2023年12月

総長っていったい何をしているのか、疑問に思っている皆さんも大勢いるかと思います。ここでは、私が日々取り組んでいる仕事やその中で感じたことなどを、自由闊達に紹介していこうと思っています。

 

12月26日

本年最後の自由闊達通信になります。

今年の1月から思い立って始めた当ブログですが、なんとか一年続けられました。大学のオフィシャルなウェブサイトでの発信ですので、あまり刺激的な発言はできない中、少しでも興味を持っていただけたら幸いです。私自身の備忘録としても、活用させていただいています。

今週は、本日までは会議が朝から晩まで詰まっていましたが、明日からはほぼ皆さんオンライン、テレワークということで静かな年末となります。

ここまで、名古屋大学にある、研究科、センターなど20以上の部局と11月から対話を続けていますが、それも本日3つの研究科と行い、残すところ1つとなりました。どこの部局も、独自の努力がよくわかる対話でした。

それでは、来年も、どうか皆様、よろしくお願いします!

良い年末年始をお迎えください。

 

 

12月21日

本日は18日に表敬訪問いただいたノースカロライナ大学チャペルヒル校の学生たちの研修の講師を務めていただいているNTTの松原実穂子さんとお話しできるチャンスがありました。松原さんは現在、NTTのチーフ・サイバーセキュリティ・ストラテジストとして、ウクライナのロシアからのサイバー攻撃に対する防御など、世界で今起こっているサイバーアタックに対する発信で非常に注目されていらっしゃる方です。早稲田大学文学部を卒業後、防衛省に勤務、奨学金をへてジョンズ・ホプキンス大学に留学、シンクタンク勤務などを経て現在の職につかれたとのこと、少しお話ししただけでしたが、キリッとしたお人柄と感じました。お話の中で、ランサム・ウェアを仕込んでデータを暗号化し身代金を要求するハッカーについて質問させていただいたのですが、身代金を払っても96%は完全には復旧しないとのことでした。それでも、一部だけでも復旧すればと身代金を払ってしまう例があるそうです。

その後、講演会も少しのぞかせていただいたのですが、学生からのたくさんの質問に、丁寧に、そしてとても真摯に答えていらっしゃいました。

 

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12月20日

昨晩は、教育研究評議会の懇親会(忘年会)を豊田講堂の中にあるユニバーサルクラブで行いました。コロナ以前は、夏休み前と冬休み前、年2回やっていたのですが、本当に久々になります。今の研究科長はじめ部局長に皆さん、また評議員の皆さんの多くにとっては初めてだったかと思います。総長執行部や事務職員なども加わって賑やかな二時間でした。

本日は、文部科学省の総合職若手職員お二人と話す機会がありました。そのうちお一人は本学の経済学部卒で、現在はJAXAのロケット対応の部署にいるとのことでした。名古屋大学の学部卒業生・大学院修了生はなかなか中央省庁、中でも総合職には行かないのですが、先輩の力でひきつけていただきたいものです。この後後輩30名ほどを相手に説明会とのことでした。

その後、少し気が早いですが卒業式と入学式の打ち合わせを行いました。今回は卒業式にもサプライズゲストの登場がありそうです。

 

 

12月18日 ②

総長室のある建物に帰ってきて、一息つく暇もなくオンライン会議、その後には、ノースカロライナ大学チャペルヒル校の女子学生6名の表敬訪問を受けました。12月12日に訪問されたバーバラ・スティーブンソン副学長もおっしゃっていた、サイバーセキュリティ研修の本学との交換プログラムに出席する学生さんたちになります。9月にノースカロライナに行った本学の学生も数名、一緒に来てくれて、30分ほどの短い時間ですが、歓談を持ちました。

歓談では両大学の学生とも、とても意識が高く、意見をしっかりと述べていました。またチャペルヒルの学生のほとんどは、コンピュータ・サイエンスやグローバル・スタディといった第一専攻と、平和・戦争・防衛や公共政策などの第二専攻をもつ、ダブル・メジャー(2専攻)だったことには驚かされました。不確実性の高い時代(いわゆるVUCA)である現代においては、一つだけではなく複数の専門性を卒業までに獲得することが世界の大学では普通になってきているようです。

このプログラム、本当に素晴らしいネットワークも構築でき、大変良いものに出来上がってきたと思います。ノースカロライナの本学の拠点、NU Techの神山所長をはじめ今回ご尽力いただいた皆様、どうもありがとうございます。スティーブンソン副学長にも米国大使に圧力をかけていただいたようで、来年も引き続き実施できる見込みとなりました。来年も本学から元気の良い学生がたくさん応募してくれたらと思っています。

 

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12月18日 ①

本日は、昼前後に総長室を少し離れて学内を移動していました。

朝からは定例の運営会議、総長、副総長、事務の集まりで、名古屋大学の必要かつ重要な事項は教育研究評議会とここで決められます。ここまでは総長室にいたのですが、その後、NIC館に移動して卓越大学院TMI「ライフスタイル革命のための超学際移動イノベーション人材養成学位プログラム」の中間評価のためのヒアリングに参加しました。画面越しですが、審査員の皆さんから多数の質問を受けましたが、そのほとんどをコーディネータの河口信夫教授が的確に答えていきました。良い評価が得られるのではないかと期待しています。

その後、すぐに隣のES館にあるシェ・ジロー(フレンチレストラン)に移動、タシケント工科大学の学長らとビジネスランチです。

ランチもそこそこに、さらに歩いて数分の坂田・平田ホールに移動、本学の宇宙地球環境研究所が与える2023年度宇宙地球環境研究所賞(ISEE Award)の表彰式に出席してきました。受賞者は、コロンビア大学のラモント・ドハティ地球研究所のゴエス博士とゴメス博士で、受賞内容は、衛星リモートセンシングを利用した植物プランクトンの研究を通じて海洋生態系の健全性や生物多様性の知見を得る、というものになります。お二人はご夫婦で、男性のゴエス博士は名古屋大学で博士号を取得し、ゴメス博士の方も研究をされていたことがあるとのこと、世界で活躍している名大のOB/OGということで、お二人の受賞、本当に喜ばしく思っています。

 

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その後、豊田講堂の会議室にて、先のランチでご一緒したタシケント工科大学のトゥラブジャノフ学長、アジモフ国際部長、西山副学長に、在日ウズベキスタン大使館から、ジャリロフ参事官公使が加わっての表敬訪問を受けました。こちらは私以外に、以前ウズベキスタン大統領が来られた時に名誉博士号を授与し、タシケント工科大学の名誉学長の称号をお持ちの松尾機構長、さらには国際担当の水谷副総長、川北審議役などが参加しました。先方の西山副学長は、以前は本学の所属として先方に出向してもらっていたのですが、今は、完全にタシケント工科大学に移られた方になります。トゥラブジャノフ学長とは、昨年9月、筑波で開催された日本・ウズベキスタン学長会議でもお会いし、その折には本学も訪問いただいたいので、旧知の仲ということになります。気さくなお人柄です。一緒に来られたアジモフ国際部長はまだ30歳そこそこ、すごく若い方ですがチェコの大学に留学経験があるそうです。

 

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12月16日 ②

昼からは、名古屋大学東山キャンパスまで移動して、第二回石井健一郎賞の授賞式と受賞記念講演会です。

今回の受賞者は、生命農学研究科の榊原均教授です。石井健一郎賞については、3月18日の自由闊達通信で、第一回の授賞式について書いていますのでご参照ください。本学経済学部の前身である名古屋高等商業学校出身で、大同特殊鋼の中興の祖と讃えられた石井健一郎さんとそのご遺族の意思に基づき設立された賞で、本学最高の栄誉になります。

今回の受賞理由ですが、植物ホルモンの一種で農業にとって重要な働きをするサイトカイニンについて、その合成経路の発見や活性化遺伝子の発見など重要な知見を得、さらにその働きがイネの収量大幅アップにつながることを示した業績に対して賞を与えることとなりました。榊原先生のこの業績は、世界中の研究者の注目を集めており、その証拠としてクラリベイトの高被引用論文著者に連続して選ばれ続けています。ちなみに、本年本学から選ばれているのは4名だけです。

NIC館で執り行われた授賞式には、榊原先生を名古屋大学での学生時代、助手時代、さらに理化学研究所に移られた後に至るまでずっと暖かく見守ってこられた杉山達夫先生(本学名誉教授)も駆けつけてくださいました。授賞式の前に少しお話しできたのですが、「榊原くんはアイスホッケーに熱中しすぎて、夜になると研究室から消えてスケートリンクに行ってしまう学生だった」など、楽しい裏話を披露いただきました。

授賞式の後には、場所を移してES館で受賞記念講演会を執り行いました。非常にわかりやすく業績をご説明いただき、講演後には多くの質問も出て、みなさん満足されたのではないでしょうか。榊原先生、おめでとうございます!

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12月16日 ①

本日は土曜日ですが、二つのイベントをはしごしました。

午前中は日進市まで出かけて、愛知県ユニセフ協会主催1周年記念祭に出席してきました。昨年、日本で27番目の協会として設立されたのが愛知県ユニセフ協会です。なぜか私が協会長をつとめておりますが、実際には名大生協など生活協同組合関係者の皆さんが汗をかいてくださっています。1年間の実績として、出前学習会及び事務所での学習会が13回、オンライン学習会が2回、イベント参加回数18回ということで、非常に活発かつ多岐にわたる活動と言えるのではないかと自負しています。

今回のイベントには、日進市の近藤裕貴市長にもご出席いただきました。日進市は、2009年には、未来をつくる子ども条例を制定、ユニセフに共感する自治体として募金活動の支援をいただいています。近藤市長、とてもエネルギッシュで印象的な人柄でした。

イベントでは二つの講演をお願いしたのですが、次の名大でのイベントのため、最初の講演しか出席できなかったのは残念でした。そこでは日本福祉大学の中村強士先生が、子どもの貧困をテーマにお話しくださいました。日本では、貧困家庭が国から受ける援助よりも国に収める社会保障費等の方が多くなってしまうという話しにはびっくりさせられました。日本は、政策によって貧困が拡大する国なのだそうです。

 

 

12月15日

ここまで今週は、細切れに次々と案件を処理してきました。

その中で、本日は、3月28日にも紹介させていただいた、COI-NEXT「地域を次世代につなぐマイモビリティ共創拠点」のシンポジウム、「地域モビリティサービスの維持・発展は可能か」で開会のご挨拶を差し上げました。あいにくの雨模様、午後のシンポジウムの時には雨は降っていなかったのですが、それにしても以前の円頓寺でのイベントも雨でしたし、プロジェクトリーダーの森川高行教授の雨男ぶりは健在です。

夕方には、名古屋大学の若手教員の採用・育成プログラムであるYLCプログラムのテニュア審査を行いました。YLC教員の中でも、特に優秀かつ部局が採用枠を用意してもらえる教員について、5年の任期を外して、次の5年は大学全体で雇用費を負担し、その後所属部局の教員に移行する、というものです。ただし、毎年2名という厳しい枠になっていて、今回も非常に高いレベルでの競争になりました。詳細は人事のことですので述べられませんが、みなさん素晴らしい業績をお持ちで、将来が楽しみな人ばかりでした。

 

12月12日

昨日香港から帰ってきたばかりですが、本日は、ノースカロライナからの訪問団対応です。

1月に行ってきた米国ノースカロライナ出張の時にお会いした、ノースカロライナ大学チャペルヒル校(UNC)のバーバラ・スティーブンソン副学長たちが今度は名大を訪問してくださいました。チャペルヒル校は全米最古の公立大学で、研究のトップスクールの一つになります。スティーブンソン副学長は、以前も書きましたが外交官出身の方で、活発で明るい方です。本学の大学院生のグループがチャペルヒル校で研修を受けている際、銃撃事件に遭遇したのですが、スティーブンソン副学長が駆けつけてくださって学生のケアをしていただいたことは忘れられません。

直近では、UNCと本学は、サイバーセキュリティの分野について学ぶ女子学生交換プログラムを始めました。9月には本学の学生7人が4日間の日程でUNCへ行ったのですが、それを迎えてくださったスティーブンソン副学長にとっても忘れられない体験だったとのことです。来週には今度は本学にUNCから6名の学生が来る予定となっています。このプログラム、倍率も高く人気なので、もっと回数を増やすようにエマニュエル駐日米国大使に申し入れる、と頼もしいことをスティーブンソン副学長はおっしゃっていました。

さて今回の訪問では、研究担当や国際担当の役員、さらに、レディーという医薬関係の産学連携を行う大学の子会社のCEOなど、多彩な顔ぶれを連れてこられました。その中には、前回もお会いした生物化学工学の早出広司(そうで・こうじ)教授もいらっしゃいました。前回とは逆に、今回はこちらの研究を見ていただこう、ということで、先方が興味ある分野の中で、気候変動と医学の分野を取り上げ、教員自身に最近の成果の報告を行なっていただきました。環境学研究科の須藤健悟教授、坂井亜規子准教授、宇宙地球環境研究所の坪木和久教授、環境医学研究所の山中宏二教授、荻朋男教授、ありがとうございます。

その後昼食を共にして、学生の交換などについて突っ込んでお話しできたのはとても良かったです。午後は、鶴舞で医学系研究科の面々と懇談をしていただく予定となっていて、昼食後はそちらに移動となりました。

今回、一番驚いたのは、先方の国際連携担当のケレイブ・キング教授です。大量虐殺直後のルワンダに医師として16年間、家族とともに暮らしたという経歴もびっくりでしたが、「明治のはじめに高祖父が農業の専門家として日本に滞在した」とのこと、名前はウィリアム・スミス・クラーク、というのですから仰天です。

Boys be ambitious!

 

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12月10日

香港出張3日目、今日は夜にメインイベントの香港中文大学60周年記念の祝賀会があります。

その前、午前中は香港のカルチャー・ツアーということで他の学長さんたちと一緒に、歴史や文化を学ぶ、ということでお寺や元監獄などを見学させていただきました。バスの中では、香港の住宅事情などについての説明があったのですが、それがなかなか強烈でした。とにかく狭い間隔にビルがたくさん立っているのですが、住宅は非常に高額とのこと、貧しい庶民は公営住宅に入居します。これが20平米ぐらいの狭いスペースで、その中にロフトのように2層、3層と有効活用したりするようで、日本の住宅がかつてウサギ小屋と言われていたことを思い出しますが、それよりも厳しい状況でしょう。為替レートのせいもあるのですが、とにかく物価が高くなっている印象でした。

夜には、香港コンベンション・アンド・エキシビション・センターという巨大なホールで祝賀会(ガラ・ディナー)が催されました。このセンターは、なんでも1997年に英国のチャールズ皇太子(当時)を迎えて香港を中国に返還する式典を行った場所だそうです。そこになんと2000人以上の来賓、同窓生などを招いた盛大なフルコースのディナー(写真参照)。いくらかかったのか、知りたいような知りたくないような。そもそも、今回の出張自体も、香港中文大学が航空運賃含め全てカバーしてくれる、という大変気前の良いもので、タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(THE)アジア大学ランキングで東大(8位)より上の6位につけているその勢いには本当に驚かされます。本学は残念ながら49位、だいぶ差がつけられています。

香港の勢いには本当に驚かされましたが、一方で、今年6月の会議を主催してくれた香港大学のシャン・ザン学長が、募金の不適切な運用、また教員の雇用に介入した疑いで大学の評議会に訴えられているということも知りました。現地では大きなニュースになっています。ザン学長は、カリフォルニア大学バークレー校で教授を長年されていた方で、非常に開放的でやり手という印象でしたので、いろいろ難しいことがあるのかもしれません。一方、アメリカのペンシルバニア大学では議会での反ユダヤ主義を巡る証言を批判されて学長と理事長が辞任というニュースも飛び込んできました。学長は本当に厳しいポジションです。

 

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12月9日

昨日から、三泊の予定で香港に来ています。目的は、香港中文大学の60周年記念行事に出席するためです。

この行事には、アジア各国、アメリカ、ヨーロッパ、アフリカ、オーストラリアなど、世界中の大学から30人以上の学長が招待され参加しています。ちなみに、日本からは名古屋大学だけが参加です。本学からは、私と医学系研究科の粕谷英樹教授が出席しました。本学の医学系研究科が、香港中文大学など9大学の医学部で連携して行なっているGAMEという枠組みに参加していることもあり、その担当者である粕谷さんにご同行願いました。

本日は、式典に先立って行われた学長フォーラムが香港中文大学のホールでありました。4つのテーマについて各々4〜5人の学長がラウンドテーブルでパネルを構成して、各自の大学の取り組みや学長自身の考えを披露して討論する、というやり方で進められました。

パネルに先立って、香港中文大学のロッキー・トゥアン学長と香港政府の教育担当局長であるチョイ・ユクリンさんの挨拶があり、その後、香港のベンチャー・キャピタルのニーサ・ランさんが製薬関係の中国の発展と海外の連携について熱く説明をされました。

その後、パネルがスタートしたのですが、私の出番は一番最初、破壊的な時代の高等教育について論じる、という内容が割り当てられました。パネルを仕切るのは、オックスフォード大学のアイリーン・トレーシー学長、パネルに参加したのは北京大学のクイハン・ゴン学長、クイーンズランド大学のデボラ・テリー学長、ルール大学ボーフムのマーティン・ポール学長、それに私、という面々です。名古屋大学のコロナ後の授業のあり方、ITの導入、アントレプレナー教育やリカレント教育など、短い時間ですが、うまく伝えられたと思います。何しろ皆さん、よく話されるので、負けずに自分の意見をしっかり言うことが重要になります。

内容は、大学に学生が来ることで我々が与えられる価値とは何か、から、生成系AIの扱いや、大学が生み出した知や文化財をどのように残していくのか、など多岐に渡り、一時間があっという間でした。

後の3つのテーマは、研究成果を論文として残すことと成果物として社会に出していくことのバランス、大学と社会の連携のあり方、イノベーションをどのように加速するのか、と言うもので、どれも活発な議論がパネルの中で繰り広げられ、時間が押して、なかなか場内からの質問が受けらない状況でした。

今回報告された多くの学長の中で、私が一番印象深かったのは、カリフォルニア大学サンディエゴ校のプラディープ・コースラ学長です。確固たる信念で大学を作り替えて、産学連携、スタートアップを推し進めているだけでなく、研究面でもクラリベイト社が発表する高引用研究者の数が、カリフォルニア大学の中ではバークレー校を抜いてトップというのですから、驚かされます。彼に、スタートアップを始めた大学院生が博士論文を書かない問題について伺ったところ、「同じ問題があるが、放っておけば良い、成功して金持ちになれば博士はいらないし、失敗したら戻ってくる」というご意見でした。博士論文を書かせるように強制するのではなく、学生の自立性に任せろ、ということです。身も蓋もないぐらいもっともなご意見、参考になりました。

 

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12月7日

昨日は、学士会の主催で7大学総長の集まり、ということで東京に午後日帰りしてきました。現地の東大だけが欠席で、6大学の総長が集まりました。

昨日の東京はコートが不要なくらいとても暖かかったのですが、今日の名古屋は風が強く、少し肌寒くなってきました。学内の紅葉も、この風でだいぶ葉が吹き飛ばされてしまっているようです。今日は、最近学内を歩いている時に撮った紅葉の写真をアップしておきます。もうすぐ本格的な冬ですね。皆さんも体調管理には気をつけてお過ごしください。

 

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12月5日

本日は夕方、名古屋駅はJRゲートタワー27階にあるOICXにおじゃまして講演をしてきました。

OICXは名大発など大学発スタートアップのためのインキュベーション施設で、名駅ほぼ直結の利便性の良い場所を拠点にいくつものスタートアップが活動をしています。

今回は、OICXナイトという催しで、40分ほど、相対性理論の話しをしてきました。対象は、スタートアップをやっている方、目指している方や、それをサポートする方々などで、かなり若い方の割合が高い講演会でした。スタートアップと関係する内容で、ということだったのですが、何しろ私の研究はなかなか社会での応用に結びつきません。そこで頭を絞って、テーマに相対性理論を選びました。

相対性理論というと、速度が光の速度に近づくと、時間が遅れたり、空間が縮んだりするという不思議な世界が現れるというものです。そんなものが、果たして現実世界に関係するのかと思われがちなのですが、例えば、時間の遅れの効果は、現代のGPSで位置を精密に決める際に必要不可欠な要素となっています。また、エネルギーと質量が等価、という関係も導かれるのですが、これはまた原子力や核融合という大きなビジネス分野の根幹をなす原理です。

トークでは、時間の遅れ、長さの縮み、エネルギーと質量の等価、さらに重力を含む一般相対性理論の話しを簡単にして、そして最後には夢を語るということで、ワームホールを用いたタイムマシンと「どこでもドア」の話しでしめました。ファシリテーターは学生さんだったのですが、勝手に話していったので苦労したかもしれません。申し訳なく思っています。全体に、かなりぶっ飛んだ話しだったので、皆さんの期待とはだいぶ違っていたかもしれませんが、楽しんではもらえたのかなと思っています。

なお、終わった後の懇親会では、たくさんの人と話せました。そのなかで、昨年設立された本学の起業部のメンバーには、活動場所のことなどで要望もいただきました。できる限り対応したいと思っています。

 

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12月4日

本日は、医学系研究科が進めるYLPプログラムの20周年記念式典がありました。

YLPは、ヤング・リーダーズ・プログラムの略称で、アジア諸国等の将来のナショナル・リーダーの養成に貢献すること、各国の指導者層の間に人的ネットワークを創ること、我が国を含む諸国間の友好関係を構築すること、各国の政策立案機能を向上することを目的として、4大学5分野が採択されているものになります。名古屋大学では、医療行政学について、アジア諸国で医療分野を担当する中央省庁の行政官を対象に、1年の修士課程のプログラムを設けて実施しています。

それでなくても大変な大学院修士課程を、留学した上で1年で修了するという極めて大変なプログラムですが、本人たちの努力はもとより、関係者のご尽力により、これまで大きな成功をおさめてきました。20年の間に、15カ国およそ200名の修了者を輩出、一期生のブンフェンさんはラオスの保健大臣を務めていらっしゃいます。千種駅そばのホテルメルパルク名古屋で開催された今回の式典及び祝賀会には、ブンフェンさんを含む50名ほどの同窓生が集結、教員の側も現在の責任者の山本英子教授をはじめ、YLP初代教授の伊藤勝基名誉教授、3代目教授の濵嶋信之名誉教授なども駆けつけられ、とても賑やかな会となりました。

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12月2日

土曜日ですが、ドイツのミュンスター大学ゲルハルト・エルカー博士に、本学の名誉博士号を授与させていただきました。

ドイツのミュンスター大学と本学理学部の化学教室は、ほぼ20年来、学生交換のプログラムを実施してきています。中心となってスタートさせたのがエルカー博士と、名大側の巽和行名誉教授のお二人でした。これまで、名大から100名以上、ミュンスターから80名以上の大学院生が交換留学を果たしています。もちろん学術上においても立派な業績をお持ちのエルカー先生ですが、今回は特に本学との交流を推進していただいたということで、名誉博士号を差し上げることとなりました。

式典には、巽先生はもとより、当時理学部長などを務められていた野依良治特別教授も出席、奥様もいらっしゃったのですが、甲斐甲斐しく動かれ、あろうことかアカデミックガウンを着せてもらわれそうになり、大変恐縮でした。結局、事務の方にお願いしました。

エルカー先生、これまで本当にありがとうございました。

 

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12月1日

本日も盛り沢山な1日でした。

午前には、中国の大連理工大学から、張弛(チャン・チー)副学長らが来学、表敬訪問を受けました。大連理工大学とは、2016年に交流のための協定を結んでいます。コロナ禍でなかなか行き来が難しいところではありましたが、本年9月には先方のサマースクールに本学から31名の学生が参加、滞在費などの補助もいただき、感謝です。サマースクールでは、中国語や文化などを学んだとのことでした。

大連理工大学には、工学部に日本語強化班という1〜2年生で日本語を必修として習う学生がおり、3年生から多くの専門授業を日本語で受けるようになり、日本への留学が非常にスムースとのこと、本学でも積極的な受け入れ、また送り出しを考えてみる必要があるかもしれないと思いました。そのためには、単位互換のスキームを導入して留学しても遅れずに4年できちっと卒業できるようにすることが課題です。

また、同行された方の中には、立命館大学と共同で設置している大連理工大学・立命館大学国際情報ソフトウェア学部の学部長もおられ、その仕組みについても教えてもらいました。

午後には、ガラッと変わって、YLCセミナーに出席してきました。すでに何度も紹介していると思いますが、YLCは本学の若手研究者育成の中核をなすプログラムで、毎年、分野を問わず、大学全体で審査して8名程度の特任助教を採用しています。任期は5年なのですが、みなさんとても優秀で、終了後は本学を含め国内外さまざまなところで大活躍しています。今回は、生命系と物理系の研究者、二人からの研究成果報告でした。難しい内容をできるだけ分野外の方にわかるように説明されていたのは大変好感が持てました。YLCの皆さん、思う存分研究に集中して、大きく羽ばたいていただきたいと思います。

 

 

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