2023年10月

総長っていったい何をしているのか、疑問に思っている皆さんも大勢いるかと思います。ここでは、私が日々取り組んでいる仕事やその中で感じたことなどを、自由闊達に紹介していこうと思っています。

 

  

10月31日

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今日は10月最後の日、ハロウィーンです。アメリカでは、トリック・オア・トリートで知られるように、子供のお祭りです。子供連れでシカゴで過ごした時は、科学産業博物館でのイベントに行ってみたのですが、ハリーポッターなどの仮装をした子供で溢れ、博物館全体がお化け屋敷+仮装大会のようになっていて、楽しいイベントでした。

さて、本日は、世界の大学附属の高等研究所を結ぶネットワーク(通称UBIAS)の研究所長会議とそれに付随した研究会に出席してきました。奇跡的に一日中参加できる、ということとなったのには驚いています。場所は八事の興正寺です。興正寺は真言宗の寺院で尾張徳川家の祈願所であった歴史と由緒のあるお寺さんで、江戸時代に建てられた五重塔で有名です。最近は、いろいろ改装をして、ちょっとした会合が開けるスペースなどが用意されており、外国人には大変喜ばれます。全体で50人ほどの出席者で、本学の高等研究院がホストし、国内からは他に早稲田大学が、海外からはフランス、ドイツ、ルクセンブルグ、イギリス、アイルランドなどヨーロッパの大学の研究所を中心にアフリカからもガーナの研究所の方が2名こられていたのが印象的でした。イスラエルからも出席が予定されていたのですが、大変残念なことに、昨今の厳しい状況から、来日がかないませんでした。

本日は、研究中心の会合でした。海外の大学附置高等研究所は文系、特に社会学系が中心のところが多く、分野間融合と社会連携などについて語っていましたが、これからは、理系とのシナジーをもっと出していくことが重要かなという印象を受けました。そのためのテーマとしては、AIなどが最適かもしれません。

 

 

10月30日

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本日は、午後、愛知県知事公館まで、愛知県がんセンターと名古屋大学の間の連携協定締結のため、出かけてきました。愛知県がんセンターは、本学からほど近い地下鉄名城線自由が丘駅からすぐにある、がんの基礎的研究と、がんに対する高度な診断・治療の実施のほか、専門技術者の養成や診断技術の普及を目的として設立された組織です。一方、本学の医学部と同附属病院は小児がん、希少がん、がん免疫研究に関しては日本でトップクラスの実績を誇っています。そのため、これまでも両者の間は強い連携関係にありました。

今回は、これまでの連携に加えて、本学の工学・情報・化学などの研究者が、がんセンターの研究者と連携をすることで、これまでにない新たな融合研究を醸成し、がん医療と予防における破壊的イノベーションを生み出したい、ということから協定の締結へと至りました。がんセンターに本学の研究者を受け入れる仕組みを新たに作っていただくことも、具体的な連携の内容に入っています。

調印式では、愛知県側は大村知事、名古屋大学からは私が協定書にサインをし、その後、報道の取材を受けました。テレビや新聞が取り上げてくれそうです。

 

10月28日

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本日は土曜日ですが、豊田講堂で行われたノーベル賞受賞者を囲むフォーラム「次世代へのメッセージ」というイベントに出席しました。これは読売新聞社が主催で、全国さまざまな場所で高校生を中心に聴衆を集めてノーベル賞受賞者から刺激を受けてもらうというもので、1988年からスタートしたとのことです。今回名大で行われたイベントでは、野依先生、天野先生をお迎えし、「創造の風土」というテーマで、なぜ名古屋大学でノーベル賞につながるような創造的な研究が花開いたのか、たっぷり三時間をかけて語られました。

読売新聞社の方からの主催者挨拶の後、私からのご挨拶を差し上げました。中身は、ノーベル賞の研究の動機には二通りある。一つ目が、好奇心に導かれて行う研究、益川先生・小林先生、そして下村先生がそれにあたり、一方で、人類社会のためにつくす研究、赤﨑先生、天野先生は明確にこちらでしょう。野依先生は、大いなる好奇心を持ちながら、でも化学で社会を変えたいということで研究の道に入られたので、両方とも、ということになるかと思います。

私の挨拶の後は、お二人の講演ですが、こちらは、読売新聞のサイトにアップされていますので、是非、ご覧ください。最後には、高校生からの質問に答える形でのパネルディスカッションもあります。

https://www.yomiuri.co.jp/choken/ckforum/nobelforum/20231017-OYT8T50055/

 

 

10月25日

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今日は、名古屋大学、そして東海国立大学機構で防災訓練がありました。

11時半に地震速報が流され、揺れがおさまってから、私を含む名大役員は災害対策本部の置かれている減災館まで移動です。もちろん災害時ですので、できるだけ広い道を徒歩で移動しました。天気に恵まれ、気持ちよく歩いて行きました。途中、理学の建物のあたりでは、たくさんの学生・教員が道に出てきていて壮観でした。一緒に歩いていた事務局長が「こんなに多くの人が建物の中にいるんですね」と驚いていたのが印象的でした。

減災館に到着するとすぐに、全学教育棟まで被害状況・避難状況確認のための視察に向かいました。避難場所は、向かいの図書館の裏手のスペース、現在半分のスペースは工事用の資材置き場となっていて閉鎖されている場所です。この地区はスムーズに避難されたようで、我々が到着した時にはすでにほとんどの人が戻った後でした。今回はG30の学生中心に100名ほどの避難だったとのことですが、教養の授業が多くある曜日であれば、1000人を超える規模になることが想定されています。工事の関係もあって、出入り口が1箇所しかなく、少し狭いのが気になりました。

視察の後は、減災館まで戻って、被害状況・避難状況の確認、それに対する指示出しなどの訓練を行いました。私からは、現在学内には多くの工事中のスペースがあるので、避難経路はそこを避けるように、しっかり確認を怠らないで欲しい、というようなことを申し上げました。午後には、東海国立大学機構としての防災訓練を行いました。千種消防署の課長さんからは、防災訓練はより具体的に起きうる事象に備える形で実施すべき、という内容のコメントをいただき、次年度からの参考に大いになりました。

防災訓練は、毎年しっかり積み重ねておけば、災害に直面した時に必ず役立ちます。過去3年間はコロナ禍で不完全な形でしか実施できていませんでしたが、これからは、しっかりとやって行きましょう。

 

10月24日 ②

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夕方からは、体育会関連で、会長表彰と結果報告会、そして幹部の交代式に出席しました。

この一年で素晴らしい成果をあげた体育会の個人、団体に対して、体育会会長として総長から表彰状を差し上げるのが、会長表彰になります。さすが運動部、中にはものすごく身長が高く体の大きな学生もいてびっくりしました。相撲部と聞き、納得です。みなさん、日頃の鍛錬のたまもの、本当におめでとうございます。

さて、体育会には委員長以下、幹部の方がおり、毎年交代をして受け継いでいます。今回は、68代から69代への受け継ぎかと思います。伝統の重さを示していますね。

会が終わった後は、学生と少しの時間、懇談をしました。活動のためのスペースが足りないとか、今まで使えなかった練習場を使いたい、などの要望を受けましたので、担当の佐久間副総長に検討をお願いしました。

総長になって初めて分かったのですが、旧七帝大で行う全国七大学総合体育大会、通称七大戦が、体育会の活動の中では大きなウエートを占めていて、各大学非常に力を入れているということです。競技ごとの順位だけでなく、総合の成績が毎年発表されます。主催をする大学を主管校と呼ぶのですが、7年に一度回ってくる主管校の時は、何はさておき優勝を狙うのが通例となっていて、他校が優勝をさらうことを「主管校破り」と呼びます。本学は、規模の小ささもあって、近年成績が伸び悩み、今年を含み、過去4大会連続最下位。コロナで間が飛んでいますので、5大会前は本学が主管校だったのですが、その時ですら6位。来年は主管校なのですが、厳しい戦いが予想されます。体育会のみなさん、雪辱そして活躍、期待しています。

 

10月24日 ①

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本日は、モンゴル国立教育大学のバトバータル学長率いる訪問団と懇談をしました。モンゴル国立教育大学とはこれまで、教育発達科学研究科(教育学部)が学術交流協定を締結して、連携を深めてきています。また、附属学校同士にも交流があります。コロナ禍の前、2015年から2018年までは、毎年、名古屋大学を訪問されるなど、連携交流に対する強い意志を感じさせてくれています。ありがたいことです。今回は久しぶりの物理的な訪問となりました。

モンゴル国立教育大学との具体的な連携として、主なものが3つあります。まず、教育発達科学研究科、そして関連する心の発達支援研究実践センターが、モンゴル国立教育大学において発達障がい児支援・教育に関わるさまざまな活動を行ってきています。特に、我が国において発達障がいの診断に定評のある田中ビネー知能検査のモンゴル版を作成し、モンゴルでの普及を図っていることは大きな成果といえます。2020年9月11日には、オンラインですが、モンゴル版完成披露式典があり、私も出席したことを覚えています。

2つ目は、教育発達科学研究科が誇る授業研究です。そのトップランナーである柴田教授が、毎年のようにモンゴル国立教育大学を訪問、講演や研究交流をしています。2021年には、「逐語記録に基づく授業分析」というテキストが、モンゴル語で出版されました。

最後が、附属学校同士の交流です。生徒の相互の訪問がこれまでもあり、ワールド・ワイド・ラーニングコンソーシアムを中心となって構築している名古屋大学教育学部附属学校としては、今後のますますの交流が期待されます。

今回は、逐次通訳を交えての挨拶だったので、少し歯がゆいやりとりでしたが、お互いの熱意はしっかりと伝わったかと思います。

 

 

10月21日 ③

全学同窓会の評議会の後、お昼をいただきながら、懇談をし、その後、ほとんど時間を空けずに、1時半からの「名古屋大学の集い」に参加してきました。ホームカミングデイは、大学全体と、各々の学部・研究科、そして研究所・センターなどが、並行して企画を行っているのが特徴です。来場された皆さん、ご自身の出身の学部に戻って、見学をしたり会合に出たりするので、学部長さんは大忙しの1日です。

一方、大学全体として、一番大掛かりにやっているのが豊田講堂を会場にした「名古屋大学の集い」になります。集いの前半は、同窓会の活動や表彰などに当てられ、後半が名フィルの略称で知られる名古屋フィルハーモニー交響楽団のコンサートというのが最近の定番となっています。ただし、コロナ禍のため、2020年のホームカミングデイは完全オンライン、昨年、一昨年は、開催はしたものの豊田講堂での出席は限定して、オンラインを中心としたハイブリッド開催でした。今回は、会場いっぱいに皆さんに参加をいただけました。やっぱり良いものですね。

集いの司会は、昨年度に引き続いて法学の学生の岩倉さん、とても良い声でプロ顔負けの司会ぶりでした。ここでも私の挨拶からスタートです。5分ほどいただいたので、少し元気の良い挨拶をしました。それでも総長になる前に比べたらおとなしくなった、と言われる方もいらっしゃったので、さらに地を出していかなければいけませんね。

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柴田同窓会長のご挨拶、同窓会の代表幹事である木村副総長からの活動報告に続いて、国際交流貢献顕彰の表彰を行いました。2021年と2022年の受賞者に壇上に上がっていただいて紹介した後、今年度の3名(昨日の本稿参照)にお一人ずつ表彰状を読み上げて渡し、併せて副賞の豊田講堂レーザークリスタルを贈呈しました。3名の方のご挨拶もとても素晴らしいものでした。

次に、ホームカミングデイプレ企画のNU3MT(名古屋大学の最優秀な博士課程の学生が3分間で行う研究紹介)において、視聴者の投票で最多を集めグランプリを獲得した嶺颯太さんと総長特別賞を受賞した仲井文明さんのお二人に、トロフィーと副賞の目録を壇上にて差し上げました。お二人には、その後、エキジビションとして3分間のプレゼンを再現していただき、併せてショートスピーチをしてもらいました。お二人とも素晴らしいプレゼンの出来栄えと堂々としたスピーチで、聴衆の皆さんも大満足という表情でした。本当に将来が楽しみな二人です。

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私の出番もとうとうここまでで終了。ここからはコンサートを楽しませていただきました。今回の目玉は、本学の混成合唱団コール・グランツェが名フィルと共演をし、ブラームスの「運命の歌」という混声合唱と管弦楽のための楽曲に挑むことでした。コール・グランツェが、全日本合唱コンクール全国大会大学職場一般の部で中部支部代表として銀賞を獲得したことが契機となっています。今年も全国大会に出場するようですので、さらなる活躍を期待しています。今日のコンサートでは、コール・グランツェの皆さん、名フィルとともにとても素晴らしいハーモニーを響かせてくれました。日頃の厳しい練習の積み重ねがうかがわれます。

ブラームス以外は、シューベルトの未完成とベートーベンの運命、というすごくポピュラーな組み合わせの曲で、アンコールもバッハの管弦楽組曲第3番からアリア(バイオリンとピアノの編曲版がG線上のアリアとしてよく知られている)、ブラームスも加えて、ドイツ・オーストリアプログラムでした。全てのお仕事が終わったので、リラックスして聴くことができました。名フィルの皆さん、そしてコール・グラッツェの皆さん、名演奏、ありがとうございました。

また、今回のホームカミングデイ、お手伝いいただいた教職員の皆様、本当にどうもありがとうございました。

 

 

10月21日 ②

総長と早朝散歩が終わったら、休む間もなくすぐに、全学同窓会の評議会に参加しました。こちらは、同窓会長、副会長の皆様はじめ、学部長・研究科長を中心とした評議員の皆さん、そして、同窓会の国内支部長の皆さんにご出席をいただきました。会の冒頭では、この2月にご逝去された豊田章一郎前同窓会長を悼み黙祷を行い、その後、ご挨拶を差し上げました。中身は、名大の現状などについてです。なお、今回の評議会では、副会長の交代がはかられました。2002年に設立されてからほとんど幹部の入れ替えはなかったのですが、お二人の副会長、岡田邦彦様と丹羽宇一郎様が顧問になられ、新たに内山田竹志トヨタ自動車Executive Fellow(前代表取締役会長)、中村利雄元中小企業庁長官、村瀬幸雄十六フィナンシャルグループ・十六銀行代表取締役会長の皆様に新たに副会長をお引き受けいただきました。中村さんには、併せて関東支部長をお願いすることとなりました。どなたも大変お忙しい方ですが、お引き受けいただき、本当にありがたく思っています。

 

10月21日 ①

いよいよ、本日はホームカミングデイ当日。総長はめちゃくちゃ働かされました。本当に疲れた1日でした。

まず、スタートは、今回のホームカミングデイ全体テーマである『名大de健康』に併せて行われた、「名大de朝活」総長と早朝ウォーキングという特別企画です。ハンドマイクとスピーカーを担ぎ、30名ほどのグループを先導して、豊田講堂、古川記念館(博物館)を皮切りに、40分ほどの学内散策でした。歩く距離は大したことはないのですが、ずっと話続けるのは大変でした。しかも、これが2回!一周目が終わったと思ったら、次のグループの人たちと一緒にもう一周です。参加してくれた人たちは、主に卒業生・修了生、職員のOB/OG、現役学生と保護者などで、年齢、性別などバラエティに富んでいました。ふっと気づくと、私の研究室にいたOG学生が二人、参加していたのにはちょっとびっくりでした。今回は、特に一回目が人気で、抽選になったとのこと、残念だった方、来年も企画するかもしれませんので、懲りずに応募ください。

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このウォーキングではいろいろネタを仕込んで披露したのですが、それ以外にも、新しい建物であるEI創発工学館、またNIC館などの中も通り抜けをしました。朝早くから、それぞれの企画のため建物が開いていたのが幸いでした。参加者の皆さんには、楽しんでいただけたのではないかと思っていますが、どうでしょうか。仕込んだネタについては、またあらためて、自由闊達通信の中で小出しにしていきます。

 

 

10月20日

本日は、午前中は大阪の京橋まで行き、木下記念事業団の理事会に出席してきました。この事業団は、学部学生や大学院生への奨学金を支給してくださるのですが、それだけでなく、自然科学の基礎研究のための助成金も出していただいているという大変ありがたい存在です。関西の研究大学を中心に、東は名古屋大学、西は九州大学まで、いくつかの大学を指定した上で、かなり学長の裁量に任せる形で、奨学金や助成金を補助するという柔軟な対応、本当に感謝しています。

当日の理事会では、事業団の方は、現在の大学の置かれている状況や個別の要望がわからないので、ということで、とても実りある議論ができました。大阪まで行った甲斐がありました。なお、これまで、基礎研究の助成金は1大学500万円という規模だったのですが、来年が財団の設立50周年ということで、この規模を大幅に増やしてくれるとのこと、本学の教員の皆さんにも是非、積極的に応募していただきたいと思っています。

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名古屋に帰ってからは、いくつかの打ち合わせの後、明日のホームカミングデイで表彰する、2023年度国際交流貢献顕彰受賞者3名、それに加えて、昨年と一昨年の受賞者5名を囲んでの交流会を行いました。これは、国際水準での学問の研鑽や文化・交流・社会活動等を通じて「名古屋大学学術憲章」の目指す人材像を実践し、活躍している学部・大学院の卒業生・修了生を讃え表彰する制度です。簡単に言えば、名古屋大学の看板を背負って海外で活躍している同窓生を讃えるということですね。

今回の受賞者は、9月30日まで駐日ハンガリー大使館・特命全権大使であったパラノビチ・ノルバートさん、ラオス人民民主共和国の保健省食品・医薬品局長、ブーンシュー・ケオハヴォンさん、そして、アメリカの国立衛生研究所(NIH)で長年活躍され、この1月の全学同窓会米国支部初代支部長に就任された岩浅邦彦さんの3名です。国際開発研究科で博士号を取得されたパラノビチさんは、現在は民間企業に移られて、企業の国際広報に力を尽くされるとのことでした。ケオハヴォンさんは、政府の高官ですが、本学の医学系研究科が以前より実施しているYLPという一年の修士課程プログラムで修士号を取得後、アジアサテライトキャンパス学院で博士号(医学)を取得、というまさに本学のアジアでの戦略を体現されている方といえます。岩浅さんは、本学の大学院理学研究科で、日本における生物物理学の始祖とも言われる大澤文夫先生の下で博士号を取得、その後、カナダ、アメリカで活躍されている方になります。

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コロナ禍でご招待できなかった5名の方も参加された交流会は、柴田昌治全学同窓会長、岡田邦彦全学同窓会副会長、齋藤英彦全学同窓会副会長のお三方にも参加いただき、とても活気のあるものになりました。当然ですが、やはりオンラインでは味わえない良さがありますね。

 

 

10月17日

今週は、終盤にホームカミングデイ・イベントや出張があるのですが、特に週の前半は、会議・打ち合わせ中心の比較的おとなしい日々が続きます。

昨日の月曜日は、名古屋大学の執行部、すなわち総長・副総長が定例で行なっている運営会議が朝にあり、午後は、東海国立大学機構の経営協議会がありました。経営協議会は、国立大学法人に必ず設置しなければいけないと法律で決まっているもので、「経営に関する重要事項を審議する機関」、とされています。機構では外部委員8名、内部委員7名で構成しています。産官学のトップの方々に委員をお願いしており、いつも厳しい、しかし愛情に満ちたご意見をいただいていて、本当に参考になります。特に今回は、国際卓越研究大学の次回に向けての申請について、多くの貴重なご意見をいただきました。是非これを活かして、申請につなげたいと思っています。

本日は、名古屋大学の最も重要な会議である教育研究評議会が行われました。こちらも法律に設置が定められているもので、「教育研究に関する重要事項を審議する機関」、とあります。東海国立大学機構では、機構が経営を、各大学が教育・研究を担当する、という役割分担になっていますので、経営協議会が機構に置かれ、教育研究評議会は名古屋大学、岐阜大学各々に置かれる形になります。こちらのメンバーは、学内のみで、私と機構長、部局の長(一部小規模を除く)、副総長の一部、また、女性割合20%以上を実現するための女性枠で構成されています。この会は、私が司会を務めます。通常はオンラインでやっているのですが、今回は対面で行いました。何らかの重要案件があるときには、対面というルールになっています。月2回、定例で行なっているのですが、私の都合で一回定例を飛ばしたため、今回は午後3時から5時15分までの長丁場となってしまいました。皆さんお疲れ様でした。 

 

10月13日

本日は、たまたまですが、若い人に関係したイベントが多い1日でした。午前中には、名古屋大学と南山大学の学生がサークル活動として発行している「粋」というフリーペーパーの取材を受けました。取材は名古屋大学の学生が2名、南山大学の学生が1名、撮影は名古屋大学の学生が行いました。皆さん学部生でしたが、総長室を訪ねてくれて一時間ほどのインタビューでした。南山大学のキサラ学長もこの後取材をするそうで、両大学並べての紹介です。キサラ学長はカソリックの司祭でもいらっしゃるので、同じ質問に対する答えが、私に比べてだいぶ高尚ではないかと思います。

フリーペーパー「粋」は、両大学の学生たちが取材に撮影、そして営業と、グループに分かれて作成しているとのこと、皆さんも是非応援してあげてください。

午後には、山梨県立韮崎高校の生徒さんに向けて、「光の宇宙と暗黒の宇宙」と題して、宇宙関係の講演を行いました。オンラインですが、終了後は多くの質問も受け、こちらが元気をもらいました。もともと担当の先生が私の講演会に来てくれたことがご縁で、スーパーサイエンスハイスクールとも関連して、先生の赴任されている高校で10年以上、毎年講演を続けています。

本日の最後は、ホームカミングデイ・プレ企画、NU3MT(名古屋大学3分博士論文発表会)をオンラインで実施しました。こちら、総長自由闊達通信の6月5日に書いた通りですが、名古屋大学の博士後期課程の優秀かつ最も将来有望な学生を表彰する学術奨励賞の受賞者8名が、自身の研究を3分間にギュッとまとめてプレゼンする、というものです。19時から始めて20時過ぎには応援ビデオに続く8人のプレゼンが全て終了、投票となりました。私が司会です。どのプレゼンも非常に力が入っていて、わかりやすくなる工夫がされていました。その中で、一般の視聴者による投票で最も票を集め、グランプリを受賞したのが、工学研究科の嶺颯太(みね そうた)さん。まだ博士後期課程2年の学生さんで、人類が未だ利用しきれていない周波数の電磁波、テラヘルツ波についての研究発表でした。テラヘルツという耳慣れない「光」について、その利用、そして発生方法について見事にわかりやすく説明してくれたことが、多くの支持に繋がったと思います。次に、私の選んだ総長特別賞ですが、同じく工学研究科の仲井文明(なかい ふみあき)さん。こちらは博士後期課程3年の学生さんです。拡散という微粒子が液体中を広がっていく現象について、その粒子の構造による違いに着目した研究についての発表でした。一般にはわかりにくい拡散という現象を、うまく可視化しながら説明したのは見事だったと思います。とはいえ、私の採点では、他にも何人もの方が僅差で続いていて、今年もなかなかの激戦でした。

NU3MT、グランプリと総長特別賞のお二人には、今週末のホームカミングデイのメイン企画、豊田講堂で行われる「名古屋大学の集い」にて、表彰式に合わせてエキジビションの発表を行なっていただきますので、皆さんも楽しみにしていてください。 

 

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10月11日

今朝、8時半頃に中部国際空港に帰ってきました。ミュースカイに乗って、一路名古屋まで。家に帰っている時間はなかったので、そのまま名大に。昼ごはんは途中で買ったお弁当をいただき、午後には東海国立大学機構の常勤理事懇談会に対面で出席しました。そのあとは、名古屋駅前のマリオットアソシアホテルで、ノースカロライナ州商務長官主催の懇親会に出席と、マニラを朝2時に起きて過ごした1日はハードでした。 

 

10月10日 ③

さて、今回のフィリピン訪問もいよいよグランドフィナーレ、現地の同窓会支部の方々との会食です。空港に近いホテルを取ったのですが、そこの2階のバンケットルームで行いました。今回は、17名の同窓生にお集まりいただき、フィリピンらしい活発な、そして和やかな会でした。前の代表だったシンシア・サロマさんは、ちょうど来週行われるホームカミングデイで、国際交流貢献顕彰を受賞されるので、来日されるとのことでした。受賞は数年前だったのですが、コロナ禍で表彰式ができなかったので、今回おいでいただきます。

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同窓生ですが、一番古い1970年代に農学部に留学されていた方から、つい最近卒業・修了された方まで、本当にさまざまな方々にお越しいただきました。ここでもご挨拶を差し上げたのですが、同窓生の皆さんからもご挨拶があり、結構私に向かって話していることが多く、真剣に聞いていないといけないので、大変でした。皆さん、お元気で、またお会いしましょう!

同窓会では一つ、大事な宿題をもらいました。本当に久しぶりに名大を訪問したい場合に、コンタクトする先生や友達がいなくなっていて、どう名大にアクセスしたら良いかわからない、ということです。同窓生の連絡先をしっかりと用意して、大学の案内や、できれば、宿舎などの手配もしてくれるとありがたいということでした。海外の支部で本学を支えてくれている皆さんを暖かく迎えることは必須だと思っています。この件については、しっかりと対応させて頂こうと考えています。

同窓会支部の会食は21時頃には終わったのですが、翌日の飛行機が6時台のため3時にホテルをチェックアウト、ほとんど寝られません。帰ったら大学の仕事が待っているのに… 

 

10月10日 ②

大使館の後は、同じくマニラ市内にあるアジア開発銀行(ADB)本部を訪問しました。

厳重なセキュリティを抜けると、本学の修了生が2名、待ち構えてくれていました。そのうちのお一人はつい最近アジアサテライトキャンパス学院を通じて国際開発研究科で博士号を取得されたとのこと、お母さんの介護をしながら学べたので、とても良かったと話していました。

このあと、お二人を含む5名の同窓生とともにランチをADBの中でいただきました。そのうちお一人は日本人で、工学研究科で修士まで取られた方でした。どこでも、本当に同窓生の存在は頼もしく感じます。ADB全体では、国際開発研究科が6名の同窓生を送り出しており、その他にも少なくとも2名の同窓生がいるとのことでした。

ADBでは、国際開発研究科の岡田研究科長のアレンジのもと、4回の面談がセットされ、全てで挨拶をすることになっていたので、目が回りそうでした。ただ、最初のお相手はインド人だったのですが、それ以外は日本人で、結局日本語で挨拶だったのでだいぶ助かりました。日本人の方は、財務省からの出向でした。会談の内容は、ADBのやっているプロジェクトや、修士向けの奨学金、さらにはインターンシップ受け入れなど多岐に渡りました。4回の面談とも、最初に出迎えて下さった2名の同窓生にお付き合いいただけたのは大変心強かったです。

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10月10日 ①

本日は、宿舎を7時30分には出発して、マニラまで80kmのドライブ。そのため、6時には起きて朝食です。とはいえ、時差があるので、体感的にはいつも通りの7時起床になります。朝食の場所は、宿舎のすぐ隣だったのですが、聞き間違えて、大学の中を少しさまよってしまいました。それも愛嬌です。途中、学生向けの朝ごはんを売っていたので、見せてもらったら、お米の上にソーセージがのっている、というシンプルなもの、日本円で、130円ぐらいですので、まあそんなものでしょうね。結局、宿舎に隣接する食堂をなんとか探し当てて、そこで朝食をとりました。日本円が非常に弱いために、1000円ぐらいかかりました。日本人にとって、もはやフィリピンなど東南アジアの各国も物価が安いとはいえませんね。

さて、宿舎を出て、一路、マニラの日本大使公邸を目指して北上です。ほぼ予定通り到着しましたが、公邸だけあって、さすがのセキュリティ。地域全体が囲まれて門にはガードがいて、出入りをチェックしていました。基本的に富裕層が住むところのようですが、お向かいはフランス大使公邸、隣は前大統領のお嬢さんが住んでいた、とのこと。

さて、我々名古屋大学の訪問団と、さらには昨日入学式に出席したばかりの新入生4名をご招待してくれたのは、越川和彦駐フィリピン特命全権大使です。前職はJICAの副理事長をされており、スペインの特命全権大使などを歴任されるなど、華麗な経歴をお持ちですが、とても気さくな方で、学生と楽しそうにお話をしていたのが印象的でした。一方で、日本は戦争中、特に戦争末期にフィリピンにとても酷いことをしたのに、今は非常に親日感情が強いこと、その中で、日本軍に家族を殺されているエルピディオ・キリノ大統領が、憎しみの連鎖を終わらせるため、B級・C級戦犯に恩赦を与えて日本に帰国させてくれたことについて話されたのは、やはり大使としての使命感からでしょうか。公邸のピアノの上には、この恩赦を命ずる大統領の手紙が飾ってありました。

この大使公邸訪問では、地元のプレスが何社も入り、たくさんの質問も受けましたが、この後大きく報道していただきました。感謝です。

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10月9日 ④

入学式はほぼ予定通り16時過ぎに終了、これで1日が終われば楽なのですが、まだまだイベントは続きます。

次に、SEARCAと同様、やはりキャンパス内にある国際機関、国際イネ研究所(IRRI)を表敬訪問しました。この研究所には、イネのさまざまな種が世界中から集められているということを以前から伺っていたので、じつは大変楽しみにしていた訪問先の一つでした。

20231009_04a.jpgまずはアジャイ・コーリ所長以下、IRRIの首脳部との懇談、ここでも私の挨拶は必須です。じつはIRRIとは、1960年代からの長い付き合いであることがわかったので、その話しをしました。本学農学部の植物生化学の赤澤堯先生が、IRRI創設期に何年か滞在されたのがスタートとのことです。IRRIとの連携もあり、本学農学部の一つの大きな研究の柱は、現在に至るまでイネの育種です。

非常に興味深かったのは、多くのイネの種を保存するGenebank(遺伝子バンク)です。10年以内の短期間の保存のための2℃程度に保った部屋と、100年保存するための-30℃程度に保った部屋の2種類に入らさせてもらいました。さすが-30℃は寒かった(写真参照)。冷凍庫より10度ほども低い温度です。

 

最後は、圃場に行って塩害に強いイネを育てる研究の現場を見させていただきました。20231009_04b.jpgさまざまなイネを畝ごとに分けて植えて、二つの田んぼの一つを通常の水で、一つを塩分濃度の高い水で育てる、という名大も協力して行っている研究です。世界の沿岸地域でイネが育つようになれば、多くの国でイネの栽培によって飢餓が救えます。ただこのタイプの研究は時間がかかるのが常で、10年を単位に考えているようでした。

IRRI訪問のあと、すっかり暗くなってしまった中、キャンパスを移動して、本日最後のイベントは、18時30分からのカマチョ学長主催の歓迎ディナーでした。ロス・バニョス校、名大合わせて40〜50名ほどが集まり、楽しい会でした。挨拶をされた大学の幹部の方々の多くが、京都大学や大阪大学など日本の大学で学位を取られていることに少しびっくりしました。カマチョ学長が京大で学んだのは知っていたのですが、他にもいろんな方が日本で学ばれているのはとても心強いとともに、名大の卒業生がいなかったことは少し残念でした。ディナーが行われた建物は落成されたばかりの真新しいものでした。実は、当時の松尾総長が起工式に立ち会った、アジアサテライトキャンパス学院が入るはずだった建物とのこと、現在は、カナダの大学連合がすでに事務所を開設していました。これまでフィリピンとの連携、特にロス・バニョス校とは、どこよりも先んじて連携を進めてきた名古屋大学ですが、うかうかしていると、カナダや日本の他の大学に追い越されてしまいます。気をつけなくては!

比較的ディナーは早く終わり、キャンパス内の宿舎に21時にはチェックインできました。ただ、それから翌日の挨拶の原稿書きです。何しろ挨拶が多すぎです。終わったらかれこれ午前0時でした。一時間の時差があるため、日本時間の1時、長い1日の後でもあり、眠くてしんどかった…

 

 

10月9日 ③

午後は、キャンパス内にあるSEARCA(東南アジア地域農学高等教育センター)を訪問、立派な建物なのですが、ここの講堂をお借りして入学式を行いました。

20231009_03a.jpgSEARCAでは、副所長のヌア・アズラ・ビンティ・アダムさんらを表敬訪問しました。写真のアダムさんはマレーシア出身の女性で、4月から職についているとのことでした。この機関で一番驚いたのは、とにかく幹部の方に女性が多く、8割方は女性、という印象でした。

SEARCAと名大のつながりは、今から40年前までさかのぼるそうですが、近年、このキャンパスにアジアサテライトキャンパス学院フィリピン校を設立して以来、今回のように講堂をお借りしたり、さまざまな面で支援をいただいているとのこと、本当に感謝です。

2時からは、いよいよ今回の訪問の主目的である、アジアサテライトキャンパス学院の入学式がありました。新入生は生命農学が2名、環境学が2名の合計4名です。政府機関にお勤めの方が2名、大学関係が2名、うち1名が女性という内訳になります。中でも、ビサヤ大学の教員の方は、レイテ島から初の入学生ということで注目を集めていました。また、挨拶も熱意のこもったとても素敵なものでした。なお、ビサヤ大学の学長も国費留学生として名古屋大学で学位を取られた方とのこと、同窓生、本当に心強いです。

入学式では、私の祝辞に続いて、カマチョ学長をはじめ来賓の方々からの祝辞、学生4名の決意表明があり、少しスピーチが多すぎる感はありましたが、アットホームな、感じの良い会でした。なお、日本大使館からも、日本広報文化センターの松田センター長にご出席、ご挨拶をいただきました。松田センター長が、スーツではなくフィリピンの正装であるバロン・タガログで来られたのには流石でした(集合写真前列左から3人目)。

 

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10月9日 ②

調印式は9時半前には終了し、そのまますぐにバンに乗り込み、フィリピン大学ロス・バニョス校へ一路向かいました。比較的車は流れていました。ケソン/マニラから南に80kmほど、ラグナ・デ・ベイという湖のほとり、すぐ目の前には、マキリン山という火山がそびえています。そのためか、近くには温泉がたくさんありました。そもそもロス・バニョスというスペイン語は、バスルーム、つまりお風呂、という意味だそうです。ただ当地の温泉は、プールのようになっていて水着で泳ぐところのようで、道端に浮き輪などを売っている店がたくさん出ていました。

さて、車で2時間ほどかかってロス・バニョス校に到着、元々農学を中心に設立された大学とのこと、広々としたキャンパスは、緑に溢れていました。大学本部の立派な建物の前には、写真にあるように名古屋大学アジアサテライトキャンパス学院の文字が刻まれた看板が立っていました。訪問団の皆さん・現地教職員と撮った写真にあるオフィスは、本部の一階という一等地に置かせていただいており、厚遇ぶりにびっくりしました。

 

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到着後は、たいへん元気の良いカマチョ学長ら、大学の幹部と歓談とランチ。キャンパス学院の入学式の前の時間を過ごしました。

 

10月9日 ①

20231009_01a.jpgフィリピン出張二日目、本日は朝から目の回る忙しさでした。

7時30分に、ホテルのロビー集合、フィリピン大学ディリマン校へバンで出かけました。フィリピン大学機構のヒメネス機構長にお会いして、協定にサインするためです。ディリマン校は、フィリピン大学機構のフラッグシップ大学で、大学の本部が置かれています。キャンパスは、ホテルからは道を渡ったすぐ向かいなのですが、なにしろ広大で、渋滞もあって車で20分ほどもかかりました。そもそも、アジアサテライトキャンパス学院のバンなので、はるばるロス・バニョスからやってくるのに途中の渋滞で到着が大幅に遅れましたが、なんとか約束の時間には間に合って、事なきを得ました。フィリピン、本当に交通事情だけはどうにかならないものでしょうか。

大学本部についてみてびっくり。写真の中空に渡したような部分が機構長室です。見晴らしは最高でしたが、建物はほとんど見えなくて緑がすごく濃いキャンパスでした、名古屋大学も規制がありますが、このキャンパスでは60%を緑地として保存するというルールがあるとのことです。建物の前に、手を広げた銅像が立っているのですが、これは「自分自身を社会の奉仕に捧げる」というような意味があるとのこと、Oblationという名前で、フィリピン大学のシンボルだそうです。

今回の協定は、今年の2月に、ヒメネス機構長、また、フィリピン大学ロス・バニョス校のカマチョ学長が本学に来られて結んだ協定の改訂版になります。博士課程の学生を政府機関や大学、そして国際機関などから受け入れるアジアサテライトキャンパス学院、そのフィリピン校にはこれまで生命農学研究科と国際開発研究科が参加していましたが、来年からいよいよ、工学研究科(土木)、そして環境学研究科が加わる、ということでの改訂になります。このために特にカマチョ学長にはご尽力をいただきました。感謝です。協定の調印式は、私とヒメネス機構長、カマチョ学長の他、山内アジアサテライトキャンパス学院長、そしてロス・バニョス校のバンタヤン副学長(研究担当)の5名で臨み、5通の協定書のすべてのページにサインをするので、なかなか大変でした。日本で言う割印みたいですね。写真は調印直後、ヒメネス機構長とのツーショットです。なお、調印式では、ヒメネス機構長からの歓迎の言葉に続いて、私からの挨拶もありました。今回は、これを皮切りに、山のように挨拶をしたので、準備が本当に大変でした。

 

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10月8日

今日から、フィリピンに来ています。主目的は、アジアキャンパス学院の新入生4名の入学式を執り行うためですが、それ以外にも盛りだくさんの日程で、充実した三泊四日になりそうです。

午後の中部国際空港からの直行便で、マニラに到着後、すぐに隣接するケソン市に移動、UP(フィリピン大学)テクノハブという場所にあるマイクロテルホテル・バイ・ウィンダムというところに宿泊しました。ほぼ大学の中にあるホテル、ということで期待もしなかったのですが、米国のウィンダム・ホテルズ&リゾーツのグループで、普通のホテルでした。

途中の道は、なかなかに渋滞していて、フィリピン初めての私にとって珍しかったのは、ジプニーというジープを改造した乗合タクシーが多く走っていたことです。見た目はほとんどバスで、狭いスペースに多くの乗客が乗っていました。それ以外道路を走っているのはほとんどが日本車でトヨタが大変多い印象でした。東南アジアに多く見られるのバイクの後ろに乗車用の席を設けたトゥクトゥクはあまり見かけず、バイクにサイドカーをつけて客を乗せたり、二人乗りバイク、といったのがタクシーがわりで目立っていました。

 

 

10月2日

今日から、日本学術会議26期の総会等諸会議が始まりました。

日本学術会議は、菅首相の時の任命拒否問題から大きく揺れ動き、現在は有識者会議も立ち上がって、本格的な改革を直前に控えているところです。学術会議は科学者の国会とも呼ばれ、文系・理系を問わず、全国の研究者210名を正会員とし、学術に関する様々な意見を政府に直接提言をすること、市民社会との対話を通じて科学への理解を深めること、地域社会の学術振興への貢献、国際学術交流の推進などを役割としています。正会員以外にも2000名ほどの連携会員が選ばれており、そのバックには、全国の約87万人と言われる科学者・研究者が存在しています。大学だけでなく、企業などからも会員、連携会員は選ばれており、幅広い意見が吸い上げられる構造となっています。会員、連携会員は3年ごとに半数改選、私は今回6年の任期で26期と27期の会員に選ばれた、と言うわけです。

会員は首相の任命ということで、辞令交付式は新任会員の多くが集まって首相官邸まで行き、松野官房長官から辞令を受け取りました。首相が出席されなかったのは残念でしたが、なかなか入れない首相官邸訪問、良い経験でした。セキュリティの関係で写真はホールの中のみ、ということでしたが。

日本学術会議ですが、設立から70年以上が経ち、その間改革は進めてきたとはいえ、旧態依然とした感は否めません。例えば、会員全員を対象とした総会の最初の議題は、会長の選挙による互選だったのですが、プラスチックの札と投票用紙を持って、投票箱まで行って投票する、という今どきどこの世界の出来事だ、というような方式で、これを過半数まで繰り返す、というのですから、日が暮れてしまう、と頭を抱えてしまいました。幸い、1回目で一番の方が、すんなり2回目で過半数を獲得されたので、ホッとしました。個人的にも、総長ということで目立っていたので、よもやならないかと心配で気が気でなりませんでしたので、本当に良かったです。前期の梶田会長(ノーベル賞受賞者)がものすごく大変だった姿を見ているので、今期も大変だと思います。隣に座っていた企業からの女性会員は、なぜ会長選挙をオンライン投票にしないのか、また、今どき会員の氏名とともに性別や年齢をホームページ上で公表するなど企業ではあり得ない、と憤慨されていらっしゃいました。素晴らしい伝統を持っている学術会議ですが、現代に合うように改革するのは本当に大変そうです。

 

10月1日

今日は、秋季入学式が午前中に豊田講堂で挙行されました。先日の卒業式に続いて、留学生が中心です。入学式は、証書の授与がないので、時間も30分程度と短めになります。

私からの祝辞は、問題なく終わったのですが、壇上列席の副総長や研究科長を紹介するところで、大きなポカをしてしまいました。なんと、教養教育院の納谷院長を、中谷と呼び間違えてしまったのです!すぐに気がついて、言い直しましたが、よく言われる慣れた時にミスをする、そのものです。総長になって、入学式は4回目、少し気が緩んでいたかもしれません。

今回の入学式は、新入生にとって身近に感じられる同窓生と言うことで、宇宙地球環境研究所の三宅芙沙准教授に、歓迎の辞をお願いしました。三宅さんは、植物や氷の中に含まれる炭素などの情報から、過去の地球を襲った太陽のフレアと呼ばれる爆発現象を調べている新進気鋭の研究者です。屋久杉の年輪の調査から、平安時代に巨大な太陽表面爆発が起きたことを突き止めた研究は、国内外で大きな話題となりました。祝辞では、研究の内容とともに、名古屋大学の伝統として、学生のアイデアを尊重すること、共同研究を大切にすること、また友達との議論が何よりも良かったことなどを話していただきました。

式の様子は、youtubeで見ることができます。

新入生のみなさん、活躍を期待しています。

 

 

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