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VOICE

大学院医学系研究科/未来社会創造機構量子科学イノベーション研究所

No.56 和氣 弘明 教授

My Best Word:

 

点滴穿石

 

Q:この言葉を選ばれた理由は?

着実に努力することが研究や仕事をしていく上で最も重要だと思っているからです。

 

Q:先生はどのような研究をされているのですか?

動物が生きている状態で脳の中の細胞の構造や機能を可視化できる2光子顕微鏡を用いて、学習などに関わる脳内の神経回路について神経細胞及びそれ以外の細胞(グリア細胞)の観点から研究しています。

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2光子顕微鏡で見た脳内の血管および免疫動態

(青色はコラーゲン、緑色はミクログリア及びマクロファージ、赤色は血管)

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2光子顕微鏡を使用する様子

Q:研究の道に進んだきっかけは?

大学生の時に、好奇心を持ち続けることが生きていく上で重要だと思ったからです。

というのも、今だから言えることですが最初は普通に臨床の医師になろうと思っていましたが、その後学部生で少しやっていた研究が楽しく、関連した研究などについて考えることに没頭することが出来たからです。

あとは研究を担当していただいた教授が学部6年の時に亡くなってしまって、その先生を尊敬していたからです。

 

Q:研究が面白いと思った瞬間はどんな時ですか?

自分が考えていた仮説が実証されて、それが解き明かされる様子を感じる時に面白いと感じます。

 

Q:先生は、本学の「医学系研究科」、そして2024年4月に開設された「量子化学イノベーション研究所」にご所属されていますが、医学分野において、量子技術はどのように使われているのでしょうか。

私自身が使っている2光子顕微鏡にも量子技術が使われていて、それにより動物が生きている状態での脳内の動きが生体深部まで見えます。また現在はまだ研究の段階ですが、今後量子技術を用いた診断・診療技術が発展していくと思います。これらの技術を開発することで新たなバイオマーカー*などの開発を目指していきたいです。

*バイオマーカー…疾患の有無や病状の変化、治療の効果を評価する指標となる生体内の物質(血液中のタンパク質等)や生理学的指標(血圧、心拍数、心電図等)のこと

 

Q:休日はどのように過ごされていますか。リフレッシュ方法などがあれば教えてください。

登山や山を走ってリフレッシュしています。

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スイスのローザンヌにある山

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長野県にある西天狗岳にも登りました

Q:今後の目標や意気込みを教えてください。

着実に一つずつ進んでいきたいと思います。ノーベル賞を受賞されたシドニーブレナーの名言に「Progress in science depends on new techniques, new discoveries and new ideas, probably in that order」というのがあります。すなわち科学は新しい技術、新しい発見、新しいアイディアによって成立していて、この順番で進歩するというものです。私も新しい顕微鏡などを作成することで新しい技術に貢献し、これを用いて新しい発見をし、何か人のためになることが出来ればと思っています。

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氏名(ふりがな) 和氣 弘明(わけ ひろあき)

所属 名古屋大学大学院医学系研究科

   未来社会創造機構量子科学イノベーション研究所

職名 教授

 

略歴・趣味

2001年名古屋市立大学医学部医学科を卒業し、2007年 同大学大学院医学研究科修了(博士(医学))取得。

その後、生理学研究所CREST研究員、米国国立衛生研究Visiting Fellow、自然科学研究機構基礎生物学研究所助教、さきがけ研究員(兼任)、自然科学研究機構生理学研究所准教授、神戸大学大学院医学研究科システム生理学分野教授を経て、2019年11月から現職。

趣味:登山、ランニング

 

 

【関連情報】

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医学系研究科・医学部医学科 教授紹介ページ

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