名大生ボイス

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受験勉強法

2022.12.09

  • 受験勉強法

睡眠との向き合い方「試験直前期編」①

みなさん、こんにちは。名古屋大学工学部1年生の小林です。今回も前回から引き続き、受験生活における睡眠との向き合い方についてお伝えしておきたいと思います。前回の記事(睡眠との向き合い方「日常編」)をまだご覧になっていない方がいらっしゃいましたら、先にそちらをご覧になっていただけると嬉しいです。

 

はじめに

20221209小林1.jpgさて、今回は試験の直前における睡眠についてお話していきたいと思います。というのも、試験直前の睡眠は、日常の睡眠とは異なる性質を帯びるため、日常編と分けて詳細に語りたいのです。「睡眠を削って勉強した方がいいのかな」、「緊張して寝付けなくならないかな」などと睡眠について疑問や不安が湧く人も少なくないと思います。そこで、この記事では“試験直前期の理想の睡眠時間”と“寝付けない場合の対処法”の二つについて主に伝えていきたいと思います。記事を通して、少しでも多くの受験生の不安を取り除くことができたら嬉しく思います。

 

試験直前はどれくらい寝るのが正解?

試験直前期は、受験に臨む際の最後の追い込みの時期だと思います。兎にも角にも時間が惜しく無駄な時間を極限まで削って勉強に取り組む受験生も少なくありません。削れる時間を探していくうちに次第にこんな考えに行きつくかもしれません。「睡眠時間を削ればより勉強をすることができるのではないか」と。しかし、単刀直入に言うと安易に睡眠時間を削ることは辞めた方が良いです。一見勉強時間が増えたように見えて、勉強をしているという充足感や達成感を感じるかもしれませんが、それは見せかけに過ぎません。この内容は前回の記事で詳しく書いているため省略しますが、簡単にまとめると睡眠時間を削って勉強の時間を増やしても、睡眠不足によって受ける脳のダメージが大きいために勉強の効率は下がってしまうのです。しかし、それでも「キリがいいところまで終わらせたい」、「今、集中力が増してるから今のうちに勉強を進めておきたい」という気持ちが湧いてしまうこともあります。普段の日常生活では、勉強を優先して睡眠時間を削ることは悪手だと思いますが、追い込みの時期ですのでそういった場合は多少夜更かしを許容しても良いと思います。体調を崩さないように細心の注意を払いつつ、自分の達したい勉強目標と照らし合わせながら計画的に行いましょう。また、夜更かしをした翌日は睡眠不足に陥りやすいです。日中に睡魔が襲ってきてしまい、一番勉強する時間が長い昼間を無駄にする……なんてことになってしまっては本末転倒です。そんな時に役に立つのが仮眠です。なんと仮眠を取れば一気に脳を回復させることができます。

 

仮眠で脳をリフレッシュ

仮眠の効果は絶大です。仮眠を取り入れることで、疲労感が軽減されたり、勉強効率や集中力、記憶力が向上するといったメリットを享受することができます。これらのメリットはさまざまな研究によって確かめられています。では、具体的にどのようにすれば最大限仮眠を有効活用できるのでしょうか。仮眠を取る際に気をつける点は、主に二つあります。
一つ目のポイントは、仮眠を取る時間帯です。みなさんも一度は仮眠は午後二時から午後三時に取ると良いという話を耳にしたことがあると思います。一部の人はこの時間帯に仮眠をするのが一番適切なのですが、これは万人に当てはまるものではありません。本当に正しい仮眠を取るべき時間帯は、起床をしてから八時間後とされています。先ほどの午後二時から午後三時に仮眠を取れ、という言説は日本の社会人の多くが朝六時から七時にかけて起床しているため広まったのではないでしょうか。受験生のみなさんの中でも、住んでいる場所や家庭環境などによって起床時間はまちまちだと思います。自分の起床時間の八時間後という法則を覚えて、自分にあった仮眠のタイミングを見極めてみてください。
二つ目のポイントは、仮眠を取る時間の長さです。仮眠は疲れや眠気を取るからといって、長い時間眠ればいいという訳ではありません。個人差はあるものの一般的に最も適した仮眠の長さは十五分前後とされています。これには人間の睡眠サイクルが深く関わっています。実は人間の睡眠は二種類に分けることができ、それぞれレム睡眠とノンレム睡眠と呼ばれています。両者の違いを解説すると、レム睡眠は端的に言えば「浅い眠り」で、身体は休憩しているものの脳はある程度活動を続けており、日中に体験したことの記憶の整理などをしている状態です。一方で、ノンレム睡眠は「深い眠り」であり、身体だけでなく大脳もしっかり休んでいる状態になります。ノンレム睡眠の中でも眠りの深さには4段階があり(これは睡眠段階と呼ばれています)、ちょうどノンレム睡眠の一段階目に入るまでの時間が約十五分なのです。先ほど、仮眠に最適な睡眠時間は十五分程度とお伝えしたのはここに起因しています。つまり、脳まで熟睡してしまうノンレム睡眠にまで到達してしまうと、脳が再覚醒するまでに時間がかかってしまい、目覚めが悪くなってしまいます。だからこそ、適度に眠気と疲れを取るような最高の仮眠を取るためには、仮眠の時間を十五分程度に抑えないといけないのです。以上で説明した仮眠を取る時間帯、仮眠を取る長さの両方をきちんと把握して、効率よくリフレッシュしましょう!

 

緊張して眠れない

「緊張して眠れない」という現象をみなさんも一度は経験したことがありませんか。この現象と直面するのは人によってさまざまなタイミングがありますが、例を挙げると「中学受験や高校受験の前日に上手くいくか心配で眠れない」、「学校でのプレゼンや発表の前日に緊張してしまって寝付けない」などがあります。人によっては、模擬試験の前日にも同じように緊張してしまって入眠できなくなってしまうかもしれません。これは、全く悪いことではなく、自然な現象なので仕方がありません。自分の人生における重要なでき事の前には緊張が付き物です。緊張すること自体は悪いことではないので、まずは緊張している自分自身を受け入れて、緊張がほぐれるような解決策を考えることが大切になります。受験直前期の睡眠を語るにあたってこの話はとても大切です。ただでさえ、毎日受験勉強を強いられ緊張やプレッシャーを感じる受験生活の中でも試験直前期は特に重圧を感じます。その結果、「思うように寝付けない」「ベッドには入っているけど、眠ることができない」といった現象に直面する恐れもあるのです。ここからは、実際に私自身が直面した睡眠の問題とその解決策を通じて、みなさんが受験直前期にぐっすりと眠れるようにサポートしていきたいと思います。

 

体験談:入学試験直前に不眠

ここで、少し自分の体験を述べさせてください。体験談はどうでも良いから手っ取り早く解決法だけ知りたいという方は読み飛ばしてもらって構いません。私は去年の受験直前期に軽い不眠症のような状態になってしまった経験があります。病院に通って不眠症と診断されたわけではないので、正式な不眠症ではありませんが、なかなか寝付くことができない生活になり、酷いときには明かりを付けずベッドに入っているにも関わらず一睡もできないこともありました。このような状態に陥ってしまったのは受験直前期でした。正確にいうと、大学入学共通テストの一週間ほど前から試験前日までの期間です。正直、私は元々メンタルが強い方ではありませんでした。学校の授業での発表前も結構緊張をして、手が震えることもありました。しかし、そんな私でも不眠になったことは一度もなかったので、まさか自分が寝付けない、不眠状態になるなんて夢にも思っていませんでした。最初はベッドに入っているのになかなか眠れないな、と思う程度でした。試験の日が近づいていくとともに、徐々に不眠は悪化していき、最終的に試験の前日はほぼ徹夜状態になってしまいました。不眠の厄介な点は、夜はなかなか寝付けないのに、日中に睡魔が襲ってきたり集中力が低下したりしてしまうことです。直前期には追い込みたいのに集中力が持たないなんて……という自責の念も相まってストレスはさらに増大し、不眠も悪化していったのかもしれません。このような散々な結果となってしまった共通テスト直前期の反省を踏まえて、名古屋大学の二次試験の直前期はしっかりと対策をしました。その効果は明白で、不眠状態にならずに前日もしっかりと7時間睡眠を取ることができました。私が実際に行って効果があった対策法と、友人などから聞いて効果があると教わったものをいくつかお伝えしていきたいと思います!

 

不眠対策その①ホットタオル

ホットタオルは蒸しタオルとも呼ばれ、濡らして水分を含ませたタオルを湯気が立つくらいの高い温度まで温めたタオルのことを指します。このホットタオルを目元や首元に当てることによって高いリラクセーション効果を得ることができます。目元に当てるとより高い快眠効果が期待でき、首元に当てるとリラックス効果に加えて肩こりや首のこりの解消も期待することができます。受験生は、勉強に励むあまりどうしても机に向かう時間が長くなりがちです。そうすると、長時間同じ姿勢を取り続けることになってしまい、筋肉が緊張した状態が続き血流が悪くなり、筋肉がより硬化していく…という悪循環に陥ってしまいます。このように肩こりに悩んでいる受験生の方々はぜひ、ホットタオルを首元に当て、軽くマッサージをしてみてください。寝付けない原因が案外肩こりにある、なんてことも珍しくないため、試す価値は十分にあると思います。また、ホットタオルを目元に当てると、より直接的に寝付きの改善に役に立ちます。何故なら、目元を温めることことが副交感神経を刺激することに繋がるためです。副交感神経というワードについてはテレビなどで聞いたことがある人も多いと思います。人間には自分の意思でコントロールできない自律神経という神経があり、この神経は周囲環境の変化に応じて対応することで体内環境を維持、変化させています。そして、この自律神経を構成しているのが交感神経と副交感神経なのです。交感神経は、身体活動が活発な時に優位になる神経です。心拍数が増加し、血管は収縮、瞳孔が開きます。つまり、ランニングやスポーツをしている時などに優位になる神経なんです。それに対して、副交感神経は休息する際の神軽です。瞳孔は縮小し、心拍数が低下、血管は弛緩することになります。理想的な状態は就寝前に副交感神経が自然と優位になり、身体が休息する状態になることで眠気を感じる形ですが、ストレスや健康状態が芳しくないと副交感神経が上手にはたらかないことが度々起きます。しかし、こんな時こそ、ホットタオルを目元に当てれば、副交感神経を刺激することができ、眠気を促進させることができます。ホットタオルは簡単に作れて、とてもリラックスできるものなので是非とも今夜、ホットタオルで一息ついてみてくださいね。

 

②につづく
とっておきの不眠対策法としてホットタオルをご紹介しましたが、他にも不眠対策はあります。しかし、文章量が長くなり過ぎてしまったので、残りは次回の記事にてお伝えしたいと思います!拙い文章ではございますが、最後までお読みいただきありがとうございました。睡眠との向き合い方「試験直前期編」②も是非お読みください。

Profile

所属:工学部化学生命工学科1年生

出身地:愛知県

出身校:愛知県立岡崎高等学校