No.54 金森 亮 特任教授
Researchers'
大学院工学研究科
No.52 部矢 明 准教授
アクチュエータとは、モーターを代表として、入力されたエネルギーをもとに運動を生み出す装置です。アクチュエータはロボット、自動車、ドローンをはじめとした全ての機械システムの駆動源であり、動物における筋肉に相当します。私は世界に影響を与えるような革新的なアクチュエータ技術を生み出すことを目標としているため、この言葉を選びました。
新しいアクチュエータの駆動原理・制御法とその応用システムについて研究しています。例えば1例として、アクチュエータとして最も世界に普及しているモーターは1軸まわりにしか回転しませんが、人の眼球はあらゆる方向へ回転することが可能です。このことに着想を得て、1台であらゆる方向に回転可能かつ眼球と同程度に小型な新モーターを提案しています。また他にも、空間上のあらゆる方向へ振動可能な3次元振動モーターとそのハプティクス応用※や、空圧で駆動する球状歯車型アクチュエータ、極低温でも使用可能な磁気浮上アクチュエータ・制振デバイス等の研究に取り組んでいます。
※ハプティクス応用…力、振動などを与えることで力触覚(物を触ったり手にしたりした時などの感覚)を伝える技術およびその応用
中学生のときに老人ホームで職場体験をしたのですが、そのとき担当した方に「自分のことが自分でできないことが辛い。他人に生かされているだけで、自分で生きることはもうできない」と言われました。自分1人で支えれる人の数は限られていますが、機械であれば、たくさんの人の生活を支えることができるのではないかと思い、機械システムの研究者となることを志しました。
新しい原理で動くアクチュエータを設計・解析・製作し、予想した理論通りに動いたときは感動がこみ上げてきます。ほとんどの場合、最初の試作では上手くいきません。解析と実験を何度も繰り返し、原理原則に立ち返って失敗の原因を分析することで、ようやく予想通りに動いてくれることがほとんどです。失敗も楽しみながら、粘り強く試し続けることを心がけています。
高出力・高速・高精度な新たな直動装置として使えるのではないかと思い、2017年から磁気送りねじの研究を始め、やっと実用段階に近づくことができたと感じています。広い範囲を高速で動作する様子を見たときは感動しました。しかしこれは自分1人の力ではなく、指導学生や共同研究者の方々が協力してくれたからこそです。人と人のつながりの大切さを感じたテーマでもありました。
学生時代、アメリカのマイアミで行われた国際会議に参加した際のことです。飛行機内で寝ずに作業したことや、出発日直前までも無理をして疲れが溜まっていたこともあり、現地に着いて翌日から高熱を出して恩師に心配をかけてしまったことがあります。来たからには何が何でも発表するという気合いで、何とか研究発表はやり遂げましたが、自分の指導学生には移動日までは疲れを溜めず機内でしっかり寝るよう伝えています。
休日は妻と公園や街を散歩したり、外食したりすることでリフレッシュさせてもらっています。また、美術館に行き、天井が高く広い空間の中で絵画やアート作品を眺め、どんな想いや背景で製作したのか想像することも、自分にとってのリフレッシュ方法の一つです。
まだまだ人としても工学者としても未熟ですが、人と工学に向き合いながら、新しいアクチュエータ技術で社会に貢献できればと思っています。
氏名(ふりがな) 部矢 明(へや あきら)
所属 名古屋大学大学院工学研究科
職名 准教授
略歴・趣味
2021年3月大阪大学大学院工学研究科博士後期課程修了。博士(工学)。日本学術振興会特別研究員(DC1)、大阪大学大学院工学研究科特任助教を経て、2022年名古屋大学大学院工学研究科助教、2023年より現職。
趣味:美術館巡り、音楽鑑賞
・見たことない! 磁気式、非接触で動くネジ誕生」(名古屋大学研究フロントライン)
・2024/8/22 プレスリリース「メタバース空間で"触感"を得られる次世代デバイス! 小型・高出力な力触覚提示用3次元振動モータを開発」
・2024/6/19 プレスリリース「高伝達力で可動域を無限に延長可能なモジュール型磁気送りねじ機構を開発」