名大生ボイス

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2018.05.27

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名大研究室の扉in河合塾 理学部編

梅雨に入って気分が上がらない日が続いていますが、元気にしていますか?今回は、『名大研究室の扉in河合塾』というイベントを取材してきました!理学部の先生と大学院生の講演があり、参加者は熱心に耳を傾けていました。その模様を簡単に紹介したいと思います!

 

はじめに、理学部物理学科 三野広幸准教授の『生命現象を電子スピンでとらえる』という講演がありました。三野先生には、名大の理学部の説明に加え、全く違う領域のように思える「物理」と「生命」が結びつくことをご解説していただきました。

 

理学部と物理学科の紹介

名古屋大学の理学部は、数理学科、物理学科、化学科、生命理学科、地球惑星科学科の5つの学科から構成されており、2年生進学時に所属学科を選択します。よくある質問の一つに、理学部と工学部の違いがありますが、工学部が自然界のルールに基づいて人間の役に立つモノを作ろうとするのに対し、理学部は自然界のルールそのものを解き明かすことを目的としています。理学部の5つの学科のうち、三野先生の所属されている物理学科は、物質の根源を探る素粒子物理、宇宙の始まりと進化を解明する宇宙物理、物質の性質を解明する物性物理、物理学の手法を用いて生命に迫る生物物理の4分野から構成されています。

 

生命とは?

続いて、生命物理分野における生命のとらえ方についてご解説いただきました。講義では、生命を①膜を通じて内側と外側が分け②膜を通じて物質の出入りがおこったことによって始まったとしています。生物機能の多様性は主にタンパク質に由来しており、その性質を物理的アプローチで解明することで生命の謎を解き明かすのが生物物理です。生物物理では主にタンパク質の性質を知ることで、様々な生命現象の解明を目指します。

 

生命と物理の関係

高校の理科の授業では、物理と生物は全く異なるものとして教わります。しかし、宇宙の減少を支配する物理学のルールは生物にも適用されるため、本質的には物理も生物も同じものであると主張する事もできます。実際、三野先生の講義では、DNAの二重らせん構造のほかにも、高校では化学で習う「電子」のスピンや、大学で習う電磁気学(物理学の一種)やシュレーディンガー方程式と呼ばれる数式も登場し、生命現象が高校では「理科」でくくられるありとあらゆる分野の学問が全て関わってくることがよく分かりました。

 

 

続いて、大学院生2名による理学部の紹介がありました。

 

理学部ってどんなとこ?

はじめに、学生の目線による理学部の紹介がありました。理学部の1年次では、学科に関係なく数学や物理、化学などの基礎科目と文系科目等の教養科目を学びます。1年次は授業が多いので、ひたすら内容を暗記するのみでは試験に太刀打ちできず、内容をしっかりと理解する事が求められます。さらに、講義のレベルも高いので、講義中に内容がさっぱりわからなくなる事も多いようです。

2年次に学科分属されると、専門科目の学習が始まります。例えば、地球惑星科学科の専門科目では、フィールドセミナーと呼ばれる野外学習が多く、地層の観察や海水温の測定など様々な実習を行います。特に、上空の気流の測定実験では、風船を1時間ごとに飛ばし、流された方角を測定する事で気流を測定するのですが、夜中も継続して実験を行うため、学生同士の絆が生まれる事も教えていただきました。

4年次になると研究室に配属され、研究活動を開始します。研究と勉強は大きく異なります。勉強は誰かが用意した問題に正しい答えを正確に導出するのに対し、研究では自分で問題を設定し、誰も知らない(そもそもあるかどうかも分からない)答えを探す必要があります。その分勉強よりも大変な事も多いですが、世界中の誰もが知らない答えを発見した時の快感は特別なものだそうです。多くの学生は学部卒業後、大学院へ進学し、自分の研究をさらに深めます。

また、大学生活はとにかく自由です。勉強しようと思えば思いっきり勉強できる一方、サボろうと思えばいくらでもサボれてしまうため、自分は将来何がしたいのか?という将来像を持って生活する事が大切だという事でした。

 

学生への質問コーナー

最後に、参加者が先生や学生に自由に質問できる時間が設けられました。

学生への質問部屋では、終始和やかな雰囲気の下、将来やりたい事や研究内容についてなど、思い思いの質問をすることができました。

 

受験生のみなさんにとって、大学の先生や学生の生の声を聞ける機会は限られてしまうので、今回のイベントが進路選択の良い機会になったと思います。『名大研究室の扉in河合塾』は今後も定期的に開催されるため、興味がある人はぜひ行ってみてください!以上です!

Profile

所属:工学部化学・生物工学科分子化学工学コース4年生

出身地:愛知県