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VOICE

大学院創薬科学研究科

No.43 布施 新一郎 教授

My Best Word:

 

笑う門には福来る

 

Q:この言葉を選ばれた理由は?

「福来た門に笑いあり」ではないことが重要だなと思っています。どんなに苦しいときでも福を呼び込めるように明るく笑っていたいものです。しかしながら、実際にはなかなかいつもそうはできていないので、なおさら、そうありたいと強く思います。最近、筑波大学学長の永田恭介先生がATM(明るく、楽しく、前向きに)が重要と新聞で書かれていたのを目にしました。このATMもとても良いなと思っています。

 

Q:先生はどのような研究をされているのですか?

中性錬金術師の時代から続く、容器に溶液を溜めて行う従来の反応ではなく、微小な流路に溶液を流しながら行うフロー反応を研究しています。

フロー反応は、従来の反応では理論的に難しかった、反応液の温度を厳密に制御したり、数秒以内の大変短い反応時間を制御することが出来ます。

うまくいけば、これまで長年、実現不可能と思われていた反応が実現し、新たな医薬品創出やより効率的な生産の扉を開くカギになるかもしれません。

 

フロー実験写真.jpg

フロー実験に使用する装置

左にある2つの黒い機械から溶液が一定速度で押し出され、

チューブを通ってマイクロミキサー内で混ざる

 

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手に持っているのがマイクロミキサー

Q:研究の道に進んだきっかけは?

もともとどちらかというと、国語、英語、歴史のような文系科目の方が得意だったのですが、自然科学の研究者が、自然を相手にして、ミステリアスで面白そうなことをしているというイメージを子供の時からもっていて、このイメージが、今思うと研究の道に進んだきっかけとなっているかもしれません。

 

英語プレスリリースに使用した研究画像.jpg

 フロー化学合成のイメージ図

Q:研究が面白いと思った瞬間はどんな時ですか?

自分が当初考えていたこととは全く異なる現象を目の当たりにした時でしょうか。特に苦労し続けてきた学生さんがすごい結果をもってきた時は大興奮です。そのすごい結果の科学的な理由が理解できた時に、もしも世界で自分たちしかその理由はわかっていないという状況であれば、もう本当に最高です。

 

Q:研究室の学生等、人と関わる時に日頃意識して行っていることがあれば教えてください。

なるべく下らない雑談をまずはしたいと思っています。でもこれが本当に難しいなと思っていて、自分自身に時間的にも心理的にも余裕がないと意外とできないものですね。その点、時間を決めて、下らない雑談に集中できる、研究室の学生さんとの飲み会は大好きです。過去3年間は新型コロナウィルス禍で飲み会が制限され、また最近は忙しくなってきて、その機会を思うように増やせていないのですが、お酒を飲めようが飲めまいが、飲み会を一緒に楽しく過ごし、研究以外の話を色々聞くことは重要だなと思っています。

 

研究室旅行でのBBQ.jpg

研究室旅行でのBBQ

 

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教え子に書いてもらった思い入れのある研究室の看板

 

Q:休日はどのように過ごされていますか。リフレッシュ方法などがあれば教えてください。

お酒が大好きなので、お酒を美味しくするために、真夏以外は、16-17 kmほど早朝から音楽を聴きつつジョギングしています。家の近くの川沿いのコースを走っているのですが、青空と川面を眺めながら走っていると悩みがあっても結構元気に走れる気がします。また、ランナーズハイになって、飲酒していなくても朝から酔ったような感じになるので、休日の入り方として最高な気がしています。その後ゆっくりお風呂に浸かって、ひたすらずっとお酒を飲んでいます。ちなみに真夏は暑すぎて、いくら水分をしっかりとっても本当に危険なので、ジョギングの代わりに自転車を楽しんでいます。午前中で帰ってこれる距離で、60-100 km位、ヒルクライムができるコースを設定して楽しんでいます。

 

 Q:今後の目標や意気込みを教えてください。

最近「新輝不老反応」の開発を目指していますと色々なところで言っています。実は私達のグループで対象としている反応は半世紀以上前から知られている、古典的な反応が多いのですが、望まない反応が起きやすいために、その価値が見過ごされている物が少なくありません。フロー(名古屋大学東山キャンパスの所在地にあやかって「不老」)反応の技術と組み合わせることで、古典的な反応に新たな価値を与え、新しい輝きを放つ新輝反応へとバージョンアップさせて、そして、一度有用性をもった新輝反応は、その有用性をずっと失わないでほしい(不老)という願いを込めています。また、新規不老反応の開発を通して、学生さんとともに成長していきたいです。

 

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氏名(ふりがな) 布施 新一郎(ふせ しんいちろう)

所属 名古屋大学大学院創薬科学研究科

職名 教授

 

略歴・趣味

1977年生まれ。2005年東京工業大学大学院理工学研究科応用化学専攻博士課程修了。同年株式会社ケムジェネシス主任研究員、2006年Harvard大学博士研究員、2008年東京工業大学大学院理工学研究科応用化学専攻助教、2015年東京工業大学資源化学研究所准教授、2016年東京工業大学科学技術創成研究院化学生命化学研究所准教授を経て2019年11月より現職。趣味は飲み会、(お酒を美味しくするための)ジョギング、自転車、サウナ

 

 

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