2023年3月

総長っていったい何をしているのか、疑問に思っている皆さんも大勢いるかと思います。ここでは、私が日々取り組んでいる仕事やその中で感じたことなどを、自由闊達に紹介していこうと思っています。

 

 

3月28日その4

「地域を次世代につなぐマイモビリティ共創拠点」キックオフシンポジウムの後は、急ぎ、愛知県知事公館へ行き、大村県知事との懇談会に出席しました。県内国立大学学長との懇談ということで、愛教大の野田学長、名工大の木下学長、豊橋技科大の寺島学長とご一緒でした。各大学の今やっていることを数分でまとめて話して、その後、懇談ということでした。本学については、県のStation Aiとの関係で、スタートアップについて教育から支援までシームレスに行うスタートアップ共成長パッケージについてと、県の農業試験場との連携について、お話してきました。一時間ほどの短い時間でしたが、地域との連携、今後ますます重要になっていきますので、このような機会をしっかりと捉えていきたいと思っています。

 

3月28日その3

午後二番目には、国の補助金事業で共創の場形成支援プログラム、通称COI-Nextにあらたに採択された本学の「地域を次世代につなぐマイモビリティ共創拠点」キックオフシンポジウムに出席、開会のご挨拶をしました。この拠点は、未来社会創造機構の森川高行教授をプロジェクトリーダーに、『みんなの「行きたい」「会いたい」「参加したい」をかなえる超移動社会』をビジョンに掲げ、マイカーを使わない(運転できない、運転したくない)人にも社会に公平なアクセスができるような超移動社会を目指すというものです。名古屋市、春日井市と連携し、地域モビリティ(移動)の問題を解決します。実際に、昨年11月23日には、名古屋最古の商店街である円頓寺商店街アーケードを、ヤマハ発動機のゴルフカートを改造した自動運転車で、時速5キロというゆっくり自動運転で走行するというデモも行い、その際には、大村県知事とご一緒にカートを体験させていただきました。円頓寺商店街は、アクセスの悪さ、という問題点を抱えており、それを解決するための一環というわけです。

10年間という息の長いプロジェクトですが、採択後、しっかりと良いスタートが切れているようです。

 

3月28日その2

午後一番には、株式会社メルコホールディングス社長の牧寛之様にお会いし、ご寄付いただいた物品に関する目録贈呈式を行いました。メルコホールディングス傘下の株式会社バッファローは、BUFFALOというブランド名でWifiやPC周りの機器を販売していることで有名です。

今回、学部新入生全員に対し、株式会社バッファローとして、USB-cタイプの充電器(電源アダプタ)をご寄付いただきました。これが優れもので、ケーブルだけ必要に応じて変えれば、PCだけでなく、パッド・タブレットや携帯、本当になんでも使えます。今の学生にとって、PCや携帯などの充電は死活問題。軽量・コンパクトで持ち運びが楽なこの充電器、手放せなくなると思います。

ご寄付、本当に感謝です。実はこれは昨年に引き続いてのご寄付で、昨年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策支援という目的だったのですが、今回は、未来をつくる学生たちが安心して学業に専念できるように支援することが目的とのことです。

 

3月28日その1

今日も忙しい1日でした。

10時から12時には、名古屋大学の記者懇談会、新聞社を中心に各社集まっていただいて、いくつかの報告をさせていただきました。メインはなんと言っても卓越教授第1号の発表です。学内の卓越した研究者として天野浩先生、そして、学外から招聘するライジングスター教員として、オーストラリア、クイーンズランド大学の山内悠輔先生を選ばせていただきました。天野先生の業績はここで触れる必要もないかと思いますが、近年も例えば、深紫外線(紫外線の中でも波長が短くX線に近い光)を出す発光ダイオード(LED)を作り出すという成果をあげられています。

山内先生は、工学研究科に4月から着任する方で、着任するにあたって工学研究科から卓越教授に推薦したい、ということで審査の結果、圧倒的な研究業績と注目度、研究費獲得実績などから、文句なしで卓越教授の称号を贈ることになりました。ナノ材料の分野で、画期的な多孔体というナノサイズの「穴」のあいた物質を合成することに成功された方で、燃料電池などへの応用が期待されています。まさにライジングスターです。

卓越教授、いきなりハードルが上がってしまった感がありますが、今後も素晴らしい人に続々と称号を与えていきたいと思っています。

 

 

3月27日

本日は、卒業式。少し肌寒いですが、晴天で満開の桜の中、迎えることができたのは幸いでした。今回の卒業生、修了生の皆さんは、学生生活が本当にコロナに翻弄されたので、感慨もひとしおのことと思います。

私としては、前日まで四苦八苦していた祝辞ですが、2つのことをお願いする内容にしました。1つ目は、学び続けること、2つ目は、自分の価値とは何か、問い続けることです。詳しくは、式の様子が名大ホームページに掲載されていますので、参照ください。2つ目のお願いについては、AI時代に人間の価値とは一体何か、という問いの答えを、突き詰めて考えなければいけないと私自身強く思っていることから、皆さんに伝えさせていただきました。ネタのようですが、Chat-GPTで作成した「祝辞」を祝辞の中に入れ込ませていただきました。「名古屋大学で桜が満開の中、行われる卒業式の祝辞」といったような質問に対する答えになります。それなりにもっともらしい挨拶になるところがミソです。人間の価値とは何か、私の回答は「勇気ある知識人」につながるものとなっています。祝辞の最後の部分だけ一部、ここに引用しておきます。

『AI時代、AIに任せられるところは任せ、人は、人にしかできないことに挑んでいくことが求められます。福沢諭吉のいう「愚人」には出番はなくなります。学び続ける中で、自らの価値は何か、問い続け、皆さんには、人間らしく失敗を繰り返しながら、でも、決してめげず、社会のあらゆる場所で、チャレンジする「勇気ある知識人」として活躍することを大いに期待しています。』 

 

 

3月23日

今日は、総長顕彰の「正課外の取り組み部門」の表彰式を執り行いました。総長顕彰とは、『学問の研鑽や文化・社会活動等を通じて本学が目指す人材像を実践している学生を讃えるとともに、その活動を広く周知することにより優れた人格と創造性を兼ね備えた人材群のさらなる創出の促進を図ること』を目的として、平成15年度に創立されたものになります。
 顕彰は、「学修への取り組み部門」と「正課外の取り組み部門」に分かれていて、前者は各学部から成績優秀な4年生を推薦いただき、卒業式の場で表彰します。今回は、後者の表彰です。4組5名の学生を顕彰しました。皆さん、本当にさまざまな舞台で大活躍されており、大変頼もしく感じました。
 まず、法学部2年の岩田侑さん。岩田さんは、宮城県石巻市出身で、東日本大震災で被災した経験を持ち、東海地方で語り部活動を行っています。東南海地震など、歴史的には繰り返し大きな地震が起きているこの地域にとって、非常に重要な活動だと思います。経済学部4年の鈴木颯斗さんと医学部4年の栗田菜月さんは競技ダンス部のメンバーとして、ペアを組み、全日本学生競技ダンス選手権大会冬の全日本戦に優勝するなど数々の栄誉を得ています。非常にタフな競技で、中部圏の選手が勝つのは稀(まれ)、という中での素晴らしい成績です。コロナ禍の初期には、オンラインでペアダンスを練習したそうです。二人とも4月からは社会人です。国際開発研究科博士前記課程2年のKim Allenさんは、12億人の若者を代表する英連邦青年協議会の議長を務めるなど、国内外で非常に積極的にボランティア活動を展開し、プロジェクトを立ち上げてきました。パプアニューギニア出身のAllenさんは、今後は国に帰られるとのこと、これまで示してきたようなリーダーシップを持った勇気ある知識人としての活躍、楽しみにしています。最後は、本郷汰樹さん。当日は遠征のため出席されていませんでしたが、教育発達科学研究科博士前期課程2年生、陸上競技の100m走において、最近驚異的なスピードで記録を伸ばしており、11月には10秒12という今期日本5位の記録をマークするに至っています。今後は就職されて競技を続けるとのことですが、めざせ9秒台、そしてパリオリンピック!

 

3月21日

今日は、午前中、矢場町にあるナディアパークデザインセンタービルで、スタートアップの祭典、TOCKIN' NAGOYA 2023に出席してきました。Tシャツを着ての挨拶、しかも河村市長の後ですので、あらかじめ用意した原稿は全く読まず、勢いで話してきました。

今回のイベントは、トッキントッキンに尖らせたスタートアップをロックに応援するというものなのですが、それにふさわしく、午前中は、SEAMOさんのライブと、落合陽一さんの基調講演というとっても豪華な布陣でした。SEAMOさんは初めて聴かせてもらったのですが、最後はエルガーの「威風堂々」に乗せ、「諦めず追いかけ続ければ夢は必ず叶う」という勇気をもらえる歌詞の曲「Continue」で、今風の音楽がわからない私にもとても響くものでした。

落合さんの講演は、これがまためちゃめちゃに刺激的な内容でした。ご存知の方も多いChatGPTというAIを用いたチャットボット、その進化形であるGPT-4が8日ほど前に発表されたので、それをリアルタイムで使いこなしながら、何ができるかをデモするというもので、登壇者の意向により、詳細は記載できませんが、それはもはや世界が変わる、というのに相応しいものでした。今日は、研究者の本業である研究や、大学の勉強・試験など、大学に関わるもの全てのあり方が、音を立てて変わっていく瞬間に立ち会っている気がしてきました。

 

 

3月18日

今日は第一回の石井健一郎賞の授賞式を執り行いました。本学経済学部の前身である名古屋高等商業学校(名高商)の卒業生で、大同特殊鋼の中興の祖(第8代社長)と呼ばれた故石井健一郎様のご意志に基づき、本学において最も顕著な功績を挙げた教職員に対して顕彰を行うもの、と定め、今年度から顕彰を始めたものです。これまで、本学では、名古屋大学レクチャーという世界トップレベルの研究者にレクチャシップを授与し、講演を行っていただく、という顕彰はありましたが、本学での業績に対して賞という形で顕彰するものとしては、石井健一郎賞は最高の栄誉と位置付けさせていただきました。なお、石井健一郎様は、経済学部の同窓会組織、キタン会の第二代会長も務められています。

 

今回の受賞者は、丹羽公雄名誉教授、受賞理由は、それまで存在が予想されていながら誰も見つられていなかったタウ・ニュートリノという素粒子を発見し、また、その素粒子が、ミュー・ニュートリノという粒子が飛来中に変身することで生まれることを見出したという御業績です。自然を構成する最も基本となる素粒子は少なくとも17種類の存在が予想されていて(小林先生、益川先生の御業績で、一気にここまで数が増えました)、そのうちの一つを見つけられたのですから、素晴らしい成果であることはわかってもらえるかもしれません。ちなみに、17種類の素粒子のうちで未発見だったものが発見されると、その多くにノーベル賞が与えられています。

 

さて、素粒子、ニュートリノ、と聞くと、小林先生、益川先生、そしてカミオカンデを想像される方も多いかと思います。丹羽先生の授賞式には、嬉しいことにゲストとして、小林誠先生、梶田隆章先生というお二人のノーベル賞受賞者にご出席いただけました。このことからも丹羽先生の御業績の素晴らしさが伝わるかもしれません。また、丹羽先生には素粒子を検出する特別な技術があるのですが、その技術は、今ではピラミッドや福島の原発を透視するために使われていて、大活躍中です。ピラミッド透視の森島さんは、丹羽先生のお弟子さんになります。

授賞式に引き続いて、丹羽先生のご講演があったのですが、ものすごく面白く、また楽しい講演で、一時間があっという間に過ぎました。梶田先生が、「今日は来て本当に良かった」とおっしゃっていたのがとても印象的でした。講演の最後には、丹羽先生から、「名古屋大学は世界から若い研究者をひきつける拠点となれ」との檄をいただきました。現在申請に向けて準備を進めている国際卓越研究大学、まさにこのような拠点を形成することが目玉となっています。丹羽先生、お気持ちしっかりと受け止めさせていただきました。

 

3月14日

先週末から名大にとって嬉しいニュースが相次ぎました。日曜日午前中にTVをつけた方は、鈴木亜由子さん(経済学部卒)の名古屋ウィメンズマラソンでの激走姿を、また、附属中高に通っていた藤井聡太さんのNHK杯準決勝での勇姿を目にされたかもしれません。同日にライブで行われた王将戦では藤井さんが羽生九段を破り見事防衛を果たされました。将棋繋がりですが、工学部出身の柵木幹太さんが奨励会を抜けて新四段昇進を決めました。初の名古屋大学出身棋士誕生です。残念ながら大学院は中退とのことですが。

研究者に目を向けると、中日文化賞の授賞式があり、丹羽公雄名誉教授(理学研究科)が賞を受け取られました。受賞理由は「独自装置でタウニュートリノを検出」ですが、丹羽先生についてはまた近々別件で書く予定です。また、今朝の朝刊には、篠崎一雄特別教授(理学研究科修了)が日本学士院賞を受賞されたことが報道されていました。受賞理由は「植物の環境ストレス応答と耐性獲得に関する制御ネットワークの研究」になります。

嬉しいニュースの数々、ありがとうございました!

 

3月11日

今日の午前中は、本学のために多大な貢献をいただいた名古屋大学基金高額寄附者の方々をご招待して、「感謝の集い」を実施しました。基金からの支援を受けた学生たちの報告の後、ウクライナ出身のナターシャ・グジーさんのミニコンサートがあり、透明な歌声にみなさん大いに満足されました。曲の合間には、トークがあり、その中で、彼女が開発したボルシチの売り上げからウクライナを支援する活動をしているとは言っていましたが、直接紛争や政治に踏み込んだ発言はなく、そのかわり、「鳥の歌」というカタルーニャ民謡を歌っていたのが、印象に残りました。この鳥の歌は20世紀に活躍したチェロの巨匠パブロ・カザルスのアンコールピースで有名になった曲です。カザルスは、カタルーニャ出身なのですが、スペイン内戦でファシストであるフランコが政権を取ると、以後故国には帰らず、一時は演奏活動も休止し、平和活動に打ち込んだことでも知られています。1971年に国連に招かれ、「空の上で、鳥はピース・ピース・ピースと鳴きます。私の祖国カタルーニャの歌です」と感動的な演説をした後に演奏したのは94歳の時でした。今は、この演説と演奏を簡単にYou Tubeで見ることができます。いい時代になりました。この演説を聞くと、ナターシャ・グジーさんのウクライナ、そして平和への思いが伝わる気がします。

 

3月10日

今週はすごく特別なこともなく忙しく過ごしていたので、今日は総長の1日について紹介します。

まず、朝はほとんどいつも8:30スタートです。これは事務職員の勤務時間に合わせています。朝8:30-9:00はある件の方針に関する打ち合わせ、9:00-10:00はスタートアップ(起業)のサポートに関する東海機構および名古屋大学の全体方針に関する打ち合わせ、10:30-11:00は次週月曜日の運営会議事前レクチャー、11:00-12:00は国際卓越研究大学申請の打ち合わせ、12:00-13:00オハイオ州立大学からのお客さんとランチミーティング、こちらは研究の社会連携をする大学全体の組織の責任者の方が来られて、本学の情報学研究科を中心にすでに進めている連携をさらに広げていく、という話しです。リトアニア出身、イスラエルの大学を出てアメリカで学位を取った女性で、まさにダイバーシティを身をもって表している人でした。13:30からはシンガポール国立大学の研究力についての分析調査結果の報告を受け、14:00-15:00は岐阜大学との打ち合わせ、15:00-15:30は来客に関する事前打ち合わせ、15:30-16:00は財務関係の打ち合わせ、16:00-17:00は水田賞の授賞式、こちらは、先日ご逝去された水田洋先生の名前を冠した賞で、思想史の分野で将来の発展が期待できる優れた若手研究者を顕彰するという趣旨です。第11回の今回は、名古屋市立大学の藤田菜々子教授が受賞されました。

授賞式・懇談会が終わってすぐに17:00-17:30はホシザキ奨学金の受給生からの報告会、17:30-18:00は人事関係の打ち合わせ、18:00-19:00は大型研究拠点申請の打ち合わせ、19:00-20:00は外部資金応募の関係の打ち合わせ、となっています。

振り返ってみても、すごくみっちりと詰まったスケジュールです。多くがオンラインになったおかげで、移動の時間もなく、そのためトイレに行く時間の確保が重要になってきています。

 

3月6日

今日は、本学の世界トップレベル研究拠点(WPI)・トランスフォーマティブ生命分子研究所(ITbM)に対して、現地視察がありました。WPIプログラムを統括するプログラム委員会からの依頼で、専門家ら3名の訪問です。そこで、最近の研究の進展について、吉村崇拠点長(研究所長)から説明があったのですが、すごく興味深い進展があったので、少し紹介します。

海に住む生物には、大潮(満月、新月)の時に産卵するものがいます。サンゴやウミガメが有名ですが、クサフグにもその性質があるそうです。では、どうやってこれらの生き物は大潮を知るのでしょうか?

吉村さんたちは、クサフグの脳の視床下部、下垂体で働く大潮で活性化する「大潮遺伝子」を発見したとのことです。驚くべきは、吉村さんによると、大潮や新月を察知するのに、どうも月の光ではなく、重力の微小な変化を感じているのでは、とのこと。重力も研究対象の物理屋の血が騒ぎます。地球の表面にある物体には、地球からの引力に対して、太陽から引っ張られる力は1600分の1程度、月からは、わずか30万分の1です。大潮の時は、月と太陽が一直線に並びますから、1600分の1に30万分の1を加えるか引くかの重力を得ます。この月の分が余計に作用するのを感知するとしたら、わずか30万分の1の変化を感知できる、ということになります。一体どういう仕掛けなのでしょうか。謎はつきません。 

 

3月2日 その2

嬉しいニュースが飛び込んできました。エジプトのピラミッドで、186年ぶりに未知の空間が発見されたというものです。これは、名古屋大学の森島邦博准教授(理学研究科)らが、宇宙から降り注ぐミュー粒子を使って見つけた空間で、今回、ファイバースコープを入れることで、実際にその空間の存在が確認され、写真が撮られたということでした。

ミュー粒子は宇宙からまんべんなく降り注いでいて、物質を透過する力が相当に強い粒子です。ピラミッドの中も、石材を通過していくのですが、一定割合で石によって止められます。ピラミッドの下部の方の空間でミュー粒子を捕まえてやると、ある方向だけ粒子が少し多く来ることがわかったのです。その方向は、粒子を止める石材が少ないことになります。つまり「空間」がひらけていることが予想できるのです。このようにして、森島さんたちは空間(部屋?)の存在を予想し、ネイチャー誌などに報告しました。今回、その場所(の一つ)に実際に空間があることがわかった、というわけです。NHKの報道では、森島さんのインタビューが発見者として取り上げられ、また、ピラミッドの構造の専門家として、河江肖剰准教授(高等研究院)がその発見の重要さについて語っていました。ピラミッド研究では名大、日本一!?

今回の構造には、どうもクフ王の関係の宝物などはなさそうですが、実は森島さんたち、もっと大きな空間を別な場所に見つけています。こちらの探索、待ちきれません。エジプト考古省、よろしくお願いします。 

 

3月2日 その1

午前中に、名古屋大学赤﨑賞の授賞式がありました。青色LEDの発明でノーベル賞を受賞された赤﨑先生の名前を冠した賞は、本学在籍の35歳以下の学生及び研究者のうち、学術・科学技術分野で将来的な発展や可能性が期待でき、本学の学術・科学技術水準の高さを内外に知らしめることができる研究者に対して贈られるものです。今回で13回目になりますが、歴代の受賞者は皆さん高いレベルで活躍されておられ、若手研究者の登龍門とも言える賞にしっかりと育ってきたと感じています。赤﨑先生は惜しくも一昨年の4月1日、92歳でお亡くなりになられましたが、この賞を通じて、赤﨑先生の研究スピリットは後進の研究者にしっかりと受け継がれています。

今回の受賞者は、情報学研究科の藤井慶輔准教授とトランスフォーマティブ生命分子研究所の八木亜樹子特任准教授のお二人です。

藤井さんは、人間や動物の集団行動を、伝統的なモデルと最新の機械学習を融合させて理解するという研究を行なっています。この研究では、例えば、人間の集団運動の一例である集団スポーツで「もしこう動いたら将来どうなるか」を予測し、「その動きは良いかどうか」を評価して、最終的には「どう動いたら良いか」を提案するというところまで目指しているとのこと、興味深いですね。

八木さんは、芳香族ポリマーと呼ばれる高分子が、本体の分子の鎖の部分にたくさんの別の分子の塊がくっついた形で合成されてしまうという問題に対して、本体の鎖がむき出しとなったポリマーを溶液中で合成する方法を開発し、その鎖が持つ性質を明らかにしたり、さらには鎖を切断するなどして新たな物質を創製する、というような研究をされています。難しい内容の研究ですが、新しい物質がどんな機能を持つのか、楽しみな研究成果になります。

二人の研究がこれからどのような展開を見せていくのか、またどのような研究者に成長していくのか、注目です。今回は本当におめでとうございました。

 

3月1日

今日から3月です。2月は本当に速く過ぎました。二十四節気で言えば、今は雨水、雪の代わりに雨が降り始める時期とされています。もう数日すると次の啓蟄、虫が目をさます時期ですが、先んじて、私も数日前に今年初めての蛾を見つけました。名古屋はまだまだ朝晩は寒いですが、季節は確実に春に移っています。

今日は、国立大学協会(通称国大協)の総会で、東京まで行ってきました。ちなみに東京はとても暖かくびっくりしました。さて、国大協は、全国の国立大学や共同利用研究所の学長・機構長が参加する会議で、情報共有や国への要望を取りまとめるなど重要な役割がありますが、なにより、学長間の連携を取るための貴重な機会となります。総会では、文科省から最近の施策の説明があり、その後、総会で事業報告や理事の交代などが諮られました。文科省の報告については、近々公募が予定されている「高度情報専門人材の確保に向けた機能強化支援」について多くの質問が出されていました。これは、情報系の人材が足りないことから、大学院を中心に学部も含めて学生定員を増加させて、社会のニーズに答える、という施策になります。学部の定員を増加できるという機会はそうはないので、多くの大学がエントリーしそうです。年度明けすぐくらいに公募がスタートしそうなので、本学も検討を急いでいるところです。

 

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