名大生ボイス

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受験勉強法

2022.12.09

  • 受験勉強法

睡眠との向き合い方「試験直前期編」②

はじめに

みなさん、こんにちは。名古屋大学工学部1年生の小林です。この記事は睡眠との向き合い方「試験直前期編」②になります。「試験直前期編」①をお読みでない方は、是非先に①を読むことをおすすめします。この記事では①の続きとして、具体的な不眠対策の方法について、その②からその⑥まで計6つを紹介していきたいと思います。

 

不眠対策その②ヨガ

20221209小林2.jpgみなさん、ヨガを知っていますか。名前くらいは知っているという方やしたことがあるという方までまちまちだと思いますが、不眠対策としてヨガは本当に効果があると思います。そう言えるのは実際の体験として私がヨガで不眠が改善されたからです。ヨガをするためには、わざわざヨガ教室に通わないといけない……なんてことはなく自宅で簡単にできます。ヨガ専用のマットとしてヨガマットがあるとやり易いとは思いますが、布団やベッドの上でも行えます(実際、私もマットよりもベッドの上で行った回数の方が多いくらいです)。ヨガと言うと難しそうに聞こえるかもしれませんが、簡単に「深呼吸のようなゆったりとした呼吸法を行いながら身体の筋を伸ばすストレッチ」と捉えてもらえれば大丈夫です。なぜヨガが不眠に効くのか、詳しい理屈までは専門家ではないため分かりませんが、ヨガがストレッチとして軽い運動になるという面と、呼吸を整える呼吸法としてリラックス効果があるという面の二面性があるからだと考えます。基本的に受験生は運動不足になりやすいです。部活動を引退していますし、勉強をする時間が日常生活の大半を占めるようになるため自然と身体を動かす機会が減ってしまうためです。あまりに身体を動かさないと身体に疲労が蓄積されず、脳は疲れているのに身体が疲れていないので寝付けないという事態に陥ってしまう可能性があります。そこで、軽い運動としてヨガを行うことで適度に身体を動かすことができ、自然と入眠に繋げることができるというわけです。さらに、ヨガは強度が高く激しい無酸素運動ではなく、呼吸を意識して行う有酸素運動の一種であるストレッチに近いです。有酸素運動の中でもより穏やかな運動であるストレッチ、ヨガは心拍数を上げることなくリラックスする効果があります。体をゆったりと伸ばし、深い呼吸を重ねていくことで心身を落ち着かせることができ、副交感神経を優位にできます。不眠対策その①でお話したように、副交感神経が優位になっている状態は、全身がリラックスできていることになります。そのおかげで、眠りに入りやすくなるというわけです。さて、ヨガの仕方にはさまざまな方法があります。ヨガについて書いてある書籍を一冊購入するのも良いですし、近年がインターネット上にいくらでも情報がありますので、インターネットの情報を参考にするのもオススメです。特に動画投稿サイトでヨガについて調べると、動画付きでどのように身体を動かせば良いのか、と言うことを教えてもらえるので、初心者の方は動画から入ってみるのはいかがでしょうか。

 

不眠対策その③ホットミルク

ホットミルクは眠れない夜に飲むと寝付きが改善される、とよく聞く定番中の定番ですね。単に牛乳を電子レンジで温めるだけでも十分リラックスでき、心を落ち着かせることができるのですが、私のオススメは牛乳200cc(200mL)につき、お砂糖を小さじ1杯ほど加えてから温めて作るホットミルクです。加熱したことに加え、若干お砂糖を加えることでとても優しい甘さになり、心身ともに温かな気持ちになります。ホットミルクで身体が温まると、副交感神経が優位になります。不眠対策その①で説明したように、副交感神経が優位になればリラックス状態になり自然と眠気を感じることができるのです。大学入学共通テストも二次試験も受験当日は全て冬にあります。今から受験当日までどんどん寒くなっていく時期なので、そんな寒い夜にはホットミルクがとてもオススメです!

 

不眠対策その④入浴

みなさんの中には、シャワーを浴びるだけで湯船に浸からないという方もいると思います。確かにガス代などの問題を考えるとシャワーだけで済ませたいという意見も分かります。ただ、睡眠の質を高める、入眠しやすくするという観点から考えると確実に湯船に浸かった方が良いです。単に湯船に入るだけでも疲労回復効果があり、効果的ではあるのですが、寝付きを最大限に良くするための入浴法に欠かせないポイントを2点、ご紹介します。それはズバリ、入浴する時間とお湯の温度です。
結論からお伝えすると、良質な睡眠を取るために最適な入浴の時間は、就寝の約2時間前に15分ほど湯船に浸かることであり、最適なお湯の温度は38℃前後になります。どうしてこれが最適になるかという理屈は人間の体内時計について学ぶことで理解できます。人間の体温と睡眠と体内時計にはそれぞれ深い関係があり、相互的に影響し合っています。人間の体温は実は一日の中で常に平熱で一定という訳ではなく、変化し続けています。どのように体温が変化しているかを簡単に説明すると、まず起床前のタイミングが一番低く、その後は徐々に上昇を続け、18時から20時頃に一番高い値を取ります。その後は徐々に低下していき睡眠することでさらに下がり、起床前まで下がり続けることになります。この体温の変化に応じて眠気が生じるので、逆に入浴による体温が上がってから下がるという現象を利用すれば、身体が睡眠に入りやすい状態に誘導することができるのです。ここで、就寝の約2時間前に入るのを推奨する理由は、入浴をして温まった身体が眠気を感じるほど体温が下がるのがだいたい2時間後になるためです。さらに、お湯の温度を38℃というぬるめの温度に設定するのは、本来の体温の変化がとても緩やかだからです。早く暖まりたいからといって、高温のお風呂に入ってしまうと、体温の変化が激しくなりなりすぎてしまい交感神経を刺激してしまいます。対策その①でお話したように、交感神経は副交感神経と逆の作用、つまり睡眠を阻害してむしろ興奮状態になってしまい、良質な睡眠とは真逆の方向にいってしまいます。そのため、お湯の温度はぬるめにしてゆっくりじんわりと温まる必要があるのです。まとめると、身体がちょうど就寝時に睡眠を受け入れる状態になるようにするためには「就寝の約2時間前に、約38℃のお湯を張った湯船にゆっくりと15分ほど浸かる」ということが大切です!

 

不眠対策その⑤就寝前にはブルーライトを避ける

近年、テレビでもよく話題にあがるブルーライト。ブルーライトは視力に影響を与えるのか与えないのかなどという議論もありますが、このブルーライトはなんと睡眠にも影響を与えます。夜、寝る前にブルーライトを浴びると睡眠に悪影響が出て、眠りづらくなってしまいます。ブルーライトがなぜ睡眠を邪魔するのでしょうか。実は、対策その④にも出てきた体内時計がブルーライトとも関係しています。この体内時計は日中活動する身体の状態と、睡眠や休憩する身体の状態を切り替える役目があります。しかし、この体内時計は一周期が25時間です。そのため、もし体内時計をリセットしないと一日は24時間なので少しずつずれていってしまいます。この体内時計のリセットを担うのが太陽光になります。朝、太陽光を浴びることで体内時計はリセットされ、身体が朝を認識することができるのです。しかし、太陽光にはブルーライトが含まれているため、スマホやパソコンのブルーライトを浴びても身体は太陽光を浴びたと勘違いしてしまうのです。就寝前にスマホを見ると、身体が朝だと勘違いしメラトニンと呼ばれる睡眠を促すホルモンの分泌を抑制してしまいます。その結果、脳が覚醒してしまい寝付けない状態になってしまいます。このように、ブルーライトは身体構造的に目を覚ましてしまう効果があるので、就寝前はなるべく見ないようにするべきです。どうしても寝る前にもスマホを見たいという方は、スマホを見る時間を少なくする、さらに用意できるならブルーライトカットのメガネをかけるなどの対策をすると、睡眠への悪影響を軽減することはできると思います。

 

不眠対策その⑥ジョギング

ヨガに通ずるところがありますが、軽い運動をすると、不眠を改善してくれる場合があります。これは、運動習慣が無くなってしまう受験期では顕著に効果が現れます。特に軽い運動の中でも私がオススメしたいのはジョギングです。ランニングなどの激しい運動をしてしまうと、覚醒状態にして興奮を促す交感神経が優位になってしまいます(不眠対策その①で詳しくお話しています)。そのため、激しい運動では疲労は溜まるものの、その後興奮状態になって上手く睡眠に繋がりません。私が実践していたより良い睡眠に繋がる運動は、夕方から夜ごろに軽くゆったりとしたジョギングをすることです。ゆっくりとしたリズムで身体を動かすことで副交感神経を優位にすることができますし、軽いジョギングなら筋肉痛になったり、翌日に持ち越すような疲労を抱える心配もありません。やはり、身体を動かす機会が少なくなりがちな受験期には、健康に気を遣うという意味でも是非ジョギングをおすすめしたいです。

 

①、②をまとめて

前回、今回と試験直前期の睡眠についてお話してきました。最後の追い込みをかけたい試験直前にどうしても軽視しがちな健康面の中で、睡眠は最も大切だと思います。受験本番の直前、最後の1分1秒まで挫けずに勉強を続ける……という心づもりは素晴らしいですが、それが身体の不調によって妨げられることがあってはあまりにも残念です。最低限だけで良いので、身体の健康にも気を遣って勉強に支障が出ないようにしていきましょう。また、今回の記事ではなるべく、どうして寝付きに効果的なのか、という人体の仕組みなども絡めて方法をお伝えしてきました。自分が寝付けない原因と、それを解決してくれそうな対策を吟味することで、紹介してきた6つの不眠対策の中から自分にあったものを選び、緊張して眠れない夜にも快眠できるように自分をケアしていきましょう。

 

おまけ

これだけ長文で睡眠をしっかりと取る大切さと寝付きをよくする方法をお伝えしてきましたが、これらを全部試したのに結局上手くいかずに眠れない…という方がいるかもしれません。でも、安心してください。こんなことをいうのは本末転倒かもしれませんが、受験前日の一日くらい眠れなくても案外頭は働きます。体験談でもお話ししましたが、私は実際に大学入学共通テストの前日にどうしても眠れないという状態になり、テスト本番にほぼ徹夜状態で挑んでいます。しかし、テストが終わって点数を見てみると、目標点数よりも思ったほど低くありませんでした。私の受けた年の大学入学共通テストは全体的に難化した影響もあり、全体の平均点も下がってくれたおかげも多少はあると思いますが、それを加味しても寝れなかったせいで失った点数はさほど無かったと思います。最悪の事態を想定して、あれこれ準備をして万全の態勢で挑むことはとてもとても重要です。今回の記事を読んで、寝付けなくなる未来を想定してその解決策を用意することはとても賢いことです。しかし、そこまで全て準備して、それでも防げなかったような場合でも、何とかなります。たった一日の徹夜、そんなのもので高校三年間、もっと言えばこれまでの人生で積み上げてきた経験値、勉強量が全て崩れ去るわけがありません。受験当日がどのような状況であっても、それがたとえ望ましいとはいえない逆境であっても、諦めずに戦い抜いてほしいです。みなさんの受験を心から応援しています。拙い文章ではございますが、最後までお読みいただきありがとうございました。

Profile

所属:工学部化学生命工学科1年生

出身地:愛知県

出身校:愛知県立岡崎高等学校