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Researchers'

VOICE

トランスフォーマティブ生命分子研究所

No.46 八木 亜樹子 特任准教授

My Best Word:

 

感動溢れる人生を!

 

Q:この言葉を選ばれた理由は?

私は、何かを決めるときには自分が感動できるか、心揺さぶられるかどうかで決めています。これまで、後先を考えすぎず「感動の多そうな道」を選んできました。自分が感動することで他人も感動させることができる、その理想を実現したいので研究テーマを考えるときはとことん考えます。大学での教育もまた私にとっての大きな感動源で、一緒に研究している若いメンバーの凄まじい成長に日々刺激をもらっています。大学教員、研究者はとても感動の多い職業で、天職だと思っています。

 

Q:先生は令和4年度の赤﨑賞を受賞されていますが、今現在どのような研究をされているのですか?

炭素材料と分子合成が好きで、分子合成のアプローチで面白い炭素材料をつくりたいと思っています。赤﨑賞の研究テーマは「難溶性芳香族ポリマーの合成と応用」で、炭素材料の合成で課題となる難溶性問題の解決に分子合成の手法で挑みました。赤﨑賞受賞時は芳香族ポリマーというシンプルな炭素材料のみでしたが、今ではより大きく複雑な難溶性炭素材料の合成にも挑戦しています。また、ダイヤモンド構造をもつ材料のボトムアップ合成にも取り組んでいます。壮大なテーマでまだ道半ばですが、その道で新奇分子を合成しており、生物学など他の分野とのコラボレーションで活用することで研究を展開させたりもしています。

 

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研究テーマの一つ:難溶性炭素材料の合成と応用

図はITbM高橋一誠講師によって作成されたものです

Q:研究の道に進んだきっかけは?

学部4年生の11月頃にある分子を合成したのですが、その分子は、それまで標的としていた分子をはるかに上回る面白さをもつ分子であることがわかりました。指導教員の先生方も驚かれていて、人智を超えた分子の世界に深く感動し、研究って面白い!と確信しました。また修士課程で学会に参加し、情熱をもった多くの研究者と交流したことで、研究者の世界は楽しそうだなと思いました。学会発表や論文発表を通じて世界と繋がっているという感覚も得て、ワクワクしたことも研究の道に進んだきっかけでした。

 

Q:研究が面白いと思った瞬間はどんな時ですか?

予想の斜め上を行く結果が得られたときですね。予想通りの結果が得られたときは嬉しいですが、予想と違ったときの方が面白いです。また、多くの学生さんと一緒に研究をしていると、学生さんの個性が研究の展開に反映していることを感じたときも面白いです。1人で研究をするより、人と一緒に進めた方が圧倒的に面白いことを気づかせてくれます。

 

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研究室の学生達と実験室にて 

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一緒に研究を行ってる研究室の学生達との1枚

Q:研究で成果を上げている中、2人の子育てをされていますが、研究と子育てを両立するのに生活の中で工夫している、取り入れていることはありますか?

よく寝て体調を整えること、切り替えて生活することです。研究も仕事も、心身ともに健康でご機嫌な状態で行うことが最も大切だと思っています。心身健康だからこそ、周囲と良いコミュニケーションを取ることや感謝の気持ちをもつことも忘れずにいられると思います。また、こどもと一緒にいるときは、ぼんやり研究のことを考えている場合はあれど(笑)、仕事はしないようにしています。研究と子育てをしっかり切り替えて両方をhappyにすることで、両立できたらいいなと思っています。子育ては私の人生に多くの感動をもたらす必要不可欠な要素で、その時間を減らしたくないので他のことの効率化を頑張っています。

 

Q:今だから言える、ここだけの話を聞かせてください。

第1子は生後半年のとき、第2子は生後4ヶ月のときに仕事復帰したのですが、特に第2子の仕事復帰のときは仕事と子育ての両立が大変すぎて、大学教員やめようかなと考えてました。両方中途半端でいろんな人に迷惑をかけている気がして、自分がこの立場に居てはいけないと思ってましたね。ただ、低空飛行でも飛び続けさせてもらったお陰で、複数の論文も出せて成果として認められるようになってきたので、あのときやめなくてよかったと思っています。周囲に感謝です。

 

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研究室のメンバーの理解・協力もあり、1人目を育てる際に教授室の半分をキッズスペースに改装していただきました!

子供が2人となった今でも、なくてはならない場所です

(右にあるドームは研究室の手作り)

Q:休日はどのように過ごされていますか。リフレッシュ方法などがあれば教えてください。

平日を仕事と子育てに振っている分、休日は家事も多いですが基本的には家族と楽しく過ごしています。好きなものを食べることと、外に出て活動的に過ごすことがリフレッシュになっています。よく食べよく動き、疲れることでよく寝て元気になります。

 

Q:今後の目標や意気込みを教えてください。

人々が感動する分子、材料をつくります。そうすれば、いつか世の中の役にたつと信じています。また、自分の人生を楽しいものにすることで周囲の人々にも幸せになってもらえる、そんなことができたら最高です。

 

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氏名(ふりがな) 八木 亜樹子(やぎ あきこ)

所属 名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所

職名 特任准教授

 

略歴・趣味

2016年に名古屋大学大学院理学研究科博士課程終了、同年米国スクリプス研究所博士研究員、2017年に名古屋大学物質科学国際研究センター助教、2021年より現職。2022年にはJSTさきがけ研究者 (未来材料領域)。趣味は、何かを考えること(必要なのは自分の頭だけなのでコスパ良し)と自宅のインテリアで遊ぶこと。美しさと機能を兼ね備えたモノが好きで、その本質に考えを巡らすことが好き。

 

 

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