2023年8月

総長っていったい何をしているのか、疑問に思っている皆さんも大勢いるかと思います。ここでは、私が日々取り組んでいる仕事やその中で感じたことなどを、自由闊達に紹介していこうと思っています。

 

 

8月31日

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8月の最終日の本日、午前中に河村名古屋市長が名古屋大学博物館の視察に来られました。博物館長が主に応対されたのですが、私も機構長や事務局長ともども、対応にあたりました。本学博物館にある貴重な深海魚の化石や収蔵品などを視察するのが目的でしたが、この機会に、名古屋市科学館や名古屋市との連携の可能性などについて、短い時間ですがお話しさせていただきました。

ちょうど夏休み最終日ということで、多くの親子連れが博物館に来ていて、「夏休みは結晶企画2023」という45分の体験学習を受けているところでした。突然の河村市長の登場に皆さんびっくり、という一幕もありました。河村市長、気さくに声をかけていましたが、確かにインパクトあります!

 

8月29日

本日は、栄で中部圏社会経済研究所のアドバイザリー会議がありました。この研究所は、地域や時代のニーズに応え、地域社会の発展に貢献する「中部圏の総合的・中立的な地域シンクタンク」を目指して設立されたもので、公益財団法人となっています。

今回は、来年度からの3ヵ年の中期計画が固まってきたので、そこで取り上げる研究テーマについての意見交換と、研究所の研究力強化、特に大学との連携について、2時間ほどですが、密度の濃い議論をしました。メンバーは、この地域の主要国立大学の学長と、中経済連合会と北陸経済連合会の会長、さらには愛知県と石川県の商工会議所連合の会長(会頭)という面々です。私が議長を務め、ほとんどの方はオンライン参加でした。

大学からは、中部圏への高度人材集積と関係した博士人材の活用、人口減少への対策などの調査研究をして欲しい、という要望が出されました。また、研究力強化では、関連する研究をしている大学院生に参加してもらい、ある程度の報酬を支払いながらも、共同研究をするという提案に対して、まずはやれる課題・分野からやってみよう、というような意見が出されていました。

せっかくのシンクタンク、それなりのデータをすでに持っていることもありますので、大学としても活用していきたいと思っています。

 

8月25日

本日はIDE大学協会東海支部総会と、そこが主催する「IDE大学セミナー」を名古屋大学野依記念学術交流館にて実施しました。IDEについては、7月24日の自由闊達通信をご参照ください。

セミナーのテーマは、「大学教育と図書館」でした。大学の図書館の役割もデジタル化(DX化)によって大きく変わろうとしています。学術雑誌はもはやよほど古いバックナンバー以外は、オンラインで皆さん読むようになっているかと思います。本の電子化も進みつつあります。この動きはコロナ禍で大きく加速しました。

この動きを受けて、今回は、図書館情報学がご専門の帝京大学共通教育センター上岡真紀子准教授に全体の基調講演をお願いし、その後、南山大学図書館長の太田達也教授に大学図書館の現状を、また、本学、名工大、南山大の学生3名に学生から見た大学図書館について、課題や要望などを話してもらいました。

上岡先生のお話は、主にアメリカの大学の図書館の現状についての報告で、もう何年も前から、本を借りる場所からラーニング・コモンズとして、学生が集まる場所に変貌を遂げているという内容でした。DX化に伴って、バーチャル・リアリティを導入するなど、どんどんとその姿を変えていっているとのこと。名古屋大学においては、今、まさに図書館の前に建設中のプラットフォーム棟そのものという印象でした。

 

8月24日

本日は、国立大学協会(国大協)のトップセミナーへ出席のため、横浜へ日帰り出張でした。

トップセミナーは、「国立大学の機能を強化するため、それぞれの大学のあり方・役割について議論する機会」を持つことを目的とし、国立大学の学長や大学共同利用機関法人の長などを対象に行われています。今回は、60以上の学長や機構長の参加を得て、横浜は中華街の入り口にあるローズホテル横浜で二日間の日程で実施されました。私個人は時間がなくて、中華街を横目で見るだけだったのが心残りです。

セミナーは、まず、内山田竹志トヨタ自動車エクゼクティブ・フェロー(前会長)による「イノベーションが未来を拓く」という一時間の講演からスタートしました。内山田さんは皆さんご存知の通り、名古屋大学工学部のOBで、東海国立大学機構の経営協議会の委員もお願いしています。講演は、カーボンニュートラルを目指すトヨタの戦略などを中心にお話されましたが、これから必要なのは産学という一対一の連携ではなく、産産学学連携とでもいうべき多対多の連携が必須、というような示唆に富んだ内容で大変勉強になりました。

セミナーの後は、10名弱のグループに分けて、直面する問題について意見交換を行いました。私のグループは、弘前大学、群馬大学、横浜国立大学、名古屋大学、京都教育大学、奈良先端科学技術大学院大学、山口大学、熊本大学で構成されていました。大規模国立大学、地方国立大学、大学院大学、教員養成系大学と、違ったプロファイルの国立大学が集まったため、なかなか問題は絞りきれませんでしたが、教員養成、文系、医学部(ちなみに8大学中4大学の学長は医学部出身者)などについて活発な議論がありました。一つの結論は、国立大学ももはや単独ではやっていけず、連携をとることが必須、というものでした。東海国立大学機構を2020年に発足させている身としては、我が意を得たり、という思いでした。

忙しい1日でしたが、何より他大学の学長の知己を得る貴重な機会となりました。

 

8月22日

本日は朝早くから、東京の帝国ホテル(!)で、日本産学フォーラムの本委員会に出席してきました。当フォーラムは「産業界と学界の代表的リーダーがそれぞれの立場を越えて、忌憚無い意見の交換と相互理解を深めるために設置された」ものとのことです。日本を代表する企業や、名古屋大学を含む7大学など代表的な国立大学や私立大学がメンバーとなっています。

現在の代表世話人は前東京大学総長で理化学研究所の理事長である五神真先生、代表代行・主査は叡啓大学学長の有信睦弘先生、主査は元名古屋大学総長の濵口道成先生です。

年に3回ほど、帝国ホテルで朝食をとりながらの本委員会を開催、その際に、一時間程度の講演という形で、話題提供を委員の方にしてもらって、それをさかなに、活発な議論をしています。例えば、最近では早稲田大学の田中愛治総長などが話題提供をされています。

今回は、「ひとづくり」をテーマにということで、私が依頼を受けました。そこで、「名古屋大学のひとづくり ―勇気ある知識人の育成―」と題して講演をさせていただいたというわけです。

会場だけで23名の委員、オンラインを含めると50名ほどの委員が参加され、大変盛況でした。例えばトップ、または元トップの方が会場にて出席された企業には、日本電気、みずほフィナンシャルグループ、東芝、JX金属、日立製作所、第一生命保険、日産自動車などがありました。また、文部科学省の事務次官の方もいらしていました。講演の後には、時間に収まりきれないほどの多くの質問が寄せられ、興味のほどが伺えました。

肝心の私の話ですが、自己紹介から始まって、本学のひとづくりとして、アドミッション・高大接続、学部教育、大学院・博士人材育成、国際・留学・留学生、リカレントまで、多岐にわたって説明いたしました。準備にはお盆休みを丸々当てる羽目にはなりましたが、こうやって総括的に俯瞰してみると、あらためて、私としても、名大の教職員の皆さんが教育に向けて多大なエネルギーを割かれていることを強く感じたところです。

名古屋大学を産業界、他大学に向けてアピールできた、とても良い経験だったと思っています。

 

8月21日

今年のお盆休みは10連休(一部、病院等の職員の方、申し訳ありません)、有意義にお過ごしになられたでしょうか。

休み明けには、北部厚生会館(北部生協)の移転があり、その記念式典を朝に行いました。新しい会館はこれまでの場所から、少しだけ南、山手通り沿いに新築されました。南にあるこちらも新築のEI創発工学館(旧工学部7号館)とは1階、2階が渡り廊下でつながっていて、雨でも濡れずに移動できます。以前と同様、1階は購買部、2階は食堂です。式典の後、両方とも見学させていただいたのですが、学生の要望を取り入れたとのこと、食堂は広々としていて開放的、一方で混雑時にお客を素早く流す工夫もされており、使い勝手が良さそうです。購買は以前に比べ、少しだけコンパクトになった感じですが、全体が集まっていて、レジの数も増加したとのこと、買い物の利便性は高そうです。ちょうど開店時間だったので、今日のランチのサンドイッチを購入しました。新店舗顧客第一号、レシートをチェックしたのですが、それらしい数字がなかったのが残念です。

新しい北部厚生会館、公募で愛称が決まりました。学生さんからのアイデアだそうですが、建物全体がポラリスプラザ、購買がポラリスショップ、食堂がポラリスダイニングです。ポラリスは北極星、北部に引っ掛けているというわけです。ポラリスプラザが、これから末長く学生や教職員のみなさんに愛されることを願っています。

 

8月9日

8月の文科省の人事異動で、東海国立大学機構の髙橋宏治理事・事務局長がこども家庭庁の官房審議官へと異動となり東京へ帰られました。髙橋さん、東海国立大学機構、そして名古屋大学のために大変なご尽力をいただき、本当に感謝です。

後任として、昨日から澤川和宏さんが、理事・事務局長として着任されました。前職は経産省への出向だったとのことですが、これまで、文科省の中で高等教育や学術振興の要の部署で課長をつとめられるなど、実績は十分、機構・名古屋大学での活躍を大変期待しております。

さて、本日は、東海国立大学機構の常勤理事懇談会を名古屋大学で開催、岐阜大学からも吉田学長、杉山(誠)副学長にお越しいただきました。せっかくの機会ということで、会の後は新局長歓迎の会食を行い、澤川新局長からは大変面白いお話をいろいろ伺えて、大いに盛り上がりました。もっとも、早めに会食をスタートしたので、帰宅時間はいつもより早いぐらいでしたが。

会食で思い出しましたが、以前は、お盆前の最後の教育研究評議会の後には、暑気払いと称して、皆で打ち上げをしていました。しかしこの4年は、コロナで中止となっています。たまには大学の役員や部局長の間でざっくばらんな話しができる機会が必要だな、とあらためて思わされました。

 

 

8月3日

 本日は東京出張でした。

午前中は文系教務課学生ロビーのネーミングライツを2019年より4年にわたって契約していただいたビズリーチを渋谷に訪ねました。ネーミングライツが終了した機会に、お礼と今後について打ち合わせをするということで、私以外に財務・寄付/基金担当の木村副総長、事務方2名での訪問です。

「ビズリーチ・キャンパス名大」という命名権への契約に対して、学生ロビーの入口2カ所に看板を設置したほか、契約料により、当該学生用ロビーの整備、文系学生用電子掲示板サイトの開発・更新、各種証明書のコンビニ発行導入、文系トータルサポートプロジェクト実施の4つの取り組みを行いました。最後のプロジェクトは学生のアイデア活用ということで、NU-MAPSという学内地図のデジタル化などを行ったとのことです。また、コロナ禍、各種証明書のコンビニ発行導入は非常にタイムリーだったと思います。感謝です。

一方で、ビズリーチ側としては、OB・OG訪問をオンライン上で行うプラットフォームを作成したので、名大としてもこの機会に是非活用して欲しい、という要望を受けました。対象となる企業から直接、20代の若手社員のデータをもらい、大学ごとに振り分けるなど、なかなか個別の大学ではできないサービスです。すでに学生は活用しているとのことですが、大学としても活用できるか、検討を進める必要がありそうです。

なお、訪問では、創業者で現在はビズリーチグループ会社を統括するビジョナル株式会社の南壮一郎代表取締役社長にお会いしたのですが、さすがのカリスマ性を感じさせられました。

 

 

8月2日

本日は、午前中は、中学生向けのサマーセミナーでの講演をしました。久しぶりに天文学者としての出番です。中津川市が中心になって30年近く行っている岐阜サマー・サイエンス・スクールinなかつがわ、というイベントになります。もともとは中津川市を中心とした中学生をセミナーハウスのようなところに集め、合宿形式で実験や講義など、サイエンス漬けの3日間を満喫させる、というものだったのですが、コロナでオンラインイベントに今では様変わりしています。でもそのおかげで、全国、さらには海外からも参加者がある、とのことで、主催者側は広がったことを喜んでもいました。

今回私は「光の宇宙と暗黒の宇宙」というタイトルで、宇宙の最新観測、そしてブラックホール、ダークマター、ダークエネルギーの話を一時間ほどしたのですが、講演後はたくさんの好奇心あふれる質問がもらえて、大変充実した時間が過ごせました。

このイベントは、中津川市出身の末松安晴先生が中心となって始められたものです。末松先生は、世界で最初に光ファイバー通信実験に成功された方として世界的にも著名な研究者で、キャリアの大半を東工大で過ごされましたが最終的には学長まで務められ、その後は高知工科大学学長、国立情報学研究所所長なども歴任されていらっしゃいます。御年90歳、zoom越しですが、お元気な姿にお目にかかれました。この間お会いしたサムエル・ティン教授もそうですが、みなさん本当に生涯現役を貫かれていらっしゃいます。

 

 

8月1日

本日は、午後は外まわりをしていました。そのなかで、千種のメルパルクであったのが、日本福祉大学大沢勝先生お別れの会です。大沢先生は、長年日本福祉大学の教育・研究、そして運営に携わってこられた方で、理事長、学長、そして総長を務められ、亡くなるまで名誉総長という肩書をお持ちでした。日本福祉大学が知多半島に展開するのに大いに力を発揮されるとともに、愛知県の社会福祉協議会の会長や社会福祉審議会の委員長なども歴任され、日本学術会議の会員も務められるなど、ご専門の高等教育論、福祉を中心に非常に幅広い活躍をされてこられました。

名古屋大学との関係でいえば、本学が幹事を務めている愛知学長懇話会の立ち上げを主導された方のお一人、と伺っています。お亡くなりになるまで、世話人のお一人として、総会はもとより世話人会にもご出席いただき、貴重なご意見をいただいたこと、覚えています。

91歳で亡くなるまで現役で活躍された大沢先生、ご冥福をお祈ります。

 

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