名大生ボイス

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大学生活全般

2024.12.24

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名大みらい育成プロジェクト③

みなさん、こんにちは!名古屋大学経済学部1年の杉浦です。
その①その②に続き、主に高校生のみなさんに向けて、「名大みらい育成プロジェクト」について紹介します。2025年、新しい年に向けて目標を立てた方も多いのではないでしょうか?目標に近づけるように、頑張っていきましょう。

 

はじめに

前にも述べたように、私は高校2年生時に「名大みらい育成プロジェクト」に参加しました。3回目となる今回は、第三ステージで学んだことを主に紹介したいと思います。

 

第三ステージ

名大みらい育成プロジェクト第三ステージは主に3つのパートに分かれています。
パート1は3名1組で社会問題や環境問題等を専門とする名大の研究室に配属され、各研究室が得意とする研究手法を学び、グループで関心のある研究テーマについて研究し、英語でプレゼンテーションを作ります。どのような研究をしたのかを後で簡単に紹介します。
パート2では2022年度は海外研修の実施がありました。ドイツの環境都市であるフライブルク市を訪れ、世界規模問題に向けたヨーロッパの先進的な取り組みについて学びました。さらにフライブルク市の高等学校で研究成果を発表しました。
パート3では、帰国後に海外研修を得て学んだことを含めた最終プレゼンテーションを行いました。

 

パート1:グループ研究

私のグループでは「高校への太陽光パネルの設置と課題 ~高校での環境問題の立ち位置について~」をテーマに研究しました。アンケート調査やインタビュー、試算研究を行いました。第二ステージで学んだ問題解決手法やコミュニケーションスキルをここで生かすことができました。自分たちでどのように研究していくべきか、「答え」がない問題を考えることは初めての経験で、とても楽しかったです。

 

パート2:海外研修

フライブルク市街散策
フライブルクに住んでいる方が、環境に優しい街作りのための工夫を教えてくださいました。
自家用車の利用率を下げるために、トラムと呼ばれる路面電車が移動手段として利用されていました。フライブルク市民だけではなく旅行者である私たちも、環境定期券と呼ばれる切符で安く利用することができました。トラムの広告によって収入を得ているそうで、騒音を防ぐためにレールの周りを芝生にするなどの工夫も行われていました。
また、車の乗り入れが禁止になっている生活道路や、自転車専用道路があったので、自転車や徒歩で移動している人も多かったです。他に、缶やペットボトルはデポジット制にすることで、使用済み容器の回収率を上げ、ゴミの削減も行っていました。
散策中に訪れた現地のレストランで、豊富なベジタリアンやヴィーガンのメニューを見つけ、人に優しく住みやすい街を目指していることも感じました。

 

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 フライブルク市街散策 トラムが走っています

 

研究発表(フライブルク市)
パート1で研究したテーマについて、フライブルク環境活動団体の方たちに英語で発表しました。私は渡航前のリハーサルで、緊張して話せなくなったことがあったため、緊張を和らげるためにもう一度練習をするべきだと考え、グループで前日に練習し落ち着いて発表することができました。緊張しても焦らずに落ち着いて自分を信じることの大切さや、困ったときに支えてくれる仲間の優しさを感じることができました。

 

自家発電を行っている街
自家発電を行っている農場とホテルを訪れました。農場では生活に必要な電力の200%を発電し、送電も行っていました。太陽光発電だけではなく、バイオマス発電も利用して発電量を増やしていました。太陽光パネルの設置率を上昇させるため、政府が補助をしていることなどを知りました。マンションやホテルでは屋根の上の庭園に風車を設置したり、バイオマス発電を行ったりしていました。バイオマス発電では、建築をするときに廃棄物になる傾向があるポプラを燃料として再利用していました。
太陽光発電について研究していた私にとって、フライブルク市庁舎が壁一面太陽光パネルになっていることが大変印象的でした。この市庁舎は、使用電力によって発生した熱を階段の手すりを温めることに利用していました。さらに、市民が協力して建設した風力発電所も訪れました。市民が一体となり環境問題に取り組んだことで、風車が建設できることを知り驚きました。

 

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壁一面太陽光パネルになっているフライブルク市庁舎

 

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市民が協力して建設した風車

 

フライブルク大学
フライブルク大学はドイツで5番目に古い大学で、11の学部、約25,000人の学生、9,000人のアカデミックスタッフがいる総合大学です。名古屋大学との交流の歴史は古く、1972年の経済学部間の交流から始まり、医学部や経済学部での部局間学術交流協定、大学間学術交流協定や国際学術コンソーシアムに基づく協定、高等研究レベルでの共同活動協定、ジョイント・ディグリープログラム協定などが締結されています。名古屋大学のヨーロッパで初めての協定校で、2010年4月にヨーロッパセンターを設置しています。
フライブルク大学は建物が街中に点在しています。ヨーロッパセンターと図書館を訪れましたが、伝統的でとても素敵でした。センターの先生からは「失敗は失敗ではなく、挑戦したことで前よりも一歩先の自分になれたことに意義がある」という言葉を教わり、その通りに実行していきたいと考えるようになりました。図書館は伝統を感じる学部棟とは異なり、全面が日光を反射するガラス張りのモダンな建物でした。日本の静かな図書館とは違い、ソファーで議論をしながら勉強をしている学生や、ホワイトボードを使って会議している学生もいて驚きました。リラックスしながら仲間と話し合って勉強をしているのは、会社で企画を行っている姿にとても似ており、アイデアもたくさん生まれそうだと思いました。名大生としてまた訪れたいです。
名古屋大学にはフライブルク大学の留学プログラムがあります。機会があったらぜひ挑戦してみてください。

 

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フライブルク大学の伝統を感じられる校舎

 

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フライブルク大学のモダンな図書館

 

太陽光パネルを設置している高校
太陽光パネルが屋根に設置されている高校も訪れました。電気の使用量を確認できるパネルがあり、生徒は環境問題を身近に感じていました。この高校では水筒持参を促すため、ウォーターサーバーが設置されています。環境問題について様々な対策がされているので、ドイツの高校生は大人だけではなく自分たちも問題に向き合うべきだと考えていました。彼らの考えを聴き、自分にできることを少しずつ見つけていきたいと考えるようになりました。また、初めて海外に行った私は海外の人と交流して新たな価値観を知る面白さを感じました。
「高校への太陽光パネルの設置と課題 ~高校での環境問題の立ち位置について~」をテーマに研究していた私にとって日本とドイツの比較ができ、とても面白かったです。

 

フライブルクの朝市場
市の中心部にあるフライブルク大聖堂広場では、朝市が行われていました。市場では、使い捨て容器が禁止になっているため、購入したものはマイバッグで持ち帰る必要がありました。

 

ドイツのフライブルク研修を通じて
フライブルクでは街の色々な場所で環境に優しい工夫がされていて、毎日たくさんの発見がありました。また、海外へ行ったのが初めてなので、環境問題だけでなくドイツの文化や習慣についても学びました。ドイツではお店に入る時や会計の時に、必ず笑顔で挨拶をします。ドイツの方はとてもフレンドリーで、電車で現地の方と話すことや、街で初対面の人においしいレストランを教えてもらうこともありました。日本語はもちろん英語も母国語でない同士では伝わらない場面もありました。そのような時もボディーランゲージを使って、指さしや笑顔でコミュニケーションがとれました。この研修を通じて、大学生になったらもっと海外のことを知りたいと考えるようになりました。

 

パート3:研究発表(帰国後)

日本に帰国してから、名古屋大学で最後の研究発表を行いました。第一ステージで初めて講義を聴いた坂田・平田ホールで、観客ではなく発表者として登壇できたことが嬉しく、最後まで頑張ることができてよかったと感じました。失敗も多々ありましたが、先生、グループメンバー、プロジェクトの同期など、すべての方が支えてくれて頑張ることができました。本当に感謝でいっぱいです。

 

終わりに

「名大みらい育成プロジェクト」に参加して、国際コミュニケーションスキルと問題解決能力が身につき、主体的に問題を考えることができるようになりました。またそのほかに情報分析力、思考力、コンピュータースキルも身につきました。プロジェクトは個人ではなくグループワークなので、新たな価値観を得られメンバー同士高め合うことができます。毎週末の体験が私の進路選択や大学での学びに繋がったと思っています。高校生の時に自分が学びたいと思ったことを現在勉強できて私はとても幸せです。プロジェクトで出会った仲間とは大学生となった今も連絡を取り合っており、受験生時代にも心強い支えでした。この経験は大学生になってからも多くの方との交流で生かされています。
高校生のみなさんには、高校時代に自分が「頑張った」と自信を持って言える経験をすることをおすすめしたいです。興味を持ったことに失敗を恐れず挑戦する気持ちを大切にしてください。そして、高校生活を楽しんでください。

 

2024年度名大みらい育成プロジェクトは私が参加した2022年度名大みらい育成プロジェクトと異なる内容も含まれています。詳細については下記のURLからご確認ください。
参照:名古屋大学 Mirai Education Project

Profile

所属:経済学部1年生

出身地:愛知県

出身校:南山高等学校女子部