No.59 鵜飼 真貴子 准教授
Researchers'
アジア共創教育研究機構/大学院国際開発研究科
No.12 山田 肖子 教授
明治維新のリーダーたちを育てた教育者・思想家の吉田松陰の言葉です。私自身が教育学・人材育成を研究しているので、吉田松陰から学ぶことは多いです。また、この言葉のように、新しい研究をしようとしたら、慣れた研究のやり方に安住するより、新しい発想で既存の枠を打ち破る勇気と行動力を持たなければ、と思っています。
アフリカをはじめとする開発途上国で、若者や子どもの教育、知識の形成について研究しています。ここ数年は、名古屋大学の若手研究者と一緒に、SKY(Skills and Knowledge for Youths)プロジェクトと題し、製造業に従事する若者の技能評価をして、産業界で求められる知識と、教育が果たす役割について分析しています。
仕事や生活の中で本当に役立つ知識、自分を豊かにしてくれる知識は教科書を覚えるだけでは身に付きません。SKY プロジェクトでは、若者の認知的、非認知的能力(いわゆるソフトスキル)、職業技術等、異なる種類の能力を、調査対象国や産業の特性との関係で把握し、どのような方法、内容の人材育成が適しているのかを政府や業界団体に提言しています。
このような途上国の現場での仕事に加え、日本や国際社会での「持続可能な開発のための教育」の議論に関わったり、議論が形成される背景を分析したりもしています。
国際協力のコンサルタントとして、アフリカのある国にいたとき、プロジェクトのための情報収集も面白いけれど、プロジェクトが前提としている価値観(例えば、「学校に行かないと学べないから、すべての村に学校を作らなければいけない」など)自体を社会の歴史的、文化的背景に照らして問い直したいと思いました。
SKYプロジェクトの技能評価の様子(エチオピア)
職業訓練センターの自動車機械科(ガーナ)
質問票に答えてくれた子(エチオピア)
頭の中にバラバラに散らばっていた発想が、ピタッとはまって、一つの論考としてまとまったとき。いろいろな分野の優れた研究者や論文に出会って、ドキドキするほど触発されるとき。それから、私たちの研究成果に興味を持って、それを活用したいという途上国政府や業界団体の人たちとご一緒するときは、実社会に貢献できている喜びを感じます。
神田先生が特許を持っていらっしゃる微細藻類からバイオ燃料を抽出するためのエネルギー効率の高い技術を南アフリカに移転するという事業です。この事業における私の担当は「人材育成」です。バイオ燃料を抽出する機械を維持したり、実際にバイオ燃料で車を走らせたりするためには、それを行うための人材が南アフリカに育っていなければなりません。私は、日本からの支援が終わった後も、南アフリカで持続的、発展的に事業が行われるよう、人材育成の方法を検討しています。
ビール飲んで(愚痴って)寝る!
ナイショ。
「知識」がどのように形成されるのかを、ネットワーク化された現代社会の環境において、個人と社会のレベルから学際的に検証する、というのが目標です。ある時はアフリカの工場で技能評価、別の時はアフリカ伝統社会の認識論から西欧、東洋哲学のつまみ食い、さらには情報工学分野の専門家の助けを借りて大規模テキスト分析と、多岐にわたっているように見えるかもしれませんが、私の中では少しずつ何かが形になっているような気はしています。
氏名(ふりがな) 山田 肖子(やまだ しょうこ)
所属 アジア共創教育研究機構/大学院国際開発研究科
職名 教授
略歴・趣味
学部時代は法学部で、法律家になるはずでしたが、暗記が苦手で断念。その頃に読んだ本の影響で、開発途上国に対する国際協力の道に入りました。研究者になろうと思ったのは30歳のときで、かなり遅咲きです。でも、回り道したからこそ、研究者という仕事をやれることに喜びを感じます。
趣味が仕事になってしまったので、ことさら趣味はないのですが、寝る前にヨガをやるのと、テレビドラマやバラエティの動画を見るのは日課です。落語には一家言あります。不動産の間取り図を見るのも好きです。