聞いたことがないので、他の学部より多めに休みに入ることができます。しかし、定期テストで不合格だった場合、春休み、夏休み中に再試験が実施されるため、休みの期間に入ってすぐには、雰囲気に浸ることができないこともあるので、定期テストには注意しましょう。

長期休暇は基本的に宿題がありません。高校生までの長期休暇では宿題がありましたが、それがないので、初めてなんの制約もない「休み」を過ごすことができます。しかし、この期間に前の学期の復習をしなかったり、英語に全く触れなかったりすると、次回の授業で明らかに力が落ちていると感じてしまいます。僕の周りの友達のほとんどは長期休暇に勉強をしていません。なので、僕はあえてこの長期休暇に周りと差をつけるために勉強をしています。

とはいっても、この大学生の長期休暇は、留学、車校合宿、旅行など学生の時にしか経験できないことができる良い機会です。自分は1年生の夏休みに車校合宿で新潟に行ったり、その帰りに遊園地に行ったりしました。皆さんも今しかできない経験をしてくださいね。

 

◎最後に

これで今回の記事は終わりますが、また、近いうちに機械・航空宇宙工学科の2年生の授業について紹介するので、そちらの記事もぜひご覧ください。ここまでご覧いただきありがとうございました。

Profile

所属:工学部機械・航空宇宙工学科3年生

出身地:三重県

出身校:三重県立四日市南高等学校